フリーランスになるために必要な実務経験とは?実務経験のアピールポイントについても紹介
将来的にフリーランスとして独立を目指している方は多いのではないでしょうか。
ただし、どれだけの実務経験があればフリーランスになれるか分からないという悩みを抱えている方もいるはずです。
そこで、本記事ではフリーランスに必要な実務経験や、実務経験をアピールするためのポイントについて解説します。
フリーランスに実務経験が必要な4つの理由
結論から言うと、フリーランスには実務経験が少なからず必要です。まずは実務経験が必要な理由を紹介します。
依頼者がスキルを判断しやすくなる
発注企業が受注者を選ぶとき、何を重要視するでしょうか。
それは「受注者がきちんと依頼事項を完遂してくれるか」、「受注者が高品質な成果物を作成してくれるか」ということです。
発注企業側は実績があることで、この人はどんな案件を得意としていて、どんな能力を持っている人なのか、または依頼事項に対して責任をもってやり遂げてくれる責任能力があるかを確認することができ、安心して受注者に依頼をすることができます。
営業や条件交渉をしやすくなる
フリーランスエンジニアの場合、クライアントに対して条件や単価の交渉を行うことができます。
しかし、条件や単価の交渉を行ったとしてもクライアント側に具体的なメリットを提示できなければ受け入れてもらえないでしょう。
十分な実務経験を積むことでクライアントにご自身のスキルやこれまでの成果をアピールすることができ、よりよい条件でクライアントと契約をすることができるでしょう。
収入が上がりやすくなる
実務経験を積んでいると、クライアントとの条件や単価の交渉ではメリットをアピールできるようになり、単価を上げやすい傾向にあります。
しかし、実務経験があるメリットは単価が上がりやすいだけではありません。「十分な実務経験がある = 信用がある」ということですので、発注するクライアントからすると実務経験がある人に対しては優先的に依頼するでしょう。昨今、フリーランスエンジニアは増加傾向であるため、実務経験があるということは差別化にもつながります。
このことから実務経験があるフリーランスエンジニアは案件の質の面でも、量の面でも収入を上げやすくなります。
参画出来る案件が多くなる
実務経験を積んでいることで、プログラミングスキルや設計スキルなどのIT関連のスキルから、コミュニケーションやマネジメントなどのビジネススキルまで様々なスキルを身に着けることができるでしょう。
IT関連の案件の多くは1人で行うものではありません。多くはプロジェクト単位での活動となるでしょう。クライアントはフリーランスエンジニアに発注する際にはプロジェクトの目的や稼働状況から必須なスキルを洗い出し、発注を行います。
実務経験を積んで多くのスキルを身に着けているフリーランスエンジニアはクライアントが指定する必須スキルと適合する可能性が多くなり、参画できる案件が多くなることでしょう。
フリーランスエンジニアの案件獲得なら『Relance』
フリーランスになれる実務経験の目安は?
ここまでフリーランスエンジニアとしてより多く活躍するためには実務経験が必要であることをお伝えしました。しかし、「実際にどれくらいの実務経験が必要なの?」と不安になる方も多いでしょう。
ここではどれくらい実務経験を積めばよいのか、目安を説明いたします。
最低でも1年以上の実務経験
フリーランスエンジニアとして独立するためには実務経験は最低3年以上あるとよいと言われることが多いです。
しかし、自分に合った案件を見つけることができれば、実務経験が1年程度でもフリーランスエンジニアとして独立することは可能です。最低1年、実務経験を積んでおけば、自分が始めたいと思い始めた瞬間からフリーランスエンジニアとしてキャリアをスタートすることができます。
ただし、単価は低くなりがちで月収は約40万〜50万円ぐらいが相場と考えましょう。月収40万円と考えると「結構稼げるな」と考える方もいることでしょう。フリーランスの月収40万とサラリーマンの月収40万は違います。フリーランスの場合、厚生年金がありませんので、老後に備えて貯蓄が必要になります。貯蓄する分も考慮すると実際の手取りは28万円ぐらいとなり、サラリーマンの月収40万円に比べて1割ぐらい使用できるお金は少なくなると考えましょう。
また、案件の中には実務経験3年以上と制限されていることがあり、必ずしも自分のやりたいこととマッチした案件に関われる訳ではないことは認識しておきましょう。
理想は実務経験5年以上
フリーランスエンジニアになるための実務経験は3年が目安ですが、理想は5年以上の実務経験があるとよいでしょう。
システム構築には要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング/開発、テスト、保守など、様々なフェーズがあります。実務経験が3年となると一般にはどこか一部のフェーズを一通り経験していることが多いのではないでしょうか。一部のフェーズを一通り経験していることによってフリーランスエンジニアとしてのスタートをきる素養を身に着けている、これが実務経験3年が目安と言われる理由です。
一方、実務経験5年以上となると、上記のシステム構築のフェーズを一通り経験できることも多いです。または、一つのフェーズのみしか経験がない場合でも5年ともなると、そのフェーズのチームリーダーとしてクライアントとのコミュニケーションやメンバーのマネジメントも経験している場合が多いでしょう。そのため、選べる案件の数もグッと多くなりますし、報酬も大きく上がるのでフリーランスの恩恵を受けやすくなります。時間があるのであれば、5年以上しっかりと実務経験を積んでからフリーランスエンジニアに転身してもよいでしょう。
案件の責任者を担当する
フリーランスエンジニアの実務経験として価値があるのは経験年数だけではありません。明確なスキルがあることをアピールできれば、それは大きなアドバンテージになります。その中の一例としてはプロジェクトのチームリーダーやマネージャーとして責任を求められるポジションの実務経験があります。
チームリーダーやマネージャーの経験があれば、部下のマネジメントスキルやクライアントとのコミュニケーションスキルなどを身に着けていることがアピールできます。また、チームリーダーやマネージャーとなると困難な状況でもやり遂げなければならなかったり、最後まで責任感をもってプロジェクトを遂行しなければなりません。フリーランスエンジニアに転身したとしても、クライアントからは責任感をもって仕事を遂行できる人と見てもらえるでしょう。さらに経験を積んでプロジェクトマネージャーを経験している場合には、フリーランスとしてさらなる高収入が臨めるでしょう。
フリーランスになるために実務経験を積んでいるときに、チームリーダーやマネージャーを経験するチャンスが来たら、フリーランスになった際に年収を上げるアドバンテージを得られることになるので、チャレンジしてみると良いでしょう。
フリーランスが実務経験をアピールする方法
フリーランスエンジニアとして活動するにあたって、営業場面やクライアント企業との交渉の場で実務経験を正確にアピールすることはとても大切です。自身のスキルや実務経験を企業側に正確に伝えなければ、スキルアンマッチなポジションで採用されてしまう場合や最悪の場合採用されない場合もあります。
ここではフリーランスエンジニアとして実務経験をアピールする方法を3つお伝えいたします。
資格を取得する
スキルを持っていることを示すもっとも有効な手段は資格を取得することでしょう。
ただし、ITパスポートや基本情報技術者試験などは実績をアピールする資格としてはあまり価値がないと考えましょう。なぜならITパスポートや基本情報技術者試験というのはITのベースの知識があることは保証されますが、実際の実務で使えるスキルとは結びついていないためです。一方、実務と結びついている資格を十分に取得している場合には、実務未経験である場合やエンジニア経験が浅い場合にも案件を取得できる可能性があります。
実務で使えるスキルと結びついている資格として以下の3つをご紹介します。
- Linux技術者認定
Linux技術者認定試験はLv1〜3まであり、物理/仮想環境のLinuxサーバーの構築・運用〜Linuxシステム、ネットワークの設計・構築までLinux環境全般を網羅している資格になります。Linuxに強みがあるフリーランスエンジニアの人にはぜひ取得してもらいたい資格になります。
- シスコ技術者認定
シスコ技術者認定とはネットワーク関連機器メーカー最大手のシスコシステムズ社が認定するネットワークエンジニア向けの資格になります。エントリー〜アーキテクトまで6段階に分かれております。ネットワークエンジニア向けの資格としては世界的に信頼度が高い資格ですので、ネットワークエンジニアを目指す方は取得してもらいたい資格になります。
- オラクルマスター
オラクルマスターとはオラクル社が認定するデータベース関連の資格になります。Bronze、Silver、Gold、Platinumの4段階に分かれており、順番に試験を受ける必要があります。OracleDBは世界的に見てもMySQLと並んで1,2位を争うシェアを獲得しており、フリーランスエンジニアとなるには避けては通れないスキルでしょう。ぜひ取得しておくことをおすすめします。
- AWS認定
AWS認定とはAWS(Amazon Web Services)に関する専門的な知識やスキルを認定する資格です。多くの企業が利用するAWSはAmazon社が提供するクラウドコンピューティングサービスであり、さまざまなITサービスがクラウド上で使えるようになります。資格は「ベーシック」「アソシエイト」「プロフェッショナル」の3つのレベルに分けられており、取得することで就職やキャリアアップにつながるでしょう。また、GCPやMicrosoft Azureなどクラウドサービスの資格は他にも多くありますので、気になる方は調べてみてください。
参考URL:https://pe-bank.jp/guide/skill/license/
過去の経歴やスキルをまとめる
いくら素晴らしい実務経験をしてきたとしても、自分自身の中できちんと整理し、クライアントに伝えることができなければ意味がありません。場合によっては、「この人は整理する力やまとめる力がない人なんだな、、、」とネガティブに受け止められてしまう場合があります。
今までの実務経験や得られたスキルを常々整理しておくことを心がけましょう。
これまでの経験をまとめていく際には職務経歴書のようにまとめていくと良いです。以下のような項目に注力してまとめるようにしましょう。
- 実務経験やスキルをまとめる際の項目
- 在職期間
- クライアント名
- 案件(プロジェクト)の内容
※Webサイト系の案件であればURLも記載するようにしましょう
- 自身の役割
- 使用した環境や言語
- 活かした経験・知識・技術等
- 自身の強みを活かした成果や困難を乗り越えた方法など
参考URL:https://miraie-group.jp/sees/article/detail/freelance_write_point
また、Webサイト系のフリーランスエンジニアであれば、ご自身でポートフォリオサイトを作成し、自分の経歴や作品を紹介するのも有用です。ポートフォリオサイトを作成しておけば、クライアントと交渉をする場においても事前に成果を確認してもらえますし、技術レベルも認識齟齬なく伝えられるため、話し合いがスムーズになります。Webサイトが作れる方はぜひ作っておくと良いでしょう。
プロジェクトの規模や数字など具体的に伝える
クライアントとの面談の場や営業の場では、相手はあなたのことを知りません。そのため、あなたの頭の中で描いている実務経験のレベルとクライアントが想像するあなたの実務経験のレベルには差異が発生してしまいます。
では、この差異をできる限り少なく伝えるためにはどのようにしたらよいのでしょうか。それは数字を使って具体的に伝えることです。例えば、「プロジェクトは何人体制だったのか」、「何人の部下をマネジメントしたのか」、「設計書はこれまで何本ぐらい作成してきたのか」などです。クライアントに自身の成果を具体的に伝えて認識齟齬をなくすことで条件の交渉などがスムーズにできるようになるでしょう。
実務経験を積む期間にやっておくべきことは?
フリーランスとして独立するのに実務経験を積んでおいたほうが良いことは分かりましたね。では、実務経験を積んでいる間、何か意識して身につけた方がよいことや、やっておいた方がよいことはなにかあるのでしょうか。
ここでは、実務経験を積んでいる間にやっておいた方が良いことを紹介します。
ビジネススキルを磨く
フリーランスのエンジニアがクライアントに営業を行う場合や条件の交渉をする場合、プログラミングスキルやサーバー構築スキルなどのITスキルに着目されることが多いと思いますが、その前提にはビジネススキルを身に着けていることという条件があります。
ビジネススキルと聞くと「ふわっとしていて、どのようなスキルを指すのかわからない、、、」と考える方も多いでしょう。ビジネススキルとは以下の3つに分けて考えると良いでしょう。
- テクニカルスキル
基本的なPCスキルのことを指します。Word、Excel、PowerPointが使えることやインターネットを利用して調べることができることなどを指します。
- ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは対人関係に必要なスキルを指します。具体的には相手の言っていることを正確に理解し、自分の求めていることを正しく伝えるコミュニケーションスキルや、相手が求めている情報を提供し、行動を促すプレゼンテーションスキル、相手に不快な印象を与えないようにするビジネスマナーなどがあります。
- コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは、課題解決に必要なスキルです。必要な情報を収集するスキル、情報を分析するスキル、情報を分析した結果総合的判断するスキルなどが求められます。
営業時にクライアントに不快に思われない、クライアントとの条件交渉の場に立つことを目標に独立する前に身に着けておきましょう。
実務に必要なスキルや経験を獲得する
会社員として実務経験を積んでいる間、「とりあえず仕事しているし、大丈夫だろう」と思ってしまうこともありますが、この考え方は主体的な行動を求められるフリーランスとしてはNGです。
フリーランスを目指すのであれば、会社員として実務経験を積んでいる間も積極的に動かなければなりません。将来、フリーランスになってどのような仕事をしたいのか、そのために必要なスキルはなにか、を考えてスキルを身に着けられるような環境に移動するようにしましょう。例えば、そのスキルを身に着けられる自社の他のプロジェクトに異動する、スキルを身に着けられる会社に転職するなどです。
スキルや経験を獲得できる環境に移動することで、実務経験を積む期間の短縮やフリーランスになったときの収入アップにつながります。スキルや経験を獲得するため戦略的に行動することを心がけましょう。
相談できる人やコミュニティを作る
一人で自由に働けるのが魅力のフリーランスですが、一人だけで仕事をしていくのは大変です。フリーランスになる前に相談できる人やコミュニティを作るように心がけましょう。相談できる人やコミュニティを作るメリットは大まかに以下のようなものがあります。
- メンタルやモチベーションの維持につながる
一人で仕事をしているフリーランスは孤独や不安も感じることが多いですよね。
そのようなとき、同じフリーランスという仲間がいれば安心できるのではないでしょうか。さらには、フリーランス仲間で飲み会や食事会もできるようになると、楽しみが増え、メンタルやモチベーションの維持につながるでしょう。
- 困った時に相談できる
一人で仕事をしているとトラブルが発生した場合、どのように対応したらいいのかわからないようなケースも出てきます。
フリーランス仲間を作っておくと、トラブル発生時に相談することができます。例えば「クライアントが報酬の支払いを忘れている」、「クライアントが労働条件の提示をしてこなかった」などのトラブルに対して対処方法の相談などが可能になります。
- 情報交換ができる
IT関係は近年特に成長している分野であり、一人で追いつくことは困難でしょう。
フリーランスの仲間がいれば、業界の最新トレンドや今後の動向、仕事に有益な情報を交換できるようになります。自分だけで集めることが困難な情報も人脈を駆使して手に入れることができる可能性もあります。
- 仕事に結びつくケースも
人脈を作っておくことで、思いがけないタイミングで仕事をもらえることもあります。特に駆け出しのフリーランスは信用がなく、仕事量を安定化するのが大変なため、人脈を利用して活躍の場を広げるようにするとよいでしょう。
資金を貯める
意外に思われるかもしれませんが、実務経験を積んでいる間に資金を貯めておくことも大切です。この理由には主に2つの理由があります。
- フリーランスになってから無理をしないため
フリーランスになって、いきなり資金がないとどう思うでしょうか。先行きが不透明なことも多く、不安になってしまうのではないでしょうか。
そのため、目先の収入を求め、大変な案件を引き受けてしまったり、低単価案件を多く受けてしまったりと思うように思うようなスタートがきれず、精神的にも体力的にも大変な思いをすることになるでしょう。
十分な資金をため、安心してスタートをきれるようにしましょう。
- フリーランスは不安定なため
フリーランスは会社員と異なり、有休や休職といった保障制度がありません。もし病気やケガで仕事が出来なくなってしまったら、その間は収入が途絶えてしまいます。また、病気やケガでクライアントの仕事を中断してしまうと信用が減り、回復に時間がかかることでしょう。このようにフリーランスはどうしても不安定な環境になってしまうため、事前に資金を貯めておくようにしましょう。
関連記事