プロンプトエンジニアになるには?未経験から目指すプロセスや必要なスキルを解説
2024年6月28日
AIの発展と共に注目を集めるプロンプトエンジニアですが、未経験から目指すためには、どのようなスキルや資格、経験が必要なのでしょうか。
本記事では、プロンプトエンジニアになるためのロードマップをご紹介します。
必要なプログラミングスキルや、AI・自然言語処理に関する知識、あると有利な資格や経験など、プロンプトエンジニアを目指す方必見の情報が満載です。ぜひ最後までご一読ください。
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目次
未経験からプロンプトエンジニアになるためのプロセス
プロンプトエンジニアを目指すためのプロセスは、一見するとハードルが高いように感じるかもしれません。しかし、着実にステップを踏んでいけば、未経験からでも目標に近づくことは十分に可能です。
まずは、具体的なプロセスを理解するところから始めましょう。
ゼロからスタートする方も、本章のロードマップを参考に、プロンプトエンジニアへの第一歩を踏み出してみてください。
Pythonなどの必要なプログラミングスキルを身につける
プロンプトエンジニアになるには、プログラミングスキルを身につけることが重要です。
プロンプトは自然言語でも作成可能ですが、Python、Java、C++などのプログラミング言語を用いて作成するのが一般的です。とくに、AI開発の現場ではPythonが多く使われているため、Pythonを中心に学ぶことをおすすめします。
プログラミング言語の学習方法としてはさまざまありますが、動画コンテンツを活用した自学自習、プログラミングスクールへの通学、関連資格の取得などが代表的です。
自分に合った方法で学ぶことが何より重要であるため、無理なく継続的に学習を進められるスタイルを見つけましょう。
プログラミングスキルは一朝一夕で身につくものではありませんが、着実に学んでいくことで、プロンプトエンジニアへの一歩を踏み出せるはずです。
※参考:Pythonエンジニアとは?必要なスキルや年収、求人について解説|Relance
※参考:フリーランスのPython案件はどのようなものがある?年収や実例も紹介!|Relance
実際にプロンプトを作成してみる
AIプロンプトの作成スキルを身につけるためには、学んだ知識を活かしてアウトプットすることも重要です。実際にプロンプトを作成する中で、AIの特性をつかみ、よりよいプロンプトの作成へと活かしていきましょう。
AIモデルの種類によって得意分野と苦手分野が異なるため、それぞれの特性を理解しておくことも大切です。
また、将来のポートフォリオ作成を見据えて、実践的な内容を意識して取り組むことで、AIプロンプト作成者としての力を効果的に伸ばすことにも期待できます。
アウトプットした上でポートフォリオを作成する
実践的なアウトプットを重ねることで得られた成果物は、自分のスキルをアピールするためのポートフォリオとして活用できます。
関連する資格を取得してポートフォリオに載せることも、自分の能力をより具体的に示せるでしょう。
未経験であっても、ポートフォリオを通じて自分のスキルや経験を明確に伝えることで、効果的にアピールすることが可能です。
ほかのエンジニアのポートフォリオを参考にしながら、自分の強みを最大限に活かせるようなポートフォリオを作成していきましょう。
プロンプトエンジニアの求人に応募する
ポートフォリオを活かして実際の求人に応募する際には、社内での異動を狙うか、転職を考えるかでプロセスが異なります。
社内異動の場合は、自分のポートフォリオを活用して社内の関連部署にアピールすることが効果的です。一方、転職を考える場合は、エンジニア特化型のエージェントを活用すると効率的に求人を探せるでしょう。どちらの場合も、ポートフォリオは自分の実力を示すアピール材料として有効に働きます。
ただし、現時点でプロンプトエンジニアの求人数は、ほかのエンジニアと比べるとまだ多くありません。そのため、「プロンプトエンジニア」という職種名だけにこだわらず、AIエンジニアなど関連する職種の求人もよく探してみることをおすすめします。
プロンプトエンジニアとしてのスキルが活かせる仕事は、職種名が異なる求人の中にも見つかる可能性があるでしょう。
プロンプトエンジニアになるために必要なスキル5つ
プロンプトエンジニアは、AI言語モデルに対して適切な指示や質問を与え、目的に沿った応答を引き出す重要な役割を担っています。
つまり、AIとユーザーの間に立ち、効果的なコミュニケーションを実現するのがプロンプトエンジニアの仕事です。この仕事を成功させるためには、いくつかの重要なスキルが必要となります。
本章では、プロンプトエンジニアに必要不可欠な5つのスキルについて、詳しく解説します。
AIに関する知識
プロンプトエンジニアにとって、AIに関する知識は必須のスキルです。AIがどのように学習し回答を導き出すのか、その仕組みを理解することで、より最適なプロンプトを開発できます。
とくにChatGPTのようなAI言語モデルを扱う場合、言語処理の仕組みや、深層学習(ディープラーニング)、強化学習といったアルゴリズムへの理解が重要です。
これらの知識を深めることで、AIの能力を最大限に引き出し、ユーザーに対して適切な応答を提供できるようになるでしょう。
自然言語処理に関する知識
自然言語処理(NLP)は、私たち人間が日常的に使っている言葉をコンピュータに理解させ、処理させるための技術です。一方で、コンピュータが直接理解できるのは、プログラミング言語と呼ばれる特殊な言語です。そこで、自然言語処理の出番となります。
この技術を使うことで、人間の言葉で書かれたプロンプトをAIに理解させ、適切な応答を引き出せるようになるのです。
つまり、自然言語処理は、人間とAIのコミュニケーションを可能にする重要な技術といえます。プロンプトエンジニアにとって、この自然言語処理の知識は必須であり、関連するプログラミング言語やツールに関する理解も欠かせません。
ドメイン知識
優れたプロンプトを作成するためには、特定の業界や業種に特化した知見や情報、つまり「ドメイン知識」が必要不可欠です。
AIを活用したプロンプトを開発する際、顧客のニーズを正確に理解することが重要ですが、そのためには顧客のビジネスを深く理解する必要があります。この理解を得るためには、ビジネスの前提条件となるドメイン知識が必要です。
また、AIが生成した回答を評価し、改善・最適化する際にも、ドメイン知識なくしては正確な判断を下せません。
したがって、プロンプトエンジニアはAIの知識だけでなく、顧客のビジネス領域に関する専門知識も身につける必要があります。
プログラミング力
プロンプトは自然言語で作成することもできますが、プログラミングのコードを使って指示を出すほうが、より適切に処理される場合があります。
とくに、Python、Java、C++などの言語に精通していると、AIとのコミュニケーションがスムーズです。またAIは、コード生成やプログラムのエラー発見も可能なため、プログラミング力があればAIと対話しながらプログラムを開発・テストできます。
プロンプトを改善するためにはデータ分析スキルも必要ですが、プログラミング力があれば効率的に最適化をおこなうことも可能です。
つまり、プロンプトエンジニアにとってプログラミング力は、AIとの連携を深め、より高度なプロンプト開発を可能にするための重要なスキルといえます。
言語化力
プロンプトエンジニアには、顧客のアイデアをAIが理解しやすい形に変換するための言語化力と柔軟な思考力が求められます。
アイデアを的確なプロンプトに落とし込むためには、優れた文章力・日本語力も必要不可欠です。
AIに対してアイデアを正しく伝える力はもちろん、チーム内で共有して議論を深めていくためにも、言語化力は欠かせないスキルといえます。
プロンプトエンジニアは、人間とAIの間に立つ重要な役割を担っているため、言語を介したコミュニケーション能力が極めて重要なのです。
プロンプトエンジニアになるためにあると有利な資格7選
資格の取得は、自己研鑽とスキルアピールに有効な手段です。プログラミング、AI、データサイエンス、英語力など、さまざまな分野の資格があります。
本章では、プロンプトエンジニアになるために役立つ7つの資格を厳選してご紹介します。これらの資格を取得することで、プロンプトエンジニアとしてのキャリアアップに近づけるでしょう。
Python3エンジニア認定試験
Python3エンジニアの認定試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 が主催する、国内で唯一のPythonに関する資格です。この試験では、Pythonエンジニアとしての力が問われます。
【試験の種類】
試験名 | 試験概要 |
Python 3 エンジニア認定基礎試験 | Pythonの基礎的な知識を問う試験。Pythonの文法や機能、アルゴリズムなどが出題される。 |
Python 3 エンジニア認定データ分析試験 | データ分析に特化した試験。データの前処理、可視化、機械学習などが出題され、より実践的な力が求められる。 |
Python 3 エンジニア認定実践試験 | Pythonを使った実践的なスキルを問う試験。ウェブアプリケーション開発やデータベース操作などが出題され、高度な応用力が求められる。 |
【試験概要】
- 合格基準は、各試験とも100点満点中70点以上
- 受験料は、基礎試験とデータ分析試験が一般11,000円(学割5,500円)、実践試験が13,200円(学割6,600円)
※2024年6月現在
参考:Python試験・資格|一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会
参考:Pythonエンジニア認定試験 | オデッセイ コミュニケーションズ
AI実装検定
出典:AI実装検定実行委員会
AI実装検定は、AI実装検定実行委員会 が運営する、AI技術者としてビジネスで活躍するための資格です。
この検定ではディープラーニングの実装知識とスキルが問われ、合格者には「ディープラーニング実装師」の称号が与えられます。
検定のレベルは、以下の3つに分かれています。
出典:AI実装検定実行委員会
【試験の種類(レベル)】
レベル | 概要 |
B級 | AI初心者が最初の目標として挑戦できる試験。AIの基本概念を7つの側面から問い、ディープラーニングと機械学習の基礎的な理解度を認定。 |
A級 | ディープラーニングの実装に必要な数学とプログラミングの基礎知識を有し、独学で理論的な学習を進められるレベルであることを認定。 |
S級 | AIの実装力に加え、画像処理や自然言語処理などの応用的な実装スキルを認定。現在のAI分野での最難関資格。 |
これらのレベルは、日本ディープラーニング協会主催のAI難関資格であるG検定やE検定の実装レベルを意識して設定されています。
【試験概要】
- 合格基準は、各級とも100点満点中70点以上
- 受験料は、S級が33,000円、A級が一般14,850円(学割8,250円)、B級が一般9,900円(学割5,500円)
※2024年6月現在
参考:AI実装検定
G検定
G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する、AIをビジネスで活用する際に必要な基礎知識(AI・ディープラーニングの活⽤リテラシー)を問う資格試験です。
この検定に合格すると、「DX推奨パスポート」が発行され、合格者コミュニティ「CDLE」にもアクセスできます。
【試験概要】
- 試験時間は120分で、知識問題(多肢選択式・200問程度)が出題
- 合格基準は非公開
- 受験料は一般が13,200円(学割5,500円)
※2024年6月現在
G検定は、同協会が主催するE資格と比較すると、よりジェネラリストを目指す人向けの内容です。AIやディープラーニングの概要や活用事例など、ビジネスパーソンが知っておくべき基礎知識を幅広く問う試験となっています。
E資格
E資格 は、G検定と同じ、一般社団法人日本ディープラーニング協会 が主催する、機械学習の基礎から応用までをカバーするエンジニア向けの資格試験です。
【試験概要】
- 試験時間は120分で、知識問題(多肢選択式・100問程度)が出題
- 合格基準は非公開
- 受験料は一般が33,000円(学生が22,000円)
※2024年6月現在
この資格は、G検定より専門的な内容が問われ、主にディープラーニングの理論に関する問題が出題されます。E資格の取得者は、機械学習やディープラーニングに関する深い知識と技術を持つエンジニアとして認められるでしょう。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する、ITに関する基礎的知識が身についていることを証明するIT業界の国家資格です。
この試験に合格すると、ITエンジニアとしての基本的なスキルを持っていることが認められ、転職や就職に有利に働きます。
【試験概要】
- 試験時間は科目A:90分、科目B:100分、多肢選択式の問題が出題
- 合格基準は1,000点満点中600点以上
- 受験料は7,500円
※2024年6月現在
基本情報技術者試験は、プロンプトエンジニアを目指す人にとって、AIやディープラーニングの知識以外にも、幅広いIT分野の基礎知識を身につけるよい機会となるでしょう。
参考:基本情報技術者試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験 は、基本情報技術者試験と同様、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)主催の、ITに関する応用的スキルが身についていることを証明するIT業界の国家資格です。
この試験に合格すると、ITエンジニアとしての応用的なスキルを持っていることが認められ、転職や就職に有利となるでしょう。
【試験概要】
- 試験時間は午後150分、午後150分で、多肢選択式(四肢択一)と記述式の問題が出題
- 合格基準は100点満点中60点以上
- 受験料は7,500円
※2024年6月現在
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験と比較すると、より実践的で高度な内容が問われます。経営管理に関する内容も含まれるため、プロンプトエンジニアを目指す人にとって、AIやディープラーニングの知識だけでなく、ITを活用したビジネス戦略についても学ぶ、よい機会となるでしょう。
参考:応用情報技術者試験 |IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
TOEIC® Listening & Reading Test
TOEIC® Listening & Reading Testは、一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会が主催する英語能力を測定するための試験です。日本において英語力を証明するための一般的な資格として広く認知されています。
【試験概要】
- リーディングセクション (75問、100分)、リスニングセクション (100問、45分)
- 合計スコアは10〜990点で評価(合否判定はなし)
- 受験料は7,810円
※2024年6月現在
外資系企業や語学力を重視する企業への転職や就職に有利に働き、企業によっては一定のスコアを取得していると資格手当が支給されることもあるでしょう。
合格基準は設けられていませんが、企業や組織によって求められるスコアは異なります。
プロンプトエンジニアになるためにあると有利な経験
資格取得だけでなく、実践的な経験を積むことももちろん重要です。プログラミングやAI関連のスキルを現場で磨くことで、より高度なプロンプト開発が可能となります。
本章では、プロンプトエンジニアになるために有利な3つの経験をご紹介します。これらの経験を積むことで、プロンプトエンジニアとしての実力を養えるでしょう。
Pythonなどの主要なプログラミング言語での開発経験
プロンプトエンジニアを目指す上で、Pythonなどの主要なプログラミング言語での開発経験は大変有利に働きます。とくにPythonは、機械学習やデータ分析の分野で広く使われており、プロンプトエンジニアにとって、重要なスキルの1つです。
実際の開発経験を通じて、プログラミングの基礎力を身につけられるだけでなく、AIやデータ処理の実践的なノウハウも習得できます。
また、プロジェクトを通じて、コーディングスタイルやドキュメンテーション、バージョン管理などの開発プロセスについても学べるでしょう。
職種として未経験の場合でも、社内外のプロジェクトに参加したり、オンラインコミュニティなどで活動したりして、自発的に開発に携わった経験を持っておくとよいです。
TensorFlowなどのライブラリやフレームワークの活用経験
TensorFlowやPyTorchなどの自然言語処理(NLP)に特化したライブラリやフレームワークの活用経験は、非常に有利です。
最近、とくに注目を集めているのが以下の4つです。
Pythonのライブラリ類 | 説明 |
TensorFlow | 深層学習で利用できるライブラリ |
PyTorch | 計算速度が速いPython向けのライブラリ |
spaCy | 高速でモダンなフレームワーク |
Transformers | 最新のNLPモデルにおいて強力なネットワークを持つライブラリ |
Pythonのライブラリやフレームワークを使いこなせる経験は、プロンプトエンジニアとしての技術力を示す重要な指標となるでしょう。
実際のプロジェクトで活用すれば、AIやNLPの実践的なスキルを身につけられます。
クラウドサービスやAIツールの活用経験
プロンプトエンジニアを目指す上で、AIツールやクラウドサービスの活用経験は大きな強みです。AIツールに馴染みがあれば、その仕組みや特性を深く理解でき、より効果的なプロンプトの開発につなげられるでしょう。
また、プロンプトエンジニアは、開発段階でクラウドサービスを頻繁に使用する可能性が高いため、その活用経験があればスムーズに作業を進められます。
加えて、大規模なデータを扱う機会も多いと考えられるため、セキュリティに関する知識を持っていることも重要です。
これらの経験やスキルを持っていれば、プロンプトエンジニアとしてより高い価値を発揮できるでしょう。
まとめ
プロンプトエンジニアは、AIの可能性を引き出す重要な役割を担っています。その一方で、必要とされるスキルセットは多岐にわたり、習得には一定の努力が求められます。
本記事で解説したプロセスやスキル、資格、経験を参考に、ステップバイステップで学んでいけば、着実に目標に近づけるでしょう。
プロンプトエンジニアの仕事は、AIの発展と共に常に変化し、進化し続けています。だからこそ、学び続ける姿勢が何より大切です。
新しい技術や手法を貪欲に吸収し、実践で培った経験を糧に、より高みを目指す努力を重ねることで、プロンプトエンジニアとしての専門性を高め、AIの可能性を最大限に引き出せるでしょう。
プロンプトエンジニアは、AIの未来を切り拓く仕事です。そのチャレンジングで価値あるキャリアに、ぜひ挑戦してみてください。
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