フルスタックエンジニアはいらない?実は需要が高い理由・活躍するために必要なスキルなどを徹底解説

「フルスタックエンジニアは信頼性が低く、強みが分かりにくいからいらない」などという声を耳にしたことはありませんか?

フルスタックエンジニアに対するこのような誤解は少なくありません。しかし実際には、フルスタックエンジニアは、開発スピードの向上や人件費の削減など、企業にとって多くのメリットをもたらす存在です。

本記事では、「フルスタックエンジニアがいらない」と言われる理由と、実際には需要が高い理由について詳しく解説します。また、フルスタックエンジニアとして活躍するために必要なスキルや、キャリアアップに有利な資格についてもご紹介します。フルスタックエンジニアを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

フルスタックエンジニアがいらないと言われるのは誤解

フルスタックエンジニアは、開発工程全般に関する幅広い知識とスキルを持つエンジニアであり、プロジェクトにおいて貴重な存在です。

しかし、一部では、以下のような理由から「フルスタックエンジニアがいらない」などと言われてしまうこともあります。

  • 器用貧乏と思われがち
  • 信頼度が低い
  • 強みが分かりにくい

それぞれの詳細について見ていきましょう。

器用貧乏と思われがち

フルスタックエンジニアは、フロントエンドからバックエンドまでの幅広い技術スタックを習得し、一連の開発工程を1人で担当できる、万能型のエンジニアです。しかし、一方で「器用貧乏」や「中途半端」というイメージを持たれることもあります。

IT業界では特定の領域に特化した専門性が重視される傾向にあり、一般的に専門性を磨くにはかなりの時間を必要とします。その点、フルスタックエンジニアはさまざまな技術を有しているものの、「個々の領域に対する知識や理解が浅いのではないか」という印象を与えることがあるのです。

専門性を重視する企業や開発チームからは、「どの分野に対しても中途半端」「器用貧乏」などと評価され、「フルスタックエンジニアはいらない」と思われてしまうこともあるかもしれません。

しかし、フルスタックエンジニアの強みは、全体像を把握し、各技術の連携を理解している点にあります。とくにプロジェクトの初期段階や小規模な開発では、フルスタックエンジニアの存在がプロジェクト進捗の効率化と遂行スピードに大きく貢献するでしょう。

信頼度が低い

フルスタックエンジニアが「いらない」と言われる理由の1つに、人によっては信頼度に乏しい点も挙げられるでしょう。

フルスタックエンジニアは、特定の資格や認定制度がないため、自身の判断で「フルスタックエンジニア」を名乗れます。中には、相応の技術力を持ち合わせていない方が、フルスタックエンジニアを自称するケースも見受けられます。

このようなケースがあることから、発注側から「フルスタックエンジニアと称しているだけで、高い技術力を備えていないのでは?」と疑問を抱かれ、エンジニアとしての信頼度が低下してしまうことがあるのです。

実際、あらゆる分野・領域に実際に精通し、高い知識やスキルを持っているかどうかを証明するのは容易ではありません。そのため、フルスタックエンジニアの信頼性に対する懸念が生まれてしまい、「フルスタックエンジニアは不要」という意見が出てくることもあります。

フルスタックエンジニアが自身の技術力を示すためには、具体的な実績やポートフォリオを提示するなど、信頼性を高める努力が必要です。

強みが分かりにくい

フルスタックエンジニアの強みが分かりにくいことも、「フルスタックエンジニアはいらない」と言われる理由の1つです。フルスタックエンジニアは、開発においてオールラウンドに活躍できるエンジニアであり、あらゆる知識を身につけ、さまざまな業務を担当できます。

一方で、「さまざまなことができること」は、「突出して得意な分野・スキルはない」と捉えられることもあるでしょう。先述したように、1つの専門技術・知識を極めるには相当の時間がかかるため、一般的に幅広い知識・スキルを一つひとつ深く学び、身につけることは難しいものです。

フルスタックエンジニアの具体的な強みや得意分野が分かりにくいために、高い専門性を求められる場面・仕事では、フルスタックエンジニアの必要性は低下することがあります。

フルスタックエンジニアの需要が高い理由

誤解のあるイメージから「いらない」などと評されてしまうこともあるフルスタックエンジニアですが、実際には以下のような理由から需要が高まっています。

  • 開発スピードが向上する
  • エンジニアに求められる役割が変化している
  • 人件費の削減ができる
  • 視野が広い

それぞれの詳細について詳しく見ていきましょう。

開発スピードの向上

フルスタックエンジニアの需要が高まっている理由としては、開発スピードの向上が挙げられます。フルスタックエンジニアは1人ですべての開発工程を担えるため、複数のメンバーで開発を進めるよりも開発がスピーディーに進みやすいです。

たとえば、フロントエンドとバックエンドの開発を別々のエンジニアが担当する場合、お互いの作業進捗を確認しながら進める必要があります。一方で、フルスタックエンジニアならすべてを1人で対応できるため、そのような手間を省けるのです。

また、人員のアサインや作業の指示出しにかかる時間も削減できます。

とくに、スピード重視のアジャイル開発において、この点は大きなメリットとなるでしょう。アジャイル開発では、短いサイクルでの開発とリリースを繰り返すため、迅速な対応が求められます。その点、対応範囲が広く機敏性の高いフルスタックエンジニアは、運用状況やクライアントの要望に迅速に応えることが可能です。そのため、クライアントからの需要も高くなります。

さらに、フルスタックエンジニアが開発を担当することで、情報の引継ぎに伴う作業を減らせるため、伝達ミスのリスク軽減なども期待できるでしょう。

エンジニアに求められる役割の変化

近年、オールラウンダーなITエンジニアを求める企業が増えてきており、そのことがフルスタックエンジニアの需要増につながっています。

これまでのITエンジニアには、仕様書に沿って確実にアプリケーションを開発し、納品することが求められてきました。しかし昨今は、開発後の運用や改良、また機能の追加に対応できることも重要視されるようになってきています。その点においてフルスタックエンジニアは、リリース後も、利用者やクライアントのニーズに沿って迅速な対応が可能です。

また、クラウドサービスが手軽に利用できるようになった最近では、エンジニア不在でもある程度のシステム構築はできるようになってきました。そのためエンジニアには、システム全体を捉え、開発から運用、改善までを一貫しておこなえるような付加価値が求められるようになってきています。そのような背景から、フルスタックエンジニアの需要が増加しているのです。

人件費の削減が可能

フルスタックエンジニアの需要が高まっている理由の1つに、人件費を削減できることが挙げられます。

フルスタックエンジニアは、設計から運用、改善までを一貫しておこなえるため、開発に必要な人数を減らせます。それに伴う人件費の削減が可能です。

一般的に、プロジェクトの立ち上げから完遂までには、多岐にわたるエンジニアを必要とします。具体的には、「システムエンジニア」「サーバーエンジニア」「ネットワークエンジニア」「データベースエンジニア」「インフラエンジニア」「プロジェクトマネージャー」などが挙げられるでしょう。その点、フルスタックエンジニアはこれらの業務を1人で幅広くこなせるため、採用コストや人件費を抑えられるのです。

とくに、予算が限られているスタートアップ企業や中小企業においては、フルスタックエンジニアの存在は大きなメリットと捉えられる場面が多いでしょう。

視野の広さ

広い視野を持ち、全体を見ながら開発を進められるフルスタックエンジニアは、現場でも大きな力を発揮できます。

通常の開発プロジェクトでは、フロントエンドとバックエンドなどの専門分野で分業しながら進めていくため、エンジニアの知識や視野に偏りが生じがちです。それによって、全体最適ではなく、部分最適になってしまうリスクがあります。

しかし、幅広い分野に知見のあるフルスタックエンジニアがプロジェクトに参画することで、分野を越えて開発作業を最適化でき、より高い生産性を発揮できます。たとえば、UI/UXの設計においては、バックエンドの処理性能を考慮しつつ、全体的なUXを高められるようなデザインを提案できるはずです。

そうした点においても、フルスタックエンジニアの需要が高まっているといえるのです。

フルスタックエンジニアが活躍できる場所

フルスタックエンジニアは、とくに以下のような場所での活躍が期待できます。

  • スタートアップ企業
  • IT化を進めたいと考える中小企業
  • 起業・フリーランス

どのような理由で活躍しやすいのかを解説します。

スタートアップ企業

スタートアップ企業は、少数精鋭のチームで事業を立ち上げていくため、フルスタックエンジニアが大いに活躍できる場といえます。

一般的に、初期のスタートアップ企業では資金的な制約から、多くの人材を採用することは難しいです。その点フルスタックエンジニアは、フロントエンドからバックエンド、インフラまで対応できるオールラウンダーなため、少ない人数・予算でもスピーディーに開発を進められます。その点がスタートアップ企業にとって大きな魅力となるでしょう。

また、スタートアップ企業での経験は、フルスタックエンジニア自身のスキルアップにも役立ちます。限られたリソースの中でさまざまな課題にチャレンジすることで、問題解決力や技術力を高められるでしょう。

初期のスタートアップ企業で活躍し、事業の成長に貢献できれば、将来的にマネージャークラスのポジションに就くチャンスも広がります。事業の立ち上げ期から関わり、プロダクトの成長を支えてきた経験は、高く評価されるはずです。

IT化を進めたいと考える中小企業

IT企業ではないものの、社内のIT化を進め業務効率を高めたいと考える中小企業にとって、フルスタックエンジニアはまさに痒いところに手が届く存在でもあるでしょう。

大手企業であれば、社内にIT化のための専門部署を立ち上げ、それぞれの領域のエンジニアを多数採用することも可能です。しかし、中小企業においては、そのための手間やコストをかけられる余裕はないケースも少なくありません。IT業界でなければ尚更です。

そうした状況下であっても、フルスタックエンジニアがいれば1人で一通りの開発を進められます。業務システムの構築から、顧客対応のシステム化、自社サイトの機能追加・改善などまで幅広く対応できるでしょう。コストを抑えつつIT化を進められるため、フルスタックエンジニアは重宝されるのです。

起業・フリーランス

フルスタックエンジニアは、起業したりフリーランスとして独立したりしても、大いに活躍できるでしょう。設計から開発、運用までを一貫して担当できるスキルは、自身の事業を立ち上げるうえで強力な武器となります。

フルスタックエンジニアは、1人でマルチに対応でき、さまざまな案件に携わりやすいため、企業に属するよりもフリーランスとなった方が収入をアップできる可能性が高まります。

発注側から見ても、複数のエンジニアに分けて発注するより1人のフルスタックエンジニアに依頼した方が、発注費用の面でもコミュニケーションコストの面でも負荷を軽減できてメリットが大きいです。

また、自身のスキルを活かし起業するのもよいでしょう。

自身があらゆる領域においてさまざまなスキルを持っているからこそ、人材の採用や人員アサインにも有利に働くことがあるはずです。

フルスタックエンジニアは幅広い知識を持っているため、起業・フリーランスどちらのケースにおいても、クライアントとのコミュニケーションをスムーズに進められます。要件定義の段階から技術的な観点でアドバイスできるため、クライアントの期待に沿ったサービス開発をしやすいでしょう。

意思疎通がしやすく齟齬が生じにくいことも、ほかのエンジニアと差別化できる点です。この点は、起業やフリーランスとして活動するうえで大きなアドバンテージとなります。

フルスタックエンジニアとして活躍するためにすべきこと

フルスタックエンジニアになりさえすれば活躍できるわけではありません。

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、以下の内容を心がけることが重要です。

  • エンジニアとしての得意分野をつくる
  • 対応職域を広げる
  • 市場の情報や流行を敏感にキャッチアップする
  • 下流工程の経験を積む
  • 上流工程の経験を積む

それぞれ、なぜ重要で、どのような点に気をつければよいかを解説します。

エンジニアとしての得意分野をつくる

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、幅広い知識やスキルを身につけることも重要ですが、同時にエンジニアとしての得意分野を持つことも大切です。

これは、フルスタックエンジニアがさまざまな領域に対応できるゼネラリストとして評されることが多く「器用貧乏」と思われてしまう場面もあることに起因します。

そうした偏見を避けるためには、自身の強みとなる専門分野を持つことが1つの得策です。たとえば、フロントエンド開発にとくに長けているフルスタックエンジニアなら、UI/UXの設計や実装力を鍛えることなどが挙げられます。

まずは1つの得意分野を深く掘り下げてから、徐々に業務の幅を広げていきましょう。最初からさまざまな領域に手を出すと、中途半端になってしまうリスクが高まるため、まずは自身の専門性を高めることに注力することがおすすめです。そのうえで、関連する領域の知識やスキルを身につけていくことで、フルスタックエンジニアとしての実力を着実に積み上げられます。

対応職域を広げる

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、対応職域を広げていくことも重要です。エンジニアとしての得意分野を持つことはもちろん大切ですが、それだけでは十分とはいえません。フルスタックエンジニアの真価は、さまざまな領域に対応できる点にあります。

得意分野や専門領域がしっかりと確立できたら、次のステップとして、関連する分野へと職域を広げていきましょう。たとえば、フロントエンド開発が得意なエンジニアであれば、新たなステップとして、バックエンド開発やデータベース設計といった領域のスキルアップを図るとよいでしょう。ただし、闇雲に手を広げるのではなく、これまでに培ったスキルを活かせる分野から着実に範囲を広げていくことが重要です。

その際、「器用貧乏」や「中途半端」といった評価を避けるためにも、一つひとつの領域を深く理解することを心がけましょう。

市場の情報や流行を敏感にキャッチアップする

フルスタックエンジニアとして活躍し続けるためには、市場の情報や流行を敏感にキャッチアップしていくことも不可欠です。IT業界は変化のスピードが非常に速く、新しい技術やツールが次々と登場しています。そうした動向を的確に把握し、自身のスキルセットに取り入れていく姿勢が求められるのです。

たとえば、近年はAIやビッグデータ、クラウドといった技術が注目を集めています。フルスタックエンジニアとして、これらの分野に関する基礎知識を持ち、プロジェクトへの適用方法を理解しておくことが重要といえるでしょう。加えて、新しいプログラミング言語やフレームワークの登場にも対応していく必要があります。

ただし、フルスタックエンジニアの場合、キャッチアップすべき内容が多岐にわたるため、効率的に情報を収集して取捨選択する力も求められます。1つの分野などに傾倒しすぎず、業界全体の動向を俯瞰的に捉え、本質的なトレンドやニーズを見極める洞察力も鍛えていきましょう。

下流工程の経験を積む

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、システム開発における下流工程の経験をしっかりと積むことも重要です。下流工程とは、上流工程で決定された要件定義や設計に基づいて、実際にシステムを実装していく工程を指します。この段階では、コーディングやテスト、デバッグなどが主な作業内容です。

フルスタックエンジニアは、単に幅広い知識を持つだけでなく、実践的なスキルも身につけなければなりません。下流工程の経験を積むことで、プログラミング言語の習得はもちろん、システム開発の現場で求められる問題解決力やコミュニケーション能力を養えるでしょう。

コーディングの際に発生したエラーへの対処方法や、ほかのエンジニアとの連携の取り方など、実際のプロジェクトに携わることで得られる学びは多岐にわたります。まずは下流工程の経験をしっかりと積み、エンジニア思考を磨いていきましょう。さまざまなプロジェクト・システム開発に携わり、トラブル対応なども含めあらゆる経験を積むことで、フルスタックエンジニアとしての力が身についていきます。

上流工程の経験を積む

フルスタックエンジニアとして真の実力を発揮するためには、下流工程の経験だけでなく、上流工程の経験を積むことも重要です。上流工程とは、システム開発の初期段階においてクライアントのニーズを分析し、要件定義や設計、企画立案、詳細設計などをおこなう工程を指します。

フルスタックエンジニアが上流工程の経験を積むことで、システム開発全体を俯瞰的に捉える力が養われます。単にコーディングができるだけでなく、クライアントの要望を的確に理解し、それを実現するための最適な設計を提案できるようになるのです。上流工程での経験は、フルスタックエンジニアとしての価値を大きく高めてくれるでしょう。

また、上流工程では、エンジニアとしての知識やスキルだけでなく、マネジメント能力も求められます。プロジェクトを成功に導くためには、適切な人員配置やスケジュール管理、コスト管理が欠かせません。これらのスキルを身につけることで、フルスタックエンジニアは、プロジェクトリーダーやマネージャーとしての役割も担えるようになります。

上流工程の経験は企業からの需要が高いため、キャリアアップや転職の際にも大きなアドバンテージとなるでしょう。

フルスタックエンジニアが活躍するために必要なスキル

フルスタックエンジニアが活躍するためには、以下のようなスキルの習得が求められます。

  • プログラミングスキル
  • インフラの知識
  • クラウドサービスの知識
  • フロントエンド・バックエンドの開発スキル
  • UI/UXの知識
  • OSやミドルウェアの知識
  • マネジメントスキル

各スキルがどのように必要とされるのか、見ていきましょう。

プログラミングスキル

フルスタックエンジニアとして活躍するために、プログラミングスキルは欠かせません。とくに、エンジニアとしての価値を高めるためには、市場で需要の高い言語を習得することが重要です。

たとえば、PHP、Ruby、Pythonなどは、Webアプリ開発の分野で広く使われており、学習教材・方法も豊富です。こうした需要の高い言語を習得することで、多くのプロジェクトに参画できる機会が広がるでしょう。こうした言語はオブジェクト指向の言語ですが、多くの現代的な言語がオブジェクト指向の概念を取り入れているため、その概念を理解しておくことは、ほかの言語を効率的に習得していくうえでも役立つはずです。

また、フルスタックエンジニアには、常に学び続ける姿勢が求められます。先述したようにIT業界は変化のスピードが速く、新しい技術やフレームワークが次々と登場するため、業界動向を敏感にキャッチアップし、自身のスキルセットに取り入れていくよう意識しましょう。

インフラの知識

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、アプリケーション開発の知識だけでなく、インフラの知識も必要です。インフラとは、ネットワークやサーバー、データベースなどのシステムを支える「基盤」を指します。

フルスタックエンジニアは、このインフラの知識をもとに、ネットワークの設計・構築から運用までを一貫しておこないます。たとえば、システムを稼働させるためのサーバーを選定し運用する作業、またデータベースの設計や構築、チューニングなども該当項目です。

インフラに関わる一連の作業を円滑に進めるためには、セットアップからテストまでを一貫しておこなえるだけの知識が求められます。加えて、セキュリティ面での適切な対策を施すため、情報セキュリティの基礎を理解することも大切です。

インフラの知識が豊富にあれば、システムのリリース後に発生するトラブルへの対応やパフォーマンス改善にも役立つでしょう。

参考:インフラエンジニアに資格は必要なの?おすすめの資格10選と選び方を解説|Relance

クラウドサービスの知識

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、クラウドサービスに関する深い知識も必要です。

近年、導入コストの低さや迅速性、運用の利便性から、多くの企業がクラウドサービスを導入しています。

フルスタックエンジニアは、数多くあるクラウドサービスの中から、システム要件に最適なものを選択し利用するために、クラウドサービスに関する深い知識が欠かせません。

たとえば、Webアプリの開発であれば、AWSのEC2やS3、RDSなどを組み合わせて利用する知識・スキルが必要です。適切なクラウドサービスの選択は、さまざまな開発の効率化につながります。また、クラウドサービスの利用によりシステムのスケーリングや冗長化も容易となるため、開発スピードの向上にも期待できるでしょう。

とくにクラウドサービスの中でもトップシェアを誇るAWSは、企業からの需要が高いため、押さえておくべきサービスといえます。

参考:クラウドエンジニアが取るべき資格10選!おすすめの資格や勉強法を解説|Relance

フロントエンド・バックエンドの開発スキル

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、インフラやクラウドサービスの知識に加えて、フロントエンドとバックエンドの開発スキルも不可欠です。

フロントエンド開発では、HTMLやCSS、JavaScriptなどのスキルが欠かせません。とくにJavaScriptは、高度なプログラミングスキルが求められます。たとえば、非同期処理やDOM操作、イベント処理などを適切に実装する必要があります。

また、React.jsやVue.js、jQueryといったフレームワークやライブラリを習得しておくことも重要です。フレームワークやライブラリを活用することで、効率的かつ高品質なフロントエンド開発をしやすくなります。

一方、バックエンド開発では、PHP、Ruby、Pythonといった言語に加えて、将来性が見込まれるGo言語や、案件数の多いJavaは習得しておくべき言語です。これらの言語を使いこなせれば、幅広いシステム開発に対応できます。開発のスピード・品質を高めるために、バックエンドでもフロントエンド同様、需要の高いフレームワーク・ライブラリも同時に身につけておきましょう。

UI/UXの知識

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、UI/UXに関する深い理解も必要です。UIとUXは、共にユーザーにとっての使いやすさを左右する重要な要素です。

UIは、ユーザーがシステムやアプリケーションを操作するための画面デザインや操作性を指します。ボタンの配置や色使い、フォントの選択など、細部に至るまでユーザーの使いやすさを考慮しなければなりません。一方のUXは、ユーザーがシステムやアプリケーションを使用する際の「体験」を指します。操作の流れやレスポンスの速度、エラー時の対応などが、UXに影響を与えます。

UI/UXは本来デザイナーの領域ですが、フルスタックエンジニアであれば、双方への深い理解を持つことも大切です。ユーザーにとって使いやすく、利便性の高いデザインは、満足度の向上につながり、売り上げにも直結します。たとえば、ECサイトにおいて商品の検索やカートへの追加、決済までの一連の流れがスムーズにおこなえるかどうかは、UI/UXの良し悪しによって大きく左右されるでしょう。

フルスタックエンジニアがUI/UXの設計までおこなえるようになれば、発注側はその分のデザイナーを必要としなくなるため、市場価値も需要もますます高まります。

OSやミドルウェアの知識

OSやミドルウェアの知識も、フルスタックエンジニアにとって欠かせないスキルの1つです。

フルスタックエンジニアがインフラ周りの業務を担う際は、環境構築をおこなうOSや、OSとアプリケーションの中間ソフトであるミドルウェアについて理解しておく必要があります。

OSはコンピューターの基盤となるシステムで、ハードウェアとソフトウェアを管理する重要な役割を果たします。代表的なOSとして挙げられるのは、Windows、macOS、Linuxなどです。

一方のミドルウェアは、OSとアプリケーションの間で動作し、システムの安定性やセキュリティを担保する役割を果たします。たとえば、データベースサーバーであるOracleやMySQL、WebサーバーのApache、Nginx、LiteSpeedなどです。

ミドルウェアの種類は非常に多岐にわたります。プロジェクトの要件に合わせて適切なものを選択する能力も欠かせません。

マネジメントスキル

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、技術的な知識やスキルだけでなく、マネジメントスキルも重要な要素となります。幅広い分野の職務を担うフルスタックエンジニアは、プロジェクト全体を俯瞰する能力が求められるためです。

プロジェクトマネジメントの思考を持ち、プロジェクトやメンバーを適切に管理できるフルスタックエンジニアは、上流工程にも携われる可能性が高くなります。マネジメントスキルを持つフルスタックエンジニアは重宝されるため、年収アップにもつながりやすいでしょう。

マネジメントスキルを身につけるうえでは、コミュニケーションスキルをはじめとするソフトスキルの向上も積極的に図ることが求められます。なぜならプロジェクトメンバーの意見を適切に引き出し、合意形成をするためには、円滑なコミュニケーションが不可欠だからです。

フルスタックエンジニアを目指す方は、技術力の向上と並行して、マネジメントスキルの習得にも注力していきましょう。

フルスタックエンジニアのキャリアに有利な資格

フルスタックエンジニアとしてのキャリアを築いていくためには、以下のような資格を取得することをおすすめします。

  • ITストラテジスト試験
  • システムアーキテクト試験
  • プロジェクトマネージャ試験

どのような試験内容で、いかに役立つのか見ていきましょう。

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験は、ITと経営を結びつけた戦略の立案・実行を主導するスキルを証明できる国家資格です。同試験は、IPAが主催する情報処理技術者試験の中でも最難関の部類に入り、レベル4という高い難易度を誇ります。

同試験では、情報戦略の立案や、IT戦略の策定・実行におけるリーダーシップが問われます。そのため、CIOやCTO、ITコンサルタントといった上位職種を目指す方にとっても、最適な資格です。

試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4部構成となっています。

それぞれの出題分野や範囲は、以下のとおりです。

フルスタックエンジニアが同資格を取得することで、単なる技術者ではなく、経営視点を持ち戦略的にITを活用できる人材であることがアピールできます。キャリアアップ、高度なプロジェクトへの参画など、活躍の場が大きく広がるでしょう。

参考:ITストラテジスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

システムアーキテクト試験

システムアーキテクト試験は、ITシステムの設計やアーキテクチャ構築に関する高度な知識・スキルを証明できる国家資格です。

同試験では、システム開発に必要な要件定義をおこない、それを実現するために効果的なアーキテクチャを設計し、システム全体の設計・開発・統合までをリードできる能力が問われます。フルスタックエンジニアとして、上流工程から下流工程までを俯瞰する能力を示すのに適した資格といえるでしょう。

システムアーキテクト試験は、IPAが主催する情報処理技術者試験の中でも難易度が非常に高く、ITストラテジスト以上に合格率が低いことで知られています。

試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4部構成となっています。

それぞれの出題形式や内容は、以下のとおりです。

プロジェクトマネージャ試験により、高度なプロジェクトマネジメントスキルを証明することで、プロジェクトの責任者としての活躍の場が広がるでしょう。

参考:プロジェクトマネージャ試験IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

まとめ

フルスタックエンジニアは、幅広い知識とスキルを持ち、参画するプロジェクトでの開発スピードの向上や人件費の削減などで貢献できるため、企業からの需要が高い職種です。一方で、器用貧乏と思われがちであったり、強みが分かりにくかったりするなど、誤解を受けやすい存在でもあります。

フルスタックエンジニアとして活躍するためには、得意分野をつくりつつ対応職域を広げ、市場の情報や流行を敏感にキャッチアップすることが重要です。また下流工程から上流工程までの経験を積み、プログラミングスキルやインフラの知識、マネジメントスキルなど、さまざまなスキルを身につける必要があります。

ITストラテジスト試験やシステムアーキテクト試験といった関連資格の取得も、キャリアアップに有利に働くはずです。

フルスタックエンジニアを目指す方は、これらのポイントを押さえ、自身の強みを活かせる場所で活躍していくようにしましょう。

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