フリーランスセキュリティエンジニアの年収や案件、将来性についてご紹介!
2023年2月8日
昨今、労働環境も柔軟になってきており、会社員で終身雇用を目指す選択肢だけでなく、企業に所属することなくフリーランスとして自由に働く選択肢も増えてきています。とくに、IT業界では、人手不足や業務上出社しなくてもできる業務が多いなど、さまざまな理由でフリーランスの人口や需要は高まってきています。
フリーランスになれば、働く時間や場所が自由で収入も増えるなどメリットもあり、セキュリティエンジニアとして会社員で活躍されている方も、ゆくゆくはフリーランスを目指したいと考える方は少なくないでしょう。
しかし、会社員からフリーランスになる前に「どのようにしてフリーランスになればいいのか」「具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか」「会社員と何が違うのか」など疑問や不安があるでしょう。
本記事では、フリーランスセキュリティエンジニアについて案件の特徴や年収・働き方、フリーランスになるメリットやデメリット、案件を獲得する方法などを紹介いたします。本記事を参考に、セキュリティエンジニアとして、フリーランスを目指してみてはいかがでしょうか。
目次
セキュリティエンジニアのフリーランスの年収や働き方
セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティを専門としたエンジニアのことです。サーバー関連の業務も行っており、セキュリティを考慮したシステムの設計やサーバーの構築・運用が主な業務となっています。
ITの普及に伴い、サイバー攻撃の被害も増加傾向にある昨今では、セキュリティ対策は必須です。多くの企業がセキュリティに対する意識を強めているため、セキュリティエンジニアの業務は重要な役割を担っていると言えるでしょう。
セキュリティエンジニアの仕事内容は、主に以下の5つのステップに分かれています。
- 企画・提案
- 設計
- 実装
- テスト
- 運用・保守
企画・提案では、クライアントのITシステムについてコンサルティングを行い、必要なセキュリティがなにかを企画・提案します。
設計では、実際にシステムの設計を行います。セキュリティに脆弱性があってはならないため、システムを設計する際は、ネットワーク・サーバー機器・OSなど、すべてのシステムを考慮した上で設計していくのが基本です。
実装では、設計したシステムを実装していきます。こちらも設計と同様、すべてのシステムを考慮した上で実装します。
実装したシステムに脆弱性がないかをテストすることもセキュリティエンジニアの重要な業務です。さまざまなテスト項目で念入りにテストを行い、脆弱性が発見されればその対策も行います。
運用・保守では、システムを安全に運用していくために、システム導入後の障害対応やOSのアップデートなどの保守業務を行います。
以上の5つのステップは、すべて担当することもあれば一部のみ担当する場合もあるでしょう。
働き方
セキュリティエンジニアは、クライアントや企業の担当者などとコミュニケーションをとる必要があるため、基本的に現場に出て働く、客先常駐の形となることが多いでしょう。
セキュリティの観点から、データの閲覧や使用を社内でのみ可能としている企業が多い点も、客先常駐の多さを後押ししています。
しかし、近年ではコロナウイルスの影響による世界情勢の変化もあり、リモートワークが増えてきています。チャットツールや業務管理ツールの普及によってリモートワークがしやすくなったこと、クラウドサービスが普及したこともリモートワークが増えた要因と言えるでしょう。
年収
次に、セキュリティエンジニアがフリーランスとして働く際の平均年収を見てみましょう。
フリーランスエンジニア専用の求人サイトである「フリーランススタート」によると、2021年時点のセキュリティエンジニアの平均年収は817万円となっています。
会社員エンジニアの平均年収は469万円、会社員セキュリティエンジニアの平均年収は489万円のため、フリーランスのセキュリティエンジニアは高年収が期待できる業種と言えるでしょう。
なお、最低年収が360万円、最高年収が1,560万円と同じフリーランスのセキュリティエンジニアでも年収には大きな開きがあるため、経験を積み、必要なスキルを獲得していくことが年収を上げる上で大事です。
参考:セキュリティエンジニアの年収は?セキュリティエンジニアの仕事や年収アップに必要なスキルを解説|フリーランススタート
案件数
セキュリティエンジニアの案件数も見ていきましょう。「フリーランススタート」によると、2023年1月時点のセキュリティエンジニアの案件数は734件です。
案件数は非常に豊富なため、自身に合った最適な案件が見つかる可能性は高いでしょう。
リモートワークに限定しても案件数は185件あるため、リモートワークしかできない場合でも問題ありません。
セキュリティエンジニアのフリーランス案件の実例を紹介!
本章では、セキュリティエンジニアのフリーランス案件について実例を紹介していきます。
実例から、条件や求められるスキル感を把握しましょう。
Relance①
【セキュリティエンジニア/リモート可/週5日】プラットフォーム脆弱性診断に携わります!
■概要情報
・職務内容:
入社後すぐは、既存の金融系大口顧客のプラットフォーム診断やペネトレーションテスト、診断レポート作成、 レポート作成に必要な脆弱性情報の収集・調査などを担当いただきます。 実際の診断 業務の他、 顧客との窓口として、診断手順書等の資料作成やスケジュール調整などもお任せします。
※夜間、休日対応および、 出張を含むオンサイト作業があります。
※リモートワーク可
将来的には、新規顧客に向けたプラットフォーム診断やペネトレーションテストをサービスとして 充実させていくため、 サービス内容や業務フローの改善、 新規サービス立ち上げに伴う技術開発などもチームの中心となって牽引いただきます。
・必須スキル:
プラットフォーム脆弱性診断の実務経験 (Nessus、 Tenable.jo, Metasploit等)
診断レポート作成、 報告会経験
診断手順書等の資料作成やスケジュール調整などを含む顧客対応経験
・歓迎スキル:
・PCI DSSに関わる脆弱性診断経験
・Windows ネットワークに関する知識
・英語での診断レポート作成経験
■環境
・働き方: リモートメイン
■契約内容
・契約形態: 業務委託
・想定稼働日数/週:5 ~ 5
■おすすめコメント
■開発環境
・言語:
・フレームワーク:
・ミドルウェア:
・インフラ:
■報酬
月収(税抜き): 500,000円 ~ 600,000円
Relance②
【セキュリティ支援/年収720万〜960万円/フルリモート/自社開発】サーバー、ネットワーク設計・構築経験者大歓迎!
■概要情報
・職務内容:
大手自動車メーカーのグループ企業向けのセキュリティ支援です。
スパム対策でできることを考えたりと、状況に応じて最適案を選びながらセキュリティに対して提案していくことがお仕事です。
これから色々と試行錯誤しながら作っていく段階なので、セキュリティに関するなにかしらの経験があればOKです!
※リーダーはいます。
・必須スキル:
・セキュリティ支援に関わった経験1年以上ある方
・歓迎スキル:
【経験・知識・スキル】
・セキュリティ分野への興味、関心
・情報理論、計算機工学の知識
・法律に関する知見
【資格】
・情報処理技術者試験
・シスコ技術者認定資格
・情報セキュリティスペシャリスト試験
■環境
・働き方: リモートメイン
■契約内容
・契約形態: 業務委託
・想定稼働日数/週:3 ~ 5
■おすすめコメント
■開発環境
・言語:
・フレームワーク:
・ミドルウェア:
・インフラ:
■報酬
月収(税抜き): 600,000円 ~ 800,000円
セキュリティエンジニアのフリーランスの将来性や今後の需要は?
フリーランスのセキュリティエンジニアを目指すにあたって、将来性や今後の需要が気になる方も多いでしょう。この章では、セキュリティエンジニアの将来性や需要について紹介していきます。
結論として、セキュリティエンジニアの需要や将来性は高いと言えるでしょう。理由としては、日本におけるIT人材不足が挙げられます。IT人材は年々増加傾向にあるものの、IT業界は常に発展を続けているため、需要に供給が追い付いていない状態となっています。
経済産業省が実施した「IT人材需給に関する調査」においても、IT人材の需要と供給には有意な差が見られるため、今後も人材不足が続くと予想されるでしょう。
また、セキュリティエンジニアについても需要は高くなる一方と考えられます。その理由としては、国内のセキュリティ市場が年々拡大してきているためです。IDC JAPANが発表した「最新の国内情報セキュリティ市場予測」によると、2020年から2026年にかけてセキュリティ市場は拡大すると述べられています。
新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの普及により、コミュニケーションのハイブリッド化が加速したことも要因のひとつです。結果として、サイバー攻撃をはじめとするセキュリティリスクが高まり、セキュリティサービスの需要が高まりました。
セキュリティサービスの需要拡大は、セキュリティエンジニアの将来性や需要に大きく影響することでしょう。
参考:最新の国内情報セキュリティ市場予測を発表|IDC JAPAN
セキュリティエンジニアがフリーランス案件を獲得する方法
次に、セキュリティエンジニアがフリーランス案件を獲得する方法について見ていきましょう。
フリーランスが案件を獲得する方法には「クラウドソーシングサイトの利用」「フリーランスエージェントの利用」「転職サイトの利用」などがあります。
クラウドソーシングサイトは、仕事を発注したい企業と、仕事を受注したい個人とをマッチングさせるサービスです。会社員が副業で利用するケースもありますが、基本的に利用者はフリーランスが多数を占めるでしょう。さまざまなジャンルの案件が掲載されており、フリーランスはその中から受注したい案件を選び、応募します。
エンジニア向けやWebライター向けなど、特定のジャンルに特化したクラウドソーシングサイトもあるため、複数のサイトを併用して案件を探すとよいでしょう。
フリーランスエージェントは、フリーランス向けの案件を紹介してくれるサービスです。自分で案件を探す必要のない点がメリットで、専門のエージェントがスキルや経験に見合った案件を紹介してくれます。
カウンセリングを受け付けているフリーランスエージェントもあるため、キャリア相談やフリーランスの福利厚生など、疑問点があれば質問することをおすすめします。
転職サイトの利用も案件探しには効果的です。転職サイトというと会社員が対象のようなイメージがありますが、フリーランス向けの仕事も多数掲載されています。
他にも、SNSを利用したり、直接企業に営業をかけるといった方法もありますが、フリーランスとしての経験が浅く、営業もあまり得意ではないという方にはフリーランスエージェントの利用をおすすめします。
エージェントがスキルや経験に見合った案件を紹介してくれるため、自分で案件を探すよりも効率的に良質な案件を受けられる可能性が高いです。
疑問点はエージェントに質問することも可能なため、フリーランスになったばかりの方にとって心強い味方となることでしょう。
セキュリティエンジニアのフリーランスに必要なスキル
フリーランスのセキュリティエンジニアとして活動していくには、以下のようなスキルが必要です。
- セキュリティスキル
- ネットワークスキル
- コミュニケーションスキル
- セキュリティのマネジメントスキル
それぞれ解説します。
セキュリティスキル
セキュリティエンジニアは、企業のシステムをサイバー攻撃から守れるようにすることが主な業務となるため、セキュリティスキルはほぼ必須と言えます。
テストを実施してシステムやソフトウェアの脆弱性を発見・解決する必要もあるため、セキュリティに関する知識だけでなく、サイバー攻撃の種類・手口なども知っておく必要があるでしょう。
また、セキュリティエンジニア自身がそのまま開発まで担当するケースもあるため、プログラミングの段階で脆弱性を排除できるよう、セキュアプログラミングのスキルも身につけておくことをおすすめします。
ネットワークスキル
サイバー攻撃にはネットワークを狙ったものもあるため、ネットワークに関するスキルも必要となるでしょう。
セキュリティ対策を行うには、攻撃の標的となる場所を理解しておく必要があるためです。
とくに、ネットワークに繋がったシステムの利便性と、セキュリティを同時に確保したい場合などにネットワークスキルが必要となるでしょう。
コミュニケーションスキル
セキュリティエンジニアは、業務の特性上、クライアントや現場の担当者と連携をとっていく場面が多くなりがちのため、コミュニケーションスキルも必要です。
テスト結果や脆弱性の報告などをさまざまな人に論理的に説明しなければならないため、論理的思考力もあるとよいでしょう。
セキュリティのマネジメントスキル
セキュリティエンジニアの業務内容は、セキュリティの提案やシステムの設計、テストの実施など多岐に渡ります。
上記以外にも、セキュリティマネジメントルールの策定など、幅広い業務を担当する場合もあります。クライアントの要望をくみ取り、ユーザーが快適にシステムを利用できるような運用方法の仕組みづくりをするためには、セキュリティのマネジメントスキルが重要なのです。
セキュリティエンジニアのフリーランスが高単価の案件を獲得するには?
セキュリティエンジニアが高単価のフリーランス案件を獲得するためには、どのようにすればいいのでしょうか。本章では、高単価の案件を獲得するために必要な観点を解説します。
商流の浅い案件に参画する
フリーランスの案件は、なるべく商流の浅い案件を獲得するよう心がけましょう。理由としては、商流が浅い案件ほど報酬が高くなるためです。
商流の深さは、企業からフリーランスまでの間にどのくらい階層があるかで決まります。
企業とフリーランスの間に仲介業者が挟まると仲介業者への手数料が発生するため、複数の仲介業者が挟まり階層が深くなってしまうと、仲介手数料によって報酬が減ってしまうのです。
商流の深い案件は下流工程がほとんどのため、上流工程の経験を積むことができないという点もデメリットでしょう。
商流の浅い案件に参画するには、一定以上のスキル・経験が必要です。
商流の浅い案件を獲得できるようになるためにも、資格やスキルを身につけ、経験を積んでいくことが大事だと言えるでしょう。
資格を取る
セキュリティエンジニアには必須となる資格はありません。しかし、資格は自身のスキルの証明になり、案件応募時にも有利に働くため、取得することをおすすめします。
セキュリティエンジニアにおすすめの資格は以下の4つです。
- 情報セキュリティマネジメント試験
- 情報処理安全確保支援士試験
- CompTIA Security+
- シスコ技術者認定
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティマネジメントの計画・運用など、情報セキュリティの基本的なスキルを認定する資格です。ITパスポートの上位に位置付けられた国家資格のため、IT分野において有用な資格となっています。
情報処理安全確保支援士試験は、サイバーセキュリティ対策を担う人材の育成・確保をしていくために生まれた資格です。情報系の資格で唯一の「士業」なので、取得すれば専門資格として高い評価を受けられるでしょう。
CompTIA Security+は、CompTIAが認定している世界的に信頼性の高い資格です。セキュリティマネジメントやセキュリティスキルに関する知識が網羅されているため、取得すればサイバーセキュリティに関するスキルを証明できるでしょう。
シスコ技術者認定は、シスコ社が認定している資格の総称です。分野ごとに認定レベルがあり、難易度は「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」「アーキテクト」の順で上がっていきます。
セキュリティ関連の資格としては、サイバーセキュリティ分野の「CyberOps Associate」「CyberOps Professinal」、ネットワークセキュリティ分野の「CCNP Security」「CCIE Security」の4つがあります。
まとめ
今回の記事では、フリーランスでセキュリティエンジニアを目指している方へ向けて、セキュリティエンジニアの年収や働き方、将来性、必要なスキルなどについて解説しました。
企業のセキュリティ意識は年々高まってきているため、セキュリティエンジニアの需要も高まっていくことが予想されます。
セキュリティエンジニアには、セキュリティ分野以外にも求められるスキルが複数あるため、さまざまなスキルを身につけつつ、キャリアアップを狙うとよいでしょう。
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