フリーランスは引っ越しできない?審査に通るポイントや手続き・注意点を紹介

フリーランスの住居について、「フリーランスは引っ越しできないって本当?」「フリーランスが引っ越すときはどのような手続きが必要?」といった疑問を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。「フリーランスの場合、賃貸契約が難しいために引っ越しもできない」という意見も多いようです。

たしかに、フリーランスは正社員と比べ賃貸契約の審査に通りにくい側面があります。また引っ越しできたとしても、さまざまな手続きが必要です。

本記事では、フリーランスが引っ越しの際に審査に通りやすくなるためのポイントや、引っ越しの際に必要な手続きについて解説します。引っ越しを検討中のフリーランスの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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フリーランスの引っ越しには注意が必要

フリーランスの引っ越しに関しては、複数の注意点があります。

主たる注意点は、以下の2点です。

  • フリーランスは引っ越しのときに賃貸の審査に通りにくい
  • フリーランスの引っ越しは会社員の引っ越しよりも手続きが少し多い

フリーランス協会の「フリーランス白書2023」によると、コロナ前に比べてリモートワークが増えたと実感しているフリーランスは6割を超えています。地方への移住や海外移住もできる環境が整いつつあるのが現状です。

フリーランスの引っ越しにおける注意点について、事前に把握しておきましょう。

参考:フリーランス白書2023|フリーランス協会

フリーランスは引っ越しのときに賃貸の審査に通りにくい

先述したとおり、フリーランスは正社員と比較し、賃貸の審査に通りにくいという注意点があります。とくに独立1~2年目のフリーランスは、注意が必要です。

フリーランスが賃貸の審査に通りにくい主な理由は、収入が不安定であることです。毎月安定した収入を得られる会社員とは違い、フリーランスの収入には波があるため、家賃の支払い能力が不十分とみなされることがあります。

中にはフリーランスNGのオーナーもいるため、物件の選択肢は正社員よりも限定されてしまうでしょう。保証人が必要となる場合もあり、手続きに手間やコストがかかってしまう点にも注意しなければなりません。

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フリーランスは賃貸契約できる?チェックされるポイントや審査を通過するコツを解説!

フリーランスの引っ越しは会社員の引っ越しよりも手続きが少し多い

フリーランスの引っ越しは、会社員よりも必要な手続きが多く、手間がかかりやすい点にも注意が必要です。

たとえば会社員の場合、社会保険料や所得税、年金の支払いに関しては、会社が給料から天引きする形で代行してくれています。しかし、フリーランスの場合は自身ですべて対応しなければならないため、引っ越しの際にも、住所変更に伴う諸々の手続きが必要です。とくに、確定申告や税金関連の手続きについては個別の事情に応じて対応の内容も異なるため、留意しなければなりません。

諸々の手続きに関しては、マイナンバーカードを使うことで手続きが簡単になるケースがあるため、つくっていない方はこの機会につくっておくとよいでしょう。

クライアントへの住所変更の連絡など、業務上必要な対応も忘れずにおこなう必要があります。

フリーランスが引っ越しのときに賃貸の審査に通りやすくする方法

フリーランスはどうしても収入が不安定なため、賃貸の審査に通りにくいという点に注意しなければなりません。

ここでは、フリーランスが引っ越しの際、賃貸の審査に通りやすくなる方法を5つご紹介します。

  • 家賃を月収の2〜2.5割以内に設定する
  • 収入や預貯金残高を証明する書類を提出する
  • できるだけ収入が安定している連帯保証人または保証会社をつける
  • 関係者に良い印象を持ってもらう
  • 審査不要な知り合いの物件やシェアハウスへの入居を検討する

それぞれ詳細を見ていきましょう。

家賃を月収の2〜2.5割以内に設定する

家賃を月収の2~2.5割以内に設定することで、審査に通過しやすくなると考えられます。

一般的に家賃は月収の3割以下が目安といわれていますが、フリーランスの場合はより厳しめに見積もり、低い割合に設定しておくとよいでしょう。

フリーランスが賃貸の審査に通過しにくい主な理由は家賃の支払い能力なので、家賃を低めに設定することで、審査は若干緩和されます。

誰かと一緒に住む場合は収入合算で審査してもらえる場合もあるため、確認してみましょう。合算する相手に安定した継続収入があれば、随分と審査に通りやすくなるはずです。

収入や預貯金残高を証明する書類を提出する

収入や預貯金残高を証明する書類を提出するのも、有効な手段の1つです。

月収が安定していること、仮に収入が不安定になっても十分な支払い能力があることを証明できれば、信頼感につながります。

提出書類の例として挙げられるのは、以下のようなものです。

  • 収入証明書(住民税課税証明書)
  • 残高証明書(または預金通帳の移し)
  • 課税証明書
  • 確定申告書の写し

ただし、どうしても審査に通りたいからと、虚偽の書類を提出するのは絶対にやめましょう。信頼を失ってしまい、仮に一度契約できたとしても解約されてしまう恐れがあります。

できるだけ収入が安定している連帯保証人または保証会社をつける

収入が安定している連帯保証人をつけるのも、選択肢の1つです。

信用度の高い保証人をつけられれば、家賃の支払い能力に多少の不安があったとしても、審査に通過できる可能性があります。会社員などできるだけ安定した収入が見込める人に依頼するのがおすすめです。たとえば長年同じ会社で勤続している人などは、信用度も高まります。

保証人を依頼する場合は、審査の前に必ず了承を得るようにしましょう。

保証人が見つからないなら、保証会社の検討をおすすめします。ただし、すべての物件で保証会社が利用できるわけではないため、注意が必要です。

関係者に良い印象を持ってもらう

関係者の印象も、実は重要なポイントの1つです。

賃貸契約の審査でチェックされるのは、収入面だけではありません。人間性や身だしなみ、マナーなども重要視される項目です。どれだけ収入があっても、人間的に信頼できないと判断されてしまえば、審査に落とされてしまう恐れがあります。

不動産会社や管理会社、オーナーなど関係者に良い印象を持ってもらえるよう、言葉づかいやマナーに気を配りましょう。

審査不要な知り合いの物件やシェアハウスへの入居を検討する

どうしても審査に通過できない…という場合には、物件の探し方も工夫してみてください。たとえば、フリーランスの賃貸契約を得意としている不動産会社を探してみたり、知り合いの物件やシェアハウスなど、審査不要な物件への入居も検討してみるとよいでしょう。

ただし、シェアハウスの場合は、年齢や性別など別の観点での条件が設けられていることもあります。人によってはシェアハウスでの暮らしに馴染めないこともあるため、審査不要だからと安易に決めるのではなく、不動産会社の話も聞いた上で慎重に検討しましょう。

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フリーランスの引っ越しに必要な手続き

フリーランスの引っ越しには、さまざまな手続きが付随します。

フリーランスの引っ越しでは会社員よりも多くの手続きが必要となるため、漏れなく対応できるよう、注意しましょう。

  • 住民票の移動
  • 国民年金の住所変更
  • 国民健康保険の住所変更
  • 確定申告・税金関連の住所変更
  • その他住所変更

上記の手続きについて、詳細を解説していきます。

住民票の移動

引っ越しの際には、住民票を移動させる必要があります。会社員・フリーランスにかかわらず、引っ越したことを自治体に伝え、新しい住所を登録しなければなりません。

住民票の移動については、同じ自治体内での引っ越しか、別の自治体への引っ越しかによって対応が異なります。

同じ自治体内での引っ越しの場合、自治体に「転居届」を提出することで手続きは完了です。

別の自治体に引っ越す場合は、転居前の自治体に「転出届」を、転居後の自治体に「転入届」を提出しなければなりません。

引っ越し後の自治体でマイナンバーカードの住所変更をおこなう必要もあります。

マイナンバーカードを持っていれば、オンラインで簡単に手続きできることもあるため、各自治体のHPをチェックしてみてください。

参考:住所の異動手続き(転出・転居・転入届など)|千代田区

国民年金の住所変更

人によっては、国民年金の住所変更手続きが必要になることもあります。

マイナンバーと基礎年金番号とを結びつけている被保険者であれば、原則として住所変更に関する届出は不要です。

一方で、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない方の場合は、自治体に「変更届」を提出しなければなりません。マイナンバーを有効に活用することで手続きの手間を減らせるので、対応していない方はこの機会に検討してみるとよいでしょう。

参考:年金に加入している方が引越したときの手続き|日本年金機構

国民健康保険の住所変更

国民健康保険の住所変更も、フリーランスに必要な手続きの1つです。フリーランスが加入する健康保険は、基本的に「国民健康保険」か「任意継続健康保険」かのいずれかで、どちらに加入しているかによって対応が異なります。

国民健康保険に加入している方が引っ越す場合に必要な手続きは、同一の自治体での引っ越しか、別の自治体への引っ越しかによっても違うので気をつけましょう。

同一の自治体内で引っ越す場合、「住所変更届」の提出が必要です。別の自治体に引っ越す場合は、引っ越し前の自治体で「資格喪失手続き」を、引っ越し後の自治体で「加入手続き」をおこなう必要があります。

会社員を退職してフリーランスになったばかりという方の中には、任意継続中の方もいらっしゃることでしょう。その場合、健康保険によって手続き方法は異なります。

たとえば協会けんぽの場合、都道府県内での引っ越しか、​​都道府県外への引っ越しかによって必要な対応も各々です。詳しい手続きについては、保険協会に必ず確認してください。

参考:国民健康保険(国保)のしくみと手続き|千代田区
参考:その他の手続きについて|全国健康保険協会 協会けんぽ

確定申告・税金関連の住所変更

確定申告や税金関連の住所変更手続きも必要です。

基本的には次回の確定申告時に新しい住所を記載すればよいのですが、特別な手続きが必要となる場合もあります。

以下の3つのケースについて、対応を確認していきましょう。

  • 振替納税を利用中で納税先の税務署が変更になった場合
  • 従業員を雇っている場合
  • 海外へ引っ越す場合

手続き自体は、e-taxでの手続きや郵送対応が利用できます。税務署を訪れる手間が省けるため、有効に活用しましょう。

振替納税を利用中で納税先の税務署が変更になった場合

振替納税を利用中であり、納税先の税務署の変更を伴う引っ越しをする場合は、手続きが必要です。

以下いずれかの対応をおこないましょう。

  • 変更後の税務署に新たに口座振替依頼書を提出する
  • 申告所得税または消費税の申告書の振替継続希望欄に「◯」を記載して提出する
  • 「所得税・消費税の納税地の異動または変更に関する申出書」を提出する場合、振替納税に関する事項欄に表示し提出する

詳しくは、国税庁の資料をご確認ください。

参考:No.2091 個人事業者の納税地等に異動があった場合の届出関係|国税庁

従業員を雇っている場合

従業員を雇っている場合にも、特別な手続きが必要です。従業員の健康保険や年金、労災保険など、社会保険に関する手続きをおこなわなければなりません。

健康保険・年金保険については、以下の手続きが必要です。

  • 日本年金機構に「健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届」を提出
  • 日本年金機構に「健康保険・厚生年金保保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出

労災保険については、以下の手続きが必要となります。

  • 所在地を管轄する労働基準監督署に「労働保険関係届出書 訂正・取消願(帳票名:労働保険名称・所在地等変更届)」を提出
  • 所在地を管轄するハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出

手続きに漏れがあると従業員にも影響が及ぶため、確実におこないましょう。

参考:個人事業主の住所変更に伴う手続きは?引っ越し時の開業届の書き方も解説|弥生

海外へ引っ越す場合

海外へ引っ越す場合は、「非居住者」として扱われ、国内で不動産所得がある場合などを除いて納税義務がなくなります。

その際は、納税地を管轄する税務署に、以下の書類を提出しなければなりません。

  • 廃業届
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書(青色申告をしている場合)
  • 事業廃止届出書(消費税課税事業者の場合)

なお、海外に引っ越したとしても、1月1日時点で日本に居住していた場合には確定申告が必要となり、住民税も課税されます。海外へと引っ越す際には、タイミングにも注意してください。

参考:個人事業主の住所変更に伴う手続きは?引っ越し時の開業届の書き方も解説|弥生

その他住所変更

そのほか、引っ越しに伴い住所変更が必要なものの例として、以下が挙げられます。

  • 印鑑登録
  • 各種免許(運転免許など)
  • 許認可
  • 請求書
  • 名刺

住所が記載・登録されている書類については、忘れずに手続きしなければなりません。公的な書類や手続きだけでなく、業務で使っている各種サービスや、個人で利用しているサービスについても対応しておきましょう。

フリーランスが海外へ引っ越すときに必要な手続き

フリーランスが海外へ引っ越すときに必要な手続きは、日本に住所を置かずに住民票を抜く場合と、一時的な移住であり引っ越し後も日本に住所を置く場合とで異なるため、注意しましょう。

たとえば、1年以上の滞在が確定している場合は、基本的に住民票を抜くことになります。そのような場合には、以下の手続きが必要です。

  • 住民票:海外転出届を提出
  • 国民年金保険:支払う必要はなくなるが、もらえる年金額を維持したい場合は継続が可能
  • 国民健康保険:脱退の届出を提出
  • 確定申告・税金関連:廃業届等の提出
  • その他住所変更、郵便物の転送手続き

引っ越し後も日本に住所を置く場合は、通常の引っ越しと変わりません。国内での引っ越しと同様の手続きをおこないましょう。

フリーランスが引っ越すときの注意点

フリーランスが引っ越すときの注意点を、3つご紹介します。

  • 引っ越し費用を貯めておく
  • 引っ越し代金をすべて経費計上するのは難しいが部分的には計上できる
  • クライアントに住所変更のお知らせをするのを忘れない

1つずつ見ていきましょう。

引っ越し費用を貯めておく

引っ越しにはまとまった金額が必要となるため、事前に十分な額の引っ越し費用を確保しておきましょう。会社員の異動であれば会社から補助が出る場合もありますが、フリーランスには補助がありません。

引っ越しの初期費用は、場合によっては数十万円かかる可能性もあります。引っ越しに備えて、十分に貯蓄をしておきましょう。

引っ越し代金をすべて経費計上するのは難しいが部分的には計上できる

引っ越し費用の一部を経費に計上できる場合もあります。

店舗や事務所を移転する場合は全額を経費として計上でき、自宅兼事務所を移転する場合には部分的に経費として計上可能です。

自宅兼事務所を移転する場合は、「家事按分」にて計上をおこないます。家事按分とは、事業にかかる費用と生活にかかる費用とを合理的な割合で分ける計算のことです。どのように家事按分するのかは難しいポイントですが、基本的には運搬する物量の割合をもとに計算するとよいでしょう。不安な場合は、税理士へ相談することをおすすめします。

参考:個人事業主の引越し費用は確定申告で経費になる?勘定科目についても解説|弥生

クライアントに住所変更のお知らせをするのを忘れない

引っ越しの際は、クライアントにも必ず住所変更の連絡をしましょう。請求書を発行する段階でよいと甘く考えず、新しい住所が決まった時点で早急に連絡することが大切です。

とくにクライアント側が請求書を発行する場合には、早めに連絡しておくべきです。請求書を発行してもらったあとで連絡すると二度手間となり、相手に迷惑をかけてしまいます。

連絡したあとで、請求書に記載する住所を更新するのも忘れずにおこないましょう。

まとめ

リモートワークが増えている中で、地方や海外への引っ越しを検討しているフリーランスの方も多いでしょう。フリーランスの引っ越しは、賃貸契約の審査と諸手続きの関係から、正社員よりも手間がかかります。

フリーランスはどうしても収入が不安定になりがちなので、賃貸契約の審査に通過しにくいというデメリットを避けられません。家賃の設定や物件の選択に気を遣うなど、対応を検討しましょう。

また、引っ越しできた場合にも、諸手続きを忘れずに済ませましょう。手続きが漏れると事業にも影響が出るため、本記事を参考に、確実な対応をおこなってください。

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