バックエンドエンジニアとはどんな仕事?なるために必要な知識・スキル・ステップを徹底解説!
2024年9月24日
エンジニアの中でも、サーバーサイドの開発や構築から保守管理・運用までと幅広い業務を担当するバックエンドエンジニアは、Webサービス・アプリケーション開発において非常に重要な役割を担います。
しかしながら、実際に従事しているバックエンドエンジニア以外は、その仕事内容の細部まではなかなか把握できないものです。
バックエンドエンジニアを目指しているので具体的に何をすればいいのか知りたい、バックエンドエンジニアとはどのような仕事なのかを理解したうえで今後の判断材料としたい、という方も少なくないでしょう。
本記事では、バックエンドエンジニアの具体的な仕事内容から、なるために必要とされる知識やスキル、どのように学習を進めていけばよいのかまで徹底解説します。ぜひ最後までお読みになり、今後の参考としてください。
目次
バックエンドエンジニアとは
バックエンドエンジニアとは、Webサービスやアプリケーションにおいて、ユーザーの目には直接触れない…いわば裏側の部分を担うエンジニアです。
その業務範囲は非常に幅広く、システムやプログラムの開発だけに留まりません。サーバーやデータベースの構築、システム全体の保守・運用・管理までと、多岐にわたる役割を求められます。
後ほど詳しく触れますが、バックエンドエンジニアはRubyやPythonといった言語を主に使用し、システム開発や設計、構築をおこなっていきます。
とはいえ、自身の領域周りの知識・スキルだけでは十分なサービスを提供できないため、IT・Webに関する幅広い知見も必要です。
全体を見渡しつつ高い専門性とスキルを発揮できるような力を求められる職種といえるでしょう。
フロントエンドエンジニアとの違い
バックエンドエンジニアの対極にある職種として、「フロントエンドエンジニア」が挙げられます。
フロントエンドエンジニアは、その名のとおり、システムやプログラムのフロントエンド側を担います。
つまり、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアとの主たる違いは、「ユーザーの目に触れる部分の開発に携わるか、そうでないか」です。
フロントエンドエンジニアは、UI/UXを開発して、動的なサイト構築を主に担当します。
HTMLやCSS、JavaScriptといった言語を使用して開発を進めていくため、求められる知識や言語も、バックエンドエンジニアとは異なります。
基本的には、Webデザイナーが作成したデザインに基づいて、ユーザーがより見やすい、使いやすいサイトを作り上げる役目を担う職種といえるでしょう。
しかし、バックエンドエンジニアとフロントエンドエンジニアで担当する領域は異なるものの、相互連携は欠かせません。
お互いの仕事に対する理解を深めておくことが大切です。
バックエンドエンジニアの仕事内容
バックエンドエンジニアはユーザーの目に触れることのないサーバーサイド全般の業務をおこなうと前述しましたが、具体的にはどのような仕事内容なのでしょうか。
バックエンドエンジニアの主な仕事内容は、以下のとおりです。
- システムの全体設計
- プログラム開発
- サーバー構築
- データベース構築
- 保守・運用
それぞれ詳しく解説していきます。
システムの全体設計
システムの全体設計は、バックエンドエンジニアの代表的な仕事の1つです。
クライアントにヒアリングしながら要件定義をおこない、どのようなシステムを開発するのかをまとめていきます。その際、クライアントの要求と認識のズレが生じないよう、細心の注意を払わなければなりません。なぜなら、ここで認識の違いが生まれてしまうと、プロジェクトの根幹からすべてに影響してしまうためです。
プロジェクトの初期段階である要件定義ができたら、それをもとにシステム設計を進めていきます。
どのような機能・要素を取り入れるのかなどシステム全体を設計したうえで、どのプログラミング言語やプラットフォームを用いて開発していくのかを選定・決定します。
プログラム開発
システム設計時に定義された要件に従い、プログラム開発をおこないます。プログラム開発には、セキュリティ機能の組み込み、API作成や連携なども含まれます。
選定されたプログラミング言語を用いてWebサービス・アプリケーションの開発を進めていきますが、納期に間に合わせるという観点も非常に重要です。
そのため、質とスピードの担保が欠かせません。効率的に作業を進めるためにも、言語だけでなくフレームワークに関する知識などもしっかりと身につけていきましょう。
既存のフレームワーク・ライブラリを賢く活用していくこともポイントです。
プログラム開発後はテストを実施し、動作確認ができたら本番環境へと移行します。
サーバー構築
サーバー構築の段階では、システムの構築に必要なサーバーのハードウェアを選定し、設計までをおこないます。
Webやデータベースのサーバーにおいては、OSとアプリケーションとをつなぐミドルウェアのインストールや設定なども、バックエンドエンジニアの担当業務です。
昨今は、オンプレミス環境からクラウド環境への移行が進んでいるため、クラウドでの開発を選択するエンジニアも少なくありません。
基本的には、バックエンドエンジニアがインフラ構築までを担当することが多いです。しかし、大規模なサービスやアプリケーションなどリソースの投下がより必要となるプロジェクトでは、インフラ構築はインフラエンジニアが担当し、バックエンドエンジニアはシステム開発に専念することもあります。
データベース構築
バックエンドエンジニアは、システム運用に必須となるデータベースの設計・構築もおこないます。
膨大なデータの中から必要な情報をスムーズに抽出できるよう、最適なリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)を選択・設計しなければなりません。
代表的なRDBMSとして挙げられるのは、以下のとおりです。
- OracleDatabase
- MySQL
- Microsoft SQL Server
- GoogleCloud SQL
上記の中でも、GoogleCloud SQLはクラウド型データベースであり、近年広く利用されています。
これらデータベース管理システムの知識も、十分に身につけておく必要があります。
保守・運用
システムは、開発したら終わり…ではありません。保守・運用も、プロジェクトにおける重要な業務の1つです。
バックエンドエンジニアは、システム開発後やサーバー構築後の保守・運用を担うケースもあります。
保守・運用とは、一言でいうと、開発したシステムが問題なく稼働するかを監視する仕事です。
問題点やエラー、不具合が生じた際には、都度対応します。公開されたシステムが多くの人に利用されていく中では、仕様の変化・追加・更新なども発生するでしょう。
エラーや不具合を未然に防ぐためのメンテナンスも必要です。
リリース後のシステムをよりよい状態に保つことも、バックエンドエンジニアに課せられた大きな責任といえるでしょう。
バックエンドエンジニアの平均年収は550万円
バックエンドエンジニアの仕事内容が多岐にわたることは、前項でご理解いただけたかと思います。
では、バックエンドエンジニアは、どれほどの年収を得られるのでしょうか。
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、バックエンドエンジニアを含むWebサイト開発のシステムエンジニアの平均年収は、550.2万円とされています。
これは、日本の給与所得者全体の平均年収である約458万円(国税庁の令和4年度データより)を大きく上回る数字です。
なお、550.2万円というのは、あくまでバックエンドエンジニア以外のシステムエンジニアも含む年収額です。経験値や保有するスキル、また働き方次第では、さらに高い年収を得ることも十分に可能といえます。
知識・スキルを磨き、経験を積むことで、年収1,000万円以上も期待できるでしょう。
バックエンドエンジニアになるために必要な知識・スキル
バックエンドエンジニアの担当する業務は広範にわたるため、必要とされる知識・スキルも決して少なくありません。
ここでは、バックエンドエンジニアが身につけておきたい知識・スキルについて解説していきます。
- サーバーやセキュリティに関する知識
- プログラミングスキル
- フレームワークを扱うスキル
- 基礎的なビジネススキル
以上4つの知識・スキルについて、詳しく見ていきましょう。
サーバーやセキュリティに関する知識
前述したとおり、バックエンドエンジニアは、サーバー設計にも携わります。そのため、サーバーに関する知識は不可欠です。
近年では、オンプレミスからクラウドへと移行が進んでいるため、クラウドの知識も持ち合わせることで、バックエンドエンジニアとしての市場価値はより高まるでしょう。
さらには、Dockerのようなオープンソースプラットフォームを取り扱うスキルもあれば、より効率的な構築が可能となります。
また昨今は、サイバー攻撃もより巧妙化・複雑化してきました。
それらに対応し得るセキュリティ関連の知識も高めておくことが大切です。
プログラミングスキル
バックエンドエンジニアに限らずエンジニア全体にいえることですが、高いプログラミングスキルが当然求められます。
具体的には、RubyやC++、Javaといったバックエンドエンジニアに必須な言語はもちろん、JavaScriptなどフロントエンドに関連する言語にも精通していることが望ましいです。
プログラミングスキルに関しては、開発がスピーディーかといった観点だけでなく、自分以外の人が一見してわかりやすいかという点も重要なポイントです。
効率的かつ丁寧なプログラミングができるよう、力をつけましょう。
フレームワークを扱うスキル
高品質でありながらスピーディーな開発をおこなうためには、フレームワークの知識も欠かせません。
フレームワークに関する知識を十分に持ち、既存のものを上手に活用することで、1からプログラミングをおこなう必要がなくなり、効率的な開発が叶います。
PHPならCakePHPやLaravel、RubyならRuby on Rails、PythonならDjango…というように、メジャーなフレームワークは最低限身につけておくべきです。
また、フレームワークではありませんが、Node.js環境下でプログラミングできるようになれば、JavaScriptを活用してサーバーサイドのプログラミングも可能となります。フルスタックエンジニアへの道も開けるでしょう。
基礎的なビジネススキル
バックエンドエンジニアを含むエンジニア全体にいえることですが、技術的スキルだけでなく、基礎的なビジネススキルも重要です。
基礎的なビジネススキルとしては、たとえばコミュニケーションスキルやマネジメントスキル、管理能力などが挙げられます。
エンジニアといえども、クライアントやプロジェクトチームのメンバーと円滑に開発を進めていく能力は必須といえるでしょう。コミュニケーションスキルが欠如していれば、クライアントやチームメンバーとの間に齟齬が生まれ、プロジェクト全体へも影響を及ぼしかねません。
また、タスク管理や体調管理ができていない場合、仕事に影響するだけでなく、信用を失ってしまうことも考えられます。
ビジネススキルも十分に身につけることで、価値や需要が高まり、重宝されるバックエンドエンジニアとなれるでしょう。
バックエンドエンジニアに求められるプログラミング言語
バックエンドエンジニアとして従事していく以上、最低限習得しておきたいプログラミング言語があります。
バックエンドエンジニアに必要とされているプログラミング言語の代表例は、以下のとおりです。
- Python
- Ruby
- Java
- C、C++
- PHP など
とくにPythonやRuby、PHPは構文がシンプルで学習しやすいため、初心者にもおすすめのプログラミング言語といえます。
フレームワークも共に活用しながら、効率的な開発を目指しましょう。
未経験からバックエンドエンジニアになるまでの学習ステップ
ここまで解説してきたとおり、バックエンドエンジニアには広範にわたる高い専門スキルが求められますが、未経験からバックエンジニアになることも決して不可能ではありません。
具体的には、以下のステップで学習を進めていきましょう。
- サーバーやWebに関する知識を学習する
- プログラミング言語を習得する
- フレームワークに関する知識を学習する
- 実際に自分で開発してみる
それぞれ詳しく解説します。
1.サーバーやWebに関する知識を学習する
まずは、サーバーやWebなど、バックエンドに関する知識を習得しましょう。
サーバーやデータベースは、バックエンド開発において最も重要であり、それぞれに対する知識が十分になければ、そもそも開発には携われません。
バックエンドエンジニアになるための第一歩として、サーバー・Web周りの知識を網羅する意識を持つことが大切です。
サーバーやWebに関する知識を学習するには、資格の取得も有益です。
資格取得を目指す過程で、必要な知識を体系的に学べます。
たとえば、サーバーの中でも高シェア率を誇るLinuxサーバー関連の知識を問われるベンダー資格「LinuC」や、ルーターやスイッチに関するスキルが問われるシスコ技術者認定の「CCNA」などがおすすめです。資格を取得しながら学びを深めましょう。
資格を取得することで、一定以上の知識・スキルを有していることの証明にもなるため、就職時・転職時に大きなアピールポイントとなります。
2.プログラミング言語を習得する
前述のとおり、プログラミングスキルも不可欠です。
まずは、バックエンドエンジニアに必要なプログラミング言語を1つでも習得するところから始めましょう。
プログラミング言語の習得においても、資格の取得は有効です。
Rubyなら「Ruby技術者認定試験」、PHPなら「PHP技術者認定試験」、Pythonなら「Python 3 エンジニア認定基礎試験」などの資格があります。
資格の取得を目指しながら学習を進めることで、能力を担保しつつ、スキルの向上も図れるでしょう。
参考:Ruby技術者認定試験|Ruby Association
参考:PHP技術者認定試験 試験概要|PHP 技術者認定機構
参考:Python 3 エンジニア認定基礎試験|Pythonエンジニア育成推進協会
3.フレームワークに関する知識を学習する
プログラミング言語習得の後にすべきことは、フレームワークに関する知識の習得です。
フレームワークを賢く活用できるエンジニアは、スピーディーに高品質な開発ができるため、大いに重宝されます。
バックエンドエンジニアの主要言語であるRubyのフレームワーク「Ruby on Rails」に関しては、「Rails技術者認定試験」という資格試験も設けられているため、体系的に学習することが可能です。
サーバー・Webに関する知識を習得し、プログラミングスキルを身につけ、開発ができるようになったら、より効率的な開発を目指してフレームワークを習得しましょう。
フレームワークは、エラーの解析においても有用です。
参考:Rails技術者認定試験 試験概要|Rails技術者認定試験運営委員会
4.実際に自分で開発してみる
知識を一通り習得できたら、実際に自分で開発してみましょう。
知識をただただ頭に詰め込むだけでは、現場での十分な働きは発揮できません。
Visual Studio Communityなどを導入し、小規模でもよいので、自身で実際に手を動かし開発してみることが重要です。
開発したシステムを自身のポートフォリオとして企業やクライアントに提出すれば、スキルをアピールできます。
自身のスキルアップ・キャリアアップに活用することも可能です。
参考:Visual Studio Community|Microsoft
まとめ
Webサービス・アプリケーション開発の裏方を担うバックエンドエンジニアの仕事は、システムの全体設計からプログラム開発、サーバー・データベース構築、保守・運用に至るまでと、非常に広範に及びます。
それ故に、身につけるべき知識・スキルも多く、決して容易な道ではありませんが、高年収を期待できる職種ともいえるでしょう。
サーバー・Webに関する知識やプログラミングスキル、フレームワークを扱うスキルに留まらず、ビジネススキルも身につけながら、地道にステップを重ねていくことが重要です。
本記事を参考に、ぜひバックエンドエンジニアとしての第一歩を踏み出してみてください。
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