フリーランスも働き方改革の影響がある?フリーランスにおける注意点について

ここ数年で働き方改革についてよく目にするようになりましたが、働き方改革とは何なのかと疑問を抱く方も多いのではないでしょうか?。また、働き方改革は企業に勤めている人だけに当てはまり、フリーランスの自分には関係ないと思っている方も少なくないでしょう。

しかし、フリーランスの方も働き方改革の影響を受けます。

この記事では、フリーランスが働き方改革に対して、どのような点に注意をするべきか、どう対応していくべきかを解説していきます。

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そもそも働き方改革とは

近年、私たちの生活を大きく変えた新型コロナウイルスの影響もあり、これまでの働き方を見直す機会にもなっています。働き方改革はまだ浸透しきっているわけではないので、働き方改革とは何かと思う方もいるかもしれません。ここでは、働き方改革の概要や方向性などについて、解説をしていきます。

働き方改革の概要

働き方改革は副業や兼業、フリーランスなど新しい働き方を定着させ、働く人々が多様な働き方を選択できる社会の実現を目標にしている改革です。

働き方改革に伴い、働き方改革関連法も整備されてきています。働き方改革関連法では、雇用主は年次有給休暇が10日以上の従業員に対して、毎年5日以上の有給休暇を取得させる年次有給休暇の時季指定や時間外労働の上限規制などが定められています。

2019年4月以降に施行された働き方関連法は次の通りです。

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・労働基準法
・労働時間等設定改善法
・労働安全衛生法
・じん肺法
・パートタイム・有期雇用労働法
・労働者派遣法
・労働契約法
・雇用対策法

働き方改革の背景と課題

働き方改革が推進された背景には、いくつかの社会的要因が挙げられます。

・少子高齢化に伴う労働参加の減少
・子育て期における労働市場からの退出
・年次有給休暇の取得率低迷

それぞれ解説をしていきます。

まず、少子高齢化に伴う労働参加の減少についてです。

日本国内において、出生率の低下や高齢化に伴い、生産年齢人口の減少が生じています。生産年齢人口は15歳から64歳までを指しており、生産年齢人口が減少することにより問題になるのが、企業が必要としている人材の確保が難しくなり、経済の成長が鈍化するということです。

2015年には生産年齢人口割合は60.7%でしたが、人口減少に伴い、2065年には51.4%にまで減少すると推計されています。

また、労働力需給推計の活用による政策シミュレーションでは、経済成長と労働参加が適切に進まないケースでは、2030年の就業者数が2014年と比べて790万人、経済成長と労働参加が適切に進むケースでは、182万人不足する見込みになっています。

生産年齢人口減少に対する対策として、女性や外国人、高齢者などの労働参加の促進が必要となってきています。日本における65歳から69歳の就業率は、男性で50.5%となっており、アメリカやイギリス、ドイツと比較すると、高水準です。

次に、子育て期における労働市場からの退出についてです。

日本では、出産・育児の子育て期を機会に仕事を辞める方が多い傾向にありますが、アメリカやイギリス、スウェーデンなどの各国では、子育て期における就業率の低下は認められません。

一方で、子育て期における女性の就業希望者数は大きく、柔軟に働ける労働環境の整備が必要でした。

最後に、年次有給休暇の取得率低迷についてです。

日本では、年次有給休暇の取得率が年々下がっており、近年は有給休暇取得率が50%を下回っています。年次有給休暇は、働く人々の心身をリフレッシュすることも目的として、労働者が請求する時季に与えることとされています。しかし、同僚への気兼ねや請求することへのためらい等の理由から、取得率が低迷となっており、年次有給休暇の取得促進が国内における課題となっていました。

そのため、労働基準法が改正され、年次有給休暇の時季指定による取得が義務付けられました。

主に上記の3点が働き方改革の背景と課題になっています。

参考サイト:働き方改革の背景|厚生労働省

参考サイト:年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすいい解説|厚生労働省

働き方改革の方向性

今後、働き方改革は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や子育て期における労働市場からの退出などに対して、投資やイノベーションによる生産性向上を目指しています。

そのためには、就業機会の拡大や意欲や能力を十分に発揮できる労働環境の整備が重要になり、その一環がテレワークの促進や副業・兼業、フリーランスの環境整備です。特にフリーランスの環境整備は、フリーランス保護新法やガイドライン制定があり、徐々に環境が整ってきていると言えるでしょう。

上記のような課題解決のため、労働者の置かれた状況に応じ、多種多様な働き方ができる社会を実現し、労働者それぞれがより良い将来の展望を持てるようにすることを働き方改革は目指しています。

参考サイト:「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省

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フリーランスと働き方改革の関係

ここまでで働き方改革とは何かについて説明しました。では、フリーランスと働き方改革はどのように関係しているのでしょうか。

ここからは、次の3つの視点から、フリーランスと働き方改革の関係について解説をしていきたいと思います。

・フリーランスになりやすくなる働き方改革
・フリーランスの地位向上と保護
・フリーランスの社会保険が整備

フリーランスになりやすくなる働き方改革

働き方改革に伴い、フリーランスとして働きやすくなりました。働き方改革では、労働者の置かれた状況に応じて、多種多様な働き方が実現できる社会を目指しており、厚生労働省からは、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインも発行されています。

また、ガイドラインではクライアントだけではなく仲介業者が遵守すべき事項も挙げられています。フリーランスとして働いている方やこれからフリーランスとして働こうと考えている方は、ガイドラインの概要版だけでも目を通しておきましょう。

参考サイト:フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(概要版)|厚生労働省

フリーランスの地位向上と保護

フリーランスとして働きやすくなった一方で、フリーランスに関する制度や法律が整備されていなければ、フリーランスになって損をしてしまう可能性が高いです。フリーランスの立場として、依頼主に対して立場が弱いと感じているフリーランスの方が一定数います。そのため、働き方改革の一環として、公正な市場ルールの整備・不当な契約関係の是正が挙げられています。

参考サイト:「雇用関係によらない働き方」について(現状と課題)|経済産業省

フリーランスの社会保険が整備

フリーランスを推進する一方で、社会保険の整備も重要になります。社会保険とは、

・医療保険
・年金保険
・介護保険
・雇用保険
・労災保険

上記5種類の保険の総称です。なかでも、会社員を対象としている医療保険と年金保険が狭義の社会保険と呼ばれることもあります。

基本的には、社会保険料は事業主と従業員が折半して負担をしていましたが、フリーランスになると国民年金と国民健康保険を個人で加入する必要が出てきます。そのため、労災保険などがなくなってしまい、体調を崩してしまった際の保障が受けられませんでした。

しかし、働き方改革の一環として、労災保険の特別加入の対象が広がりました。このように特別加入の対象が広がったことにより、フリーランスとして安心して仕事ができます。

参考サイト:令和3年9月1日から搭載保険の「特別加入」の対象が広がりました|厚生労働省

フリーランスが働き方改革で注意すること

働き方改革では、時間外勤務の上限や年次有給休暇の取得などがありました。ここからは、フリーランスが働き方改革で注意することを、従業員を雇っている場合と雇っていない場合の2種類に分けて解説していきたいと思います。

従業員を雇っていない場合

まず、従業員を雇っていない場合には、年次有給休暇の取得や残業時間という概念がないため、注意することは多くありません。ただし、クライアント先が働き方改革を実施している場合には、注意が必要でしょう。例えばクライアント先企業が残業時間を減らすために、打ち合わせ時間が減少する可能性が挙げられます。

従業員を雇っている場合

従業員を雇っている場合には、年次有給休暇の取得や残業時間に注意する必要があります。年次有給休暇は、正規雇用・非正規雇用に関わらず、年間5日以上取得させなければいけません。フリーランスでも企業と同じように働き方改革を実施する必要が出てきますので、注意が必要です。

参考サイト:年5日の年次有給休暇の確実な取得|厚生労働省

フリーランスが業務委託を受ける際の注意点

フリーランスの方が業務委託を受ける際には、いくつかの注意点があります。ここからは、業務委託開始と終了の義務と支払いに関する義務について解説をしていきます。

業務委託開始と終了の義務

これまでは業務委託開始の際に書面の交付をしていないことがありました。しかし、書面を交付しないことによって、フリーランスの方が不利益を被ることがあり、フリーランスとして安心して働ける環境ではなかったと言えます。

そこで、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインでは、クライアント側が、フリーランスが発注時の取引条件を書面で確認できるようにするなどの対応をしておくことが必要である、としています。

フリーランスが書面で取引条件を確認できるようにすることは、優越的地位の濫用となる行為を未然に防ぐ意図があります。また、クライアント側が発注時に取引条件を明確にできない場合には、独占禁止法に抵触する可能性があります。

企業で正社員として勤めている場合には、労働契約の終了にはルールが定められていましたが、フリーランスの場合には、労働契約の終了に関するルールはありませんでした。そこで、フリーランス保護新法では、契約の中途終了や更新をおこなわない場合には、原則30日前に予告を義務付けることになりました。

参考サイト:フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン|厚生労働省

参考サイト:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要(新規)|厚生労働省

支払いに関する義務

また、クライアント側の支払い手続きの遅延や役務の成果物の設計や仕様の変更などを理由とし、既に成果物の提供が終わっているにも関わらず、クライアントが恣意的に検収を遅らせることで、契約で定めた支払い期日に報酬を支払わないなどのトラブル事例がありました。

そのため、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案では、役務の成果物の提供を受けた日から60日以内に報酬を支払うように義務付けられました。

これまでは取引の際に、クライアント側とフリーランス側では立場に力関係がはたらくことがありましたが、ガイドラインの整備により対等に取引をおこなえる環境が整ってきています。

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まとめ

この記事では、フリーランスの方が働き方改革のどのような点に注意をするべきか、どのように対応していくべきかを解説しました。働き方改革とは、多種多様な働き方を推進することに重きをおいており、副業や兼業、フリーランスで働く方にも大きな影響があります。

これまでは、フリーランスとクライアントの関係としてクライアント側が優位な立場になりやすいという状況でした。しかし、働き方改革や関連法、フリーランス向けのガイドライン制定などにより、フリーランスがクライアントと対等に取引がしやすくなってきています。

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