フリーランスは育休制度を利用できない!代替制度や準備しておくべきことを解説

フリーランスは、自由な時間や場所を選んで仕事ができる働き方です。しかし、結婚・出産を考えているカップルの双方がフリーランスである場合、正社員雇用のように育休制度は取得できるのか、気になる方も多いことでしょう。

本記事では、フリーランスが育休制度を利用できるのかどうかを解説します。

フリーランスが活用できる育児に関する給付金や、育休に入るために準備しておくことなど役立つ情報についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

フリーランスは育休制度(育児休業・育児休暇)を利用できない

結論からお伝えすると、フリーランスは育休制度を利用できません。

育休制度は法律に基づいた国の休業制度であり、その内容は事業者独自に定められています。この制度では、産後休業が終わった翌日から、子どもが1歳の誕生日を迎えるまでの希望期間内に休暇が取れるのが一般的です。

ただし、この制度は雇用されている労働者が対象となるため、特定の企業や団体に所属していないフリーランスは対象外となります。

裏を返せば、副業フリーランスとして本業の会社に雇用されている場合は育児休業を取得できるということなので、必要な場合は会社に相談してみるとよいでしょう。

参考:育児・介護休業法について|厚生労働省

産休制度(産前休業・産後休業)も利用できない

フリーランスは、育休制度だけではなく産休制度も利用できません。

産休制度とは、産前から産後までの一定期間、女性のみが取得できる休暇のことです。

産休制度の一般的な期間は、以下のとおりです。

  • 産前休業・・・出産予定日の6週間(42日)前から
  • 産後休業・・・出産翌日から8週間(56日)

産休制度も育休制度と同様、会社に雇用されている副業フリーランスであれば利用できます。

参考:育児・介護休業法について|厚生労働省
参考:フリーランスも産休を取れる?育児休業給付金や保活など出産に関する疑問を解決!|Relance

フリーランスは対象外となる育児に関わる主な給付

上記項目にてフリーランスは育休制度を利用できないことがわかりましたが、具体的にどのような手当や給付を享受できないのでしょうか。

フリーランスの場合、育児に関わるさまざまな手当が支給対象外となります。今後のライフステージのチェンジにスムーズな対応をするためにも、どの給付が対象外なのかを把握しておきましょう。

ここからは、フリーランスでは対象外となる、育児に関わる主な給付をご紹介します。

出産手当金|出産のために会社を休んだときに支給される

出産手当金は、フリーランスでは対象外となる給付です。

出産手当金とは、出産のために会社を欠勤した場合に支給される手当のことです。健康保険に加入中の被保険者に給付される手当(会社の健康保険に加入していることを条件に給付される手当)なので、フリーランスには基本的に適用されません。

一般的に出産手当金の条件は、出産日の42日前〜出産日の翌日から56日までの間です。

出産予定日から遅れた場合も、支給の対象となります。

参考:出産手当金について|全国健康保険協会

出生時育児休業給付金|産後パパ育休を取得したときに支給される

フリーランスは、出生時育児休業給付金も対象外です。

出生時育児休業給付金とは、産後パパ育休を取得した際に給付される手当を指します。

給付の条件は雇用保険の被保険者であることであり、子どもの出生後8週間以内を対象期間とし、最長4週間を2回に分けて取得可能です。

ただし、28日間を超えて出生時育児休業を取得した場合の超過分、もしくは3回に分けて取得した場合の3回目の休業は対象外となるので、注意しましょう。

参考:​育児休業給付の内容と支給申請手続|厚生労働省

育児休業給付金|育休を開始してから子が1歳になるまで支給される

フリーランスの場合、育児休業給付金も対象外となる手当の1つです。育児休業給付金は、育休開始から子どもが1歳になるまで支給(条件によっては2歳まで)されます。

育休取得の条件は、これまで継続的に雇用されており、今後も雇用が継続される見込みがあることです。

そのため、雇用期間が1年未満、または1年以内に雇用期間が終了する場合は、手当を受けられません。また、1週間の所定労働日数が2日以下である方も対象外となり得るため、週の出勤日数に注意しましょう。

参考:​育児休業給付の内容と支給申請手続|厚生労働省

フリーランスが活用できる育休に関わる制度

ここまでで「フリーランスが対象外の給付は多くある」と解説してきましたが、一方で育休に関わる制度でフリーランスでも受けられるものもいくつか存在します。

ここからは、フリーランスが活用できる育休制度やお金について見ていきましょう。フリーランスの方は、ぜひ参考にしてください。

妊婦健診の補助|妊娠中

妊婦検診の補助は、会社の支援制度や健康保険ではないため、フリーランスでも受けられます。妊娠が確定してから自治体の窓口に妊娠の届出をおこなうと、母子手帳などと共に妊娠検診の補助券をもらいます。

妊娠中は、検診のため14回程度病院に通うのが一般的です。各自治体により補助を受けられる回数や金額は異なりますが、妊婦検診の補助では1回の検診につき4,000〜5,000円から1万円程度が支給されるため、検診にかかる通院費用が心配な方でも安心できるでしょう。

東京都の場合は、妊娠時に対象となる妊婦1人あたり5万円相当、出産後に対象となる児童1人あたり10万円相当が支給されます。妊娠によりさまざまなサービスが受けられるので、お住まいの自治体の公式ホームページをチェックしてみてください。

参考:東京都出産・子育て応援事業〜赤ちゃんファーストを継続します〜|東京都福祉局

国民年金保険料の免除|出産前後4か月

フリーランスは、国民年金の補助料の免除も受けられます。

内容としては、出産予定日または出産日の月の前月から4か月間、国民年金保険料が免除されるというものです。双子などの多胎妊娠であれば最大6か月間が免除されるなど、免除期間については個人差があるため注意が必要です。

また、産前産後の期間は免除された期間の保険料も納付したものとしてみなされるのが特徴で、老齢基礎年金の受給額にも反映されます。

免除を希望する場合には手続きが必要となり、出産予定日の6か月前から申請可能です。届出をおこなう際は、お住まいの地域の役所・役場に相談してみましょう。

参考:産前産後期間の国民年金保険料が免除されます!|日本年金機構

出産育児一時金|出産後

出産後にもらえる「出産育児一時金」も、フリーランスが活用できる補助金の一つです。

出産育児一時金とは、妊娠4か月以降に出産をした健康保険・国民健康保険加入者、被保険者・被扶養者へ、一定の金額が支給される制度を指します。

2023年11月現在、出産育児一時金の支給額は50万円です。また、多胎妊娠の方には50万円×子どもの人数が支給されます。

ただし、出産する医療機関や分娩の状況、また妊娠週数が22週に達していない場合は、参加医療補償制度の対象とならない可能性も0ではありません。その際は、支給額が48.8万円など前後する可能性があるため、注意が必要です。

また、医療機関によっては出産育児一時金直接支払制度が利用できるので、医療機関等の窓口で支払う金額を抑えたい方は、事前にチェックしておきましょう。

参考:出産育児一時金の支給額・支払方法について|厚生労働省

児童手当|子どもが中学校を卒業するまで

フリーランスが活用可能な育休に関わる制度の中には、児童手当も含まれます。

児童手当とは、児童を養育している方に、子どもが中学校を卒業するまで支給される手当です。手当の金額は、年齢によって異なります。

児童手当における1か月分の年齢別支給金額は、以下のとおりです。

  • 3歳未満・・・一律15,000円
  • 3歳以上小学校修了前・・・10,000円(第3子以降は15,000円)
  • 中学生・・・一律10,000円

原則として、支給のタイミングは毎年6月、10月、2月の3回です。1回につき4か月分ずつ振り込まれます。

児童手当を希望する場合は申請が必要となり、遅れた場合にはその分の手当を受けられないので、注意しましょう。

参考:児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部|内閣府

子どもの医療費助成|子どもが一定の年齢になるまで

子どもの医療費助成も、フリーランスが活用できる制度の1つです。子どもの医療費助成とは、一定の年齢になるまで医療費の自己負担分を各自治体が助成する制度を指します。

たとえば東京都では、乳幼児医療費や義務教育就学児医療費が助成されます。

いずれも、対象条件は以下のとおりです。

  • 保護者・子どものいずれもが東京都内各区市区町村に住民登録がある
  • 健康保険に加入している

乳幼児医療費助成制度は、6歳に達する日以後で最初の3月31日までの乳幼児を養育している方が対象となっています。義務教育就学児医療費は、6歳に達する日の翌日以後の最初の4月1日から15歳に達する期間に属する子どもを養育している方が対象です。

なお、お住まいの自治体によって助成される内容や条件は異なる場合があるため、活用したい方は各自治体の情報をチェックしましょう。

参考:医療助成|東京都福祉局

フリーランスが育休をとるために準備しておきたいこと

フリーランスの場合、一般企業などに属する正社員のように十分な育休制度は受けられないため、出産や育児をする期間に対して不安を感じてしまうでしょう。

ここからは、フリーランスが自身で育休をとる際に安心できるよう、準備しておきたい4つのことをご紹介します。

クライアントに仕事をセーブする期間や育休期間を相談する

フリーランスが育休をとるためには、クライアントへの相談が欠かせません。

具体的には、以下の内容をなるべく早めに相談しておくことが大切です。

  • いつからどのように仕事を減らすのか
  • いつからいつまで仕事を完全に休むのか
  • いつからどのように復帰するのか
  • 今現在可能な仕事量や稼働時間

ちなみに、育休を機に契約を解除する場合、準委任契約はフリーランス都合でも契約解除ができますが、請負契約の方は業務を完了していなければ契約の解除ができない可能性もあります。

また、育休の相談をすることで仕事を打ち切られるリスクもあるため、話すタイミングや話し方にも注意が必要です。

2024年の秋頃施行予定のフリーランス保護法では、育児や介護などに関する配慮規定(第13条)が設けられますが、現状はとくに規定がないため、クライアントの判断に委ねられます。

参考:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の概要 (新規)|厚生労働省

パートナーと妊娠・出産後の生活について話し合う

フリーランスで育休を取得したい方は、パートナーと妊娠や出産後の生活について話し合うことも大切です。

家事・育児はどれくらい分担できるのか、在宅勤務の対応は可能かなど、話し合うべき内容はたくさんあります。

パートナーが会社員の場合、双方がフリーランスの場合に分け、話しておくべき内容を以下にまとめました。ぜひ参考にしてください。

【パートナーが会社員の場合】

  • 育休制度を活用できる環境か
  • 延長が必要になった場合にも対応できるか

【パートナーもフリーランスの場合】

  • 現在より仕事量をセーブできるか
  • セーブすることによる収入面の影響は大丈夫か

とくに、パートナーもフリーランスである場合には、仕事量のセーブや育児の分担をバランスよくおこなうためにもお互いの協力が必要です。

どちらかに負担が偏らないよう、事前にしっかり話し合いをしておきましょう。

フリーランスとして働けない期間に備えて金銭的な備えをする

今後、育休の取得を検討している方は、フリーランスとして働けない期間に備え、金銭的な蓄えをしておくことも大切です。

妊娠から出産までにかかる費用の目安は約50万円といわれています。

怪我や病気が理由で働けなくなった場合にはフリーランスでも加入可能な保険もありますが、出産に関してはそのほとんどが対象外です。

そのため、とくにフリーランスは、最低限の貯蓄をしておく必要があります。

フリーランスが育休を取得するためには、少なくとも3か月分の生活費が手元に残るよう、貯金をしておきましょう。また、上記で解説したとおり、フリーランスでも活用できる補助制度があるので、金銭的に不安がある方は、使える補助制度をうまく活用することを推奨します。

フリーランスで育休を経験済みの知人がいる場合は相談してみる

フリーランスで育休を取得する際、すでに育休を経験済みの知人に相談してみるのもよいでしょう。経験者にアドバイスをもらえば、事前に不安や疑問点を軽減できます。

また、自分では思いつかない解決策を知るきっかけにもなります。知人の中に育休を経験したことのある先輩フリーランスがいる方は、積極的に相談してみましょう。

フリーランスは育休に備えて妊娠中から保活を進めておくのがおすすめ

フリーランスの場合、育休に備えて妊娠中から「保活」を進めておくことがおすすめです。

フリーランスとして個人で仕事を請け負う以上、働けない期間が長ければその分収入が減ってしまいます。そのため、多くのフリーランスが、子どもがある程度成長したらすぐに保育所に子どもを預けて仕事に復帰したいと考えるのではないでしょうか。

そこで大切なのが「保活」です。保活とは、子どもを保育所に入れるために保護者がおこなう活動を指します。とくに待機児童が多い自治体では、希望する認可保育所に子どもを入れられないことも少なくありません。事前に、入念な情報収集や準備が必要です。

保活の主な流れは、以下のとおりです。

  1. 情報収集
  2. 保育園の見学
  3. 申し込み準備
  4. 手続き

一般的に、フリーランスは審査に通りにくい傾向があるため、余裕を持った対策が求められます。育休が終わり次第仕事に復帰したいフリーランスは、妊娠中または産休中から保活を進めておきましょう。

また、0歳から入れる保育所を探しておくのもよいでしょう。とくに、認可保育所に入るための選考では、家庭状況を点数化して評価されます。

さらに、認定を受けると、子ども・子育て支援新制度も利用可能です。認定こども園や地域型保育施設の整備などは、働く保護者にありがたい環境が整っているため、ぜひチェックしてみてください。

保活を始める際には、就労証明書、収入証明書、開業届の控えを用意しておくと、スムーズに手続きが進むでしょう。

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まとめ

本記事では、フリーランスでも育休制度を利用できるのか、残念ながら対象外となる制度や、逆にフリーランスが活用できる制度・補助金について詳しく解説しました。

育休制度は、基本的に雇用されている労働者が対象となるため、フリーランスは対象外です。そのため、フリーランスでも活用できるすべての助成金や補助を賢く利用し、安心して出産と子育てを迎えましょう。何よりも、育休をとる前から余裕を持って準備しておくことが大切です。

本記事では、育休取得のために事前に準備すべきこともご紹介しました。今後、育休取得を検討中のフリーランスの方に、少しでもこの記事をお役立ていただけると幸いです。

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