フリーランスに育休はある?利用できる制度や育児中のお金を解説
「フリーランスでも育休を取れる?」
「会社員のように育児休業給付金はもらえる?」
「子育てしながらフリーランスとして仕事を続けるにはどうすればいい?」
フリーランスとして働く人にとって、出産や育児は仕事だけでなく、収入や社会保険、案件の継続にも関わる大きなライフイベントです。
会社員には育児休業制度や育児休業給付などがありますが、フリーランスは雇用契約ではなく業務委託契約などで働くため、会社員と同じ育休制度をそのまま利用できるわけではありません。
一方で、フリーランスにも利用できる出産・育児関連の制度があります。
さらに、2024年11月に施行されたフリーランス法では、一定の業務委託について、育児と仕事を両立するための配慮を発注事業者に求める仕組みも設けられました。
加えて、2026年10月からは、フリーランスなどの国民年金第1号被保険者を対象とした「国民年金保険料の育児免除制度」が始まります。
この記事では、2026年9月時点の制度をもとに、フリーランスの育休について知っておきたい制度や、育児中のお金・働き方について解説します。
この記事のポイント
・フリーランスには会社員のような法律上の育児休業制度はない
・雇用保険の育児休業給付は、通常のフリーランスは対象外
・出産育児一時金や国民年金の産前産後免除など、利用できる制度がある
・2026年10月から国民年金第1号被保険者向けの「育児免除制度」が始まる
・一定の業務委託では、発注事業者に育児との両立に必要な配慮が求められる
・保育や案件の調整を含め、出産前から仕事と育児の両立を準備することが重要
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フリーランスは育休を取得できる?
結論からいうと、個人事業主・フリーランスとして業務委託で働いている人は、会社員を対象とした法律上の「育児休業」を取得する立場にはありません。
育児休業は、育児・介護休業法に基づき、雇用されている労働者が一定の要件のもとで取得する制度です。
一方、フリーランスは基本的に企業との雇用関係ではなく、業務委託などの契約によって仕事をしています。そのため、会社員のように勤務先へ「育休を取得します」と申し出て、雇用関係を維持したまま休業する仕組みを利用することはできません。
ただし、副業としてフリーランスをしていて、別の会社では雇用されている場合は話が変わります。会社員として雇用保険などの対象になっている仕事については、その雇用関係に基づいて育児休業や育児休業給付の対象となる可能性があります。
「フリーランスだから育休が一切関係ない」のではなく、雇用契約があるかどうかで利用できる制度が変わります。
参考:育児・介護休業法について|厚生労働省
参考:フリーランスも産休を取れる?育児休業給付金や保活など出産に関する疑問を解決!|Relance
産休もフリーランスにはない?
会社員などの労働者には、出産する本人を対象とした産前産後休業があります。産前休業は、出産予定日の6週間前から請求することで取得できます。また、出産後8週間は原則として就業できない産後休業があります。
一方、フリーランスには雇用契約に基づく「産前産後休業」という制度はありません。そのため、フリーランスの場合は、自分の体調や仕事内容、取引先との契約などを踏まえて、仕事を休む期間や稼働量を自分で調整することになります。
なお、フリーランス法では、一定の業務委託について、妊娠・出産・育児と業務を両立するための配慮が発注事業者に求められています。
この点については、後ほど詳しく解説します。
フリーランスは育児休業給付金をもらえる?
フリーランスは、原則として育児休業給付の対象になりません。
育児休業給付は雇用保険制度による給付で、一定の要件を満たした雇用保険の被保険者が育児休業を取得した場合などに支給されます。
そのため、雇用保険に加入していない個人事業主・フリーランスは、会社員と同じように育児休業を取得して育児休業給付を受けることはできません。
「育休を取れば育児休業給付金がもらえる」という仕組みは、雇用保険に加入している労働者を前提とした制度です。
フリーランスが仕事を休んだからといって、自動的に育児休業給付が支給されるわけではありません。
会社員の育児休業給付とは?
参考として、雇用保険の被保険者が受け取れる育児休業給付を確認しておきましょう。
育児休業給付は、一定の要件を満たす場合、原則として育児休業開始から180日までは休業開始時賃金日額の67%相当額、それ以降は50%相当額が支給されます。
また、2025年4月からは「出生後休業支援給付金」が創設され、一定の要件を満たす場合には、育児休業給付と合わせて最大28日間、休業開始時賃金日額の80%相当額となる仕組みが設けられています。
なお、2025年4月からは「育児時短就業給付」も創設されています。これらはいずれも雇用保険の制度であり、通常のフリーランスは対象外です。
そのため、フリーランスが育児期間中の生活資金を考える場合は、会社員とは別に、貯蓄や案件調整、公的制度などを組み合わせて準備する必要があります。
フリーランスは保育園の審査で不利?内定のコツや落ちた場合の対処法も紹介!
フリーランスが利用できる出産・育児の制度
フリーランスには会社員と同じ育児休業制度はありませんが、出産・育児に関連する公的支援を利用できる場合があります。
代表的な制度を整理すると、以下のとおりです。
| 制度 | フリーランス | 主な内容 |
| 育児休業 | 原則対象外 | 雇用されている労働者向けの休業制度 |
| 育児休業給付 | 原則対象外 | 雇用保険の被保険者向けの給付 |
| 出産手当金 | 原則対象外 | 会社員など健康保険の被保険者向け |
| 出産育児一時金 | 対象 | 公的医療保険から出産時に支給 |
| 国民年金の産前産後免除 | 対象 | 第1号被保険者の出産時に利用可能 |
| 国民健康保険料の産前産後免除 | 対象 | 2024年1月から実施 |
| 国民年金保険料の育児免除 | 対象 | 2026年10月から開始 |
| こども誰でも通園制度 | 利用可能 | 就労要件を問わず利用できる新たな通園給付 |

出典:厚生労働省「出産育児一時金等について」/日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」/こども家庭庁「こども誰でも通園制度について」
制度によって対象者や条件、申請先が異なるため、「フリーランスだから使えない」と一括りにせず、それぞれ確認することが大切です。
出産育児一時金|出産にかかる費用を支援
出産育児一時金は、公的医療保険の加入者が出産したときに支給される制度です。
2026年9月時点では、子ども1人につき原則50万円が支給されます。フリーランスで国民健康保険に加入している場合でも、公的医療保険の加入者として要件を満たせば対象になります。
これは「育休中の収入を補償する制度」ではなく、出産にかかる経済的負担を軽減するための制度です。そのため、育児休業給付とは役割が異なります。
出産を予定している場合は、自分が加入している健康保険の窓口や自治体の国民健康保険窓口などで、支給条件や申請方法を確認しておきましょう。
国民年金の産前産後免除|出産するフリーランスが利用できる制度
国民年金の第1号被保険者には、出産前後の一定期間について国民年金保険料が免除される制度があります。原則として、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間が対象で、多胎妊娠の場合は出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間が対象です。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」
この制度による免除期間は、保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。そのため、単純な未納とは扱いが異なります。届出は出産予定日の6か月前から可能で、出産後に手続きすることもできます。
出産する予定があるフリーランスは、忘れずに手続きを確認しておきましょう。
2026年10月開始|フリーランスの育児期間も国民年金保険料が免除に
これまでフリーランスなどの国民年金第1号被保険者には、会社員の育児休業期間にあるような育児期間の国民年金保険料免除制度はありませんでした。
しかし、2026年10月から、子を養育する国民年金第1号被保険者について、その子が1歳になるまでの期間に係る国民年金保険料を免除する制度が始まります。

出典:日本年金機構「令和8年(2026年)10月から国民年金保険料の育児免除制度が始まります」
育児免除制度の対象者
対象となるのは、国民年金第1号被保険者です。日本年金機構によると、実父母・養父母が対象となり、所得に関係なく国民年金保険料の免除を受けられます。
また、免除された期間は、保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。
| 項目 | 内容 |
| 開始時期 | 2026年10月 |
| 対象 | 国民年金第1号被保険者 |
| 対象となる子 | 1歳未満の子 |
| 対象者 | 実父母・養父母 |
| 所得制限 | なし |
| 免除期間 | 子を養育する期間のうち、制度上定められた期間 |
| 将来の年金額 | 保険料を納付したものとして反映 |
ここで注意したいのは、誰でも一律に12か月分が免除されるわけではないことです。
たとえば、実父または養父母の場合、子を養育することとなった日の属する月から、子が1歳になる誕生日の前月までが育児免除期間となります。一方、実母については、出産前後の国民年金保険料免除制度との関係によって免除期間が決まります。制度開始後は、自分の状況に応じた対象期間を確認したうえで手続きを行いましょう。
2026年10月から、フリーランスなどの国民年金第1号被保険者も、一定の要件を満たせば育児期間中の国民年金保険料免除を利用できるようになります。
国民健康保険料も産前産後期間は免除される
フリーランスが加入することの多い国民健康保険についても、出産する被保険者を対象とした産前産後期間の保険料免除があります。
この制度は2024年1月から開始されており、出産する国民健康保険の被保険者について、産前産後期間相当分の保険料が公費によって免除されます。
単胎の場合、対象となるのは原則として4か月間です。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」
なお、具体的な届出方法や保険料の扱いは、加入している国民健康保険の保険者によって確認が必要です。
国民年金と国民健康保険は別の制度です。
出産前後の国民年金保険料の免除と、国民健康保険料の産前産後期間の免除は、それぞれ制度・手続きが異なります。
「年金が免除されるから健康保険も自動的に免除される」と考えず、それぞれ確認してください。
フリーランス法で「育児との両立への配慮」が求められる
フリーランスに会社員のような育児休業制度がないからといって、取引先との関係で育児について何の配慮も受けられないわけではありません。
2024年11月に施行されたフリーランス法では、一定の業務委託について、発注事業者に妊娠・出産・育児または介護と業務の両立に必要な配慮をする義務が設けられています。
どのような配慮が対象になる?
6か月以上の業務委託をしている場合、フリーランスから申出があったとき、発注事業者は育児などと業務を両立できるよう必要な配慮をしなければなりません。
一方、6か月未満の業務委託については、必要な配慮をするよう努めることとされています。
配慮の例として、以下のような対応が挙げられています。
・妊婦健診などに合わせて打ち合わせ時間を調整する
・育児のためにオンラインで業務を行えるようにする
・就業時間を短縮する
出典:公正取引委員会「2025年公正取引委員会フリーランス法特設サイト」
ただし、フリーランスが希望した内容を必ず実現しなければならないという意味ではありません。
発注事業者には、申出の内容を把握したうえで、対応可能な選択肢を検討し、配慮を実施する場合はその内容を伝え、実施しない場合には理由を説明することが求められます。
出典:公正取引委員会「Q&A」
フリーランスが育児中の仕事をどうするか
フリーランスには会社員のように「育休を取得して復職する」という決まった流れがありません。
そのため、出産前から仕事をどのように調整するかを考えておくことが重要です。
まず取引先と契約内容を確認する
現在の案件を継続している場合は、出産前に契約内容を確認しておきましょう。
特に確認したいのは、
・契約期間
・契約更新の条件
・稼働日数や稼働時間
・業務場所
・納期
・休業や稼働変更についての取り決め
などです。また、フリーランス法では、一定の業務委託について発注事業者が取引条件を明示することが義務付けられています。
契約上の条件を確認したうえで、いつまで働くのか、どの程度休むのか、復帰後にどのような働き方を希望するのかを早めに相談するとよいでしょう。
出典:公正取引委員会「2025年公正取引委員会フリーランス法特設サイト」
フリーランスの保活はどうする?
出産後も仕事を続けたい場合、保育園などの預け先を確保できるかどうかは重要なポイントです。フリーランスでも保育施設の利用を申請できますが、入園の選考基準や必要書類などは自治体によって異なります。
そのため、住んでいる自治体の保育施設利用案内を確認しておきましょう。申請時には、就労状況を確認するための書類として、就労証明書などが必要になる場合があります。
「フリーランスだから保育園に入れない」と決めつけず、自治体の基準を確認することが重要です。
2026年度から「こども誰でも通園制度」も全国実施
2026年度からは「こども誰でも通園制度」が全国の自治体で実施されています。この制度は、就労要件を問わず、月一定時間まで時間単位などで柔軟に利用できる新たな通園給付です。
フリーランスの場合、「保育園にはまだ入れていないけれど、仕事の時間を少し確保したい」といった場面で選択肢になる可能性があります。
ただし、対象年齢や利用時間、利用料、実施施設などの具体的な条件については、自治体や施設によって確認が必要です。保育園だけを選択肢にせず、「こども誰でも通園制度」なども含めて預け先を検討すると、仕事との両立方法を考えやすくなります。
フリーランスが出産・育児前に準備しておきたいこと
育児期間中に収入が減少する可能性があるフリーランスにとって、出産前の準備は重要です。

生活費を確保しておく
通常のフリーランスは育児休業給付の対象ではないため、仕事を減らした期間は収入が減少する可能性があります。
そのため、出産前から、
・毎月の生活費
・税金や社会保険料
・保育費
・仕事を休む期間
などを確認し、必要な資金を準備しておくと安心です。
取引先を分散させる
一社の案件に収入を依存している場合、出産や育児によって案件を離れたときに収入が大きく減少する可能性があります。
複数の取引先との関係を築いておくことや、復帰後に再び案件を探せる状態を維持しておくことも選択肢になります。
復帰後の働き方を考える
「いつ復帰するか」だけでなく、
・週何日働くか
・何時間稼働できるか
・フルリモートが必要か
・出社は可能か
・子どもの急な体調不良に対応できるか
など、具体的な条件を整理しておくと案件を探しやすくなります。
特に子育てと仕事を両立する場合は、単価だけではなく、稼働日数や働く場所、時間帯などを含めて案件を検討することが重要です。
フリーランスの育休についてよくある質問
フリーランスは育休を取れますか?
個人事業主・フリーランスとして業務委託で働いている場合、会社員のような法律上の育児休業制度を取得することはできません。
ただし、取引先との契約内容を調整したり、一定の業務委託についてフリーランス法に基づく育児との両立への配慮を求めたりすることは可能です。
出典:公正取引委員会「2025年公正取引委員会フリーランス法特設サイト」
フリーランスでも育児休業給付金をもらえますか?
通常のフリーランスは雇用保険の被保険者ではないため、育児休業給付の対象にはなりません。
ただし、フリーランスとは別に会社などと雇用契約を結んでいる場合は、その雇用関係について対象となる可能性があります。
フリーランスは育児中の国民年金が免除されますか?
2026年10月から、国民年金第1号被保険者を対象とした「国民年金保険料の育児免除制度」が始まります。実父母・養父母など一定の要件を満たす場合、子が1歳になるまでの期間に係る国民年金保険料が免除されます。
また、所得に関係なく利用でき、免除期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。
フリーランスでも保育園に入れますか?
フリーランスでも保育施設の利用を申請できます。ただし、入園基準や必要書類は自治体によって異なります。また、2026年度からは、就労要件を問わず利用できる「こども誰でも通園制度」が全国の自治体で実施されています。
まとめ|フリーランスは育休制度がなくても利用できる支援がある
フリーランスには、会社員のような法律上の育児休業制度や育児休業給付は原則としてありません。そのため、出産・育児によって仕事を休む場合は、収入減少への備えや取引先との契約調整を自分で考える必要があります。
一方で、フリーランスでも利用できる制度はあります。出産育児一時金や国民年金の産前産後免除、国民健康保険料の産前産後期間の免除などがあり、2026年10月からは国民年金保険料の育児免除制度も始まります。
また、フリーランス法によって、一定期間以上の業務委託では、育児と仕事を両立するための必要な配慮を発注事業者に求める仕組みも設けられています。そのため、「フリーランスだから育児中は仕事を続けられない」と考えるのではなく、利用できる制度や契約上の選択肢を確認しながら、自分に合った働き方を準備しておくことが大切です。
出産後も仕事を続けたい場合は、現在の案件だけでなく、復帰後の稼働日数や働く場所などをあらかじめ整理しておくと、次の案件も探しやすくなります。
フリーランスエンジニアの案件を探している方へ
育児と仕事を両立するなら、報酬だけでなく、リモート勤務の可否や週の稼働日数など、自分の生活に合った条件で案件を探すことも重要です。
Relanceでは、働き方やキャリアについての相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
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