フリーランスの青色申告のやり方は?初めての方でもわかりやすく解説

フリーランスとして活動していく場合、毎年確定申告をしなくてはなりません。

確定申告には大きく青色申告と白色申告がありますが、税制上のメリットは青色申告のほうが大きくなっています。

しかし、具体的に白色申告と青色申告で何が違うのかがわからず、白色申告のまま確定申告をしている方も少なくないのではないでしょうか。

今回の記事では、フリーランスの青色申告について、白色申告との違いや必要な手続き、書類の書き方などを紹介します。

そもそも青色申告と白色申告の違いは?

確定申告には青色申告と白色申告がありますが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。

まずは白色申告の特徴から見ていきましょう。白色申告は、青色申告よりも手続きや記帳がシンプルです。

青色申告をするには青色申告の申請をしなければいけませんが、白色申告は申請の必要はありません。

確定申告と聞くと難しそうで大変というイメージがありますが、このイメージは青色申告から来るものであって、白色申告で必要な作業はそれほど難しいものではないのです。

対する青色申告は、先述したように事前に青色申告の申請が必要となります。白色申告よりも控除額や経費にできる範囲などが優遇されています。記帳に違いがあり、白色申告は「単式簿記」と呼ばれるシンプルな記載方法でいいのですが、青色申告は「複式簿記」と呼ばれる専門知識が必要な記載方法が基本となります。

青色申告の場合、複式簿記でなければ青色申告特別控除を受けることができないためです。

メリットが多い反面、記帳はやや複雑という点が青色申告の特徴といえるでしょう。

フリーランスは青色申告?白色申告?

確定申告の際、青色申告と白色申告どちらを選択するかは自由です。しかし、基本的には青色申告を選ぶことをおすすめします。

青色申告と白色申告を比較した際、最も大きな差といえるのが「青色申告特別控除」の有無です。

青色申告は特定の条件を満たしたうえで必要な手続きを行うことで受けることができます。その控除額は最大で65万円にもなるため、納税額に大きな差が出ることは明白です。

また、万が一赤字となってしまっても赤字を3年間繰り越すことができます。赤字を繰り越すことにより黒字と相殺できるため、税金の負担が小さくなるのです。

本来、赤字の場合は確定申告しなくてもよいのですが、赤字の繰り越しという大きなメリットがあるため、青色申告者は赤字でも確定申告することをおすすめします。

フリーランスが65万円の青色申告特別控除を受ける方法は?

先述したように、フリーランスは青色申告をすることにより、最大65万円の青色特別控除を受けることができます。

ただし、青色申告特別控除には条件があり、誰もが65万円の控除を受けられるわけではありません。

まずは具体的な控除額から見ていきましょう。青色申告特別控除の控除額は、55万円または10万円であり、55万円の条件を満たした上でさらに一定の条件を満たすことで控除額が65万円となります。

55万円の控除を受けるための条件は以下の通りです。

⑴不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること⑵これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること⑶ ⑵の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること

引用:国税庁 No.2072 青色申告特別控除

フリーランスの所得は基本的に事業所得となるため、⑴については問題ありません。

そのため、複式簿記による記帳と貸借対照表および損益計算書の作成が実質的な青色申告特別控除の条件といえるでしょう。

以上の条件を満たした上で、電子帳簿保存もしくはe-Taxによる電子申告を行うことで控除額が65万円となります。

青色申告するために必要な手続き

確定申告を青色申告で行うために、まずは青色申告承認証明書を提出しましょう。

申請書は国税庁で直接受け取れるほか、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。

項目は納税地や氏名の記載など基本的なものしかないため、記入自体はそれほど難しいものではありません。

また、青色申告承認証明書と合わせて開業届も提出する必要があります。

ネットショップの運営など屋号が必要となる場合はもちろんのこと、Webライターやエンジニアなどであっても基本的に開業届は提出するべきであり、提出していないと青色申告の申請はできません。

開業届を提出することで社会的な信用を得やすくなり、助成金などの申請も可能となるため提出することのメリットは大きいです。

注意点として、これら2つの書類には提出期限があります。

まず青色申告承認証明書ですが、こちらは開業から2ヶ月以内が期限となっています。また、白色申告から青色申告に変更する場合は、青色申告にしたい年の3月15日までに提出すれば大丈夫です。

開業届は開業から1ヶ月以内の提出が理想です。ただし、開業届の提出は「失業期間の終了」と見なされるため、失業保険を受け取っている場合は提出するタイミングをよく検討したほうがよいでしょう。

フリーランスの青色申告手続き・必要書類の書き方は?

次に、青色申告の際に必要な手続き・書類の書き方について見ていきましょう。

今回紹介する手続き・必要書類の書き方は以下の3つです。

・複式簿記で帳簿付けをする

・所得税の青色申告決算書を作成する

・期限までに税務署に確定申告を提出する

それぞれ詳しく解説します。

複式簿記で帳簿付けをする

帳簿の付け方には単式簿記と複式簿記の2種類があり、白色申告なら単式簿記で問題ありません。

しかし、青色申告の場合は青色申告特別控除の条件に複式簿記での記載が含まれているため、複式簿記が一般的です。

絶対に複式簿記でなければいけないというわけではありませんが、単式簿記の場合は特別控除額が10万円と大きな差が生まれてしまいます。

そのため、青色申告で確定申告を行うなら複式簿記の書き方は把握しておかなくてはなりません。

複式簿記は、単式簿記よりもやや複雑な書き方となります。単式簿記は1つの取引を1つの勘定科目に絞って記録する方法です。一方、複式簿記は1つの取引を複数の勘定科目で記載することになります。

例えば光熱費1万円を12月20日に現金で支払った場合、単式簿記と複式簿記では以下のような記載となります。

単式簿記の場合

日付勘定科目支出
12月20日光熱費10,000

複式簿記の場合

日付借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
12月20日光熱費10,000現金10,000

以上のように、借方と貸方にわけて複数の勘定科目で記載する方法が複式簿記です。

単式簿記ではなく複式簿記を採用することにより、財政状態がどのように変化したのかを表すことができるようになります。

また、会計帳簿には「主要簿」と「補助簿」があり、複式簿記では主要簿に当たる「仕訳帳」と「総勘定元帳」の作成は必須です。

仕訳帳は日々の取引を日付ごとに記録した帳簿です。上記の例のような記載方法となります。

総勘定元帳は全ての取引を日付ごとではなく勘定科目ごとに記録した帳簿です。

補助簿には以下のような種類がありますが、どの補助簿が必要かは業種によって異なります。例えばエンジニアの場合、仕入れをすることはほぼないため、基本的に仕入帳は不要となるでしょう。

・現金出納帳

取引による現金の増減を記録した帳簿です。

・預金出納帳

預金の増減を記録した帳簿です。事業で使用している口座が複数ある場合は、全ての口座の取引を記録する必要があります。

・仕入帳

商品を仕入れた際の仕入れの詳細を記録した帳簿です。

・売上帳

売上が発生した際の売上の詳細を記録した帳簿です。

・売掛金元帳

売掛金や報酬が発生した際の詳細を記録した帳簿です。

これらの帳簿を全て手作業で作成しようとすると非常に大変なので、基本的には会計ソフトを活用することをおすすめします。

会計ソフトに取引を入力していくだけで、自動的にこれらの帳簿が作成されるため大変便利です。

所得税の青色申告決算書を作成する

青色申告で確定申告を行う際、確定申告書だけではなく「青色申告決算書」も提出しなくてはなりません。

青色申告決算書は、日々の帳簿を決算書の形式で記入したものです。4枚で構成されており、1~3枚目は損益計算書および損益の内訳、4枚目は貸借対照表となっています。

損益計算書は、1年間の収入と経費を記載したものです。1枚目には売上金額および仕入金額や経費の合計を、2枚目~3枚目には勘定科目の詳細な内容や経費の内訳を記載していきます。

貸借対照表は、勘定科目を「資産の部」と「負債の部」に分類したものです。

青色申告決算書も手作業での作成は非常に大変なため、基本的に会計ソフトを活用することになるでしょう。

期限までに税務署に確定申告を提出する

確定申告の提出期限は3月15日です。提出期限までに必ず確定申告を提出するようにしましょう。

確定申告の期限は納税の期限でもあるため、確定申告により決定される税金を期限までに支払わなかった場合は延滞税が課せられてしまいます。

期限内に確定申告を提出していたとしても、期限後に確定申告の修正を申告した場合は延滞税が課せられる可能性があるため注意が必要です。

修正によって納めるべき税金が増えた場合がこれに該当します。

延滞税の計算方法は以下の通りです。

納付すべき本税の額×延滞税の割合×期間(日数)÷365(日)=金額

引用:国税庁 延滞税の計算方法

延滞税の割合は、納期限までの期間及び納期限の翌日から2ヶ月以内の場合は7.3%もしくは「延滞税特例基準割合+ 1%」のいずれか低い割合が適用されます。

また、納期限日の翌日から2ヶ月を超えて納付した場合は14.6%もしくは「延滞税特例基準割合+ 7.3%」のいずれか低い割合が適用されます。

延滞税特例基準割合の具体的な定義は以下の通りです。

延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が酷似する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。

引用:国税庁 延滞税の計算方法

本税の額を計算する際、10,000円未満の端数は切り捨てられます。そのため、本税が10,000円未満であれば延滞税を課せられることはありません。

フリーランスの青色申告で経費にできる範囲は?

青色申告の場合、経費にできる範囲は白色申告よりも広くなります。

具体的にどのような費用が経費となるのか見ていきましょう。

青色申告でフリーランスが経費にできる勘定科目

基本的に、事業に関係している支出は全て経費扱いです。

具体的には以下のような経費を勘定科目として設定できます。

・通信費

インターネット料金や電話料金など

・荷造運賃

荷造りにかかった費用など

・水道光熱費

水道料金や電気料金など

・旅費交通費

タクシー代や宿泊費など

・接待交際費

接待した際の飲食代など

・広告宣伝費

パンフレットやチラシの制作費など

・地代家賃

業務に使用している不動産の家賃など

これらの勘定科目は白色申告でも経費にできますが、青色申告は家族への給与も経費とすることが可能です。

「青色事業専従者給与」と呼ばれる制度があり、届書を提出した上で一定の条件を満たすことで、青色事業専従者として認められます。

具体的な条件は以下の通りです。

・青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること・その年を通じて6ヶ月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること

引用:国税庁 No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

また、「貸倒引当金」も経費にすることができます。貸倒引当金とは、掛売の代金が回収できない可能性がある場合に、回収見込み額として計上するものです。

按分が必要な経費について

自宅を仕事場としている場合、家賃や通信費、水道光熱費などは生活上の支出と業務上の支出に分けることが難しくなります。

しかし、明確な基準によって区分できる場合は家賃や水道光熱費の一部を経費計上できるのです。これを「按分」や「家事按分」と呼びます。

按分自体は白色申告でも認められていますが、白色申告の場合、業務に関する割合が50%を超えていなければ按分することができません。

しかし、青色申告なら業務上必要であると合意的に認められれば割合に関わらず経費計上することが可能です。

業務に関する割合が50%を超えていなくても按分できるため、白色申告よりも経費にできる範囲は広いといえるでしょう。

フリーランス専門『Relance』はあなたの疑問や不安を解消します

まとめ

今回の記事では、フリーランスの青色申告について、白色申告との違いや必要な手続き、書類の書き方などを紹介しました。

青色申告は白色申告よりも帳簿の付け方や書類の作成がやや複雑です。しかし、その手間を補って余りあるほどのメリットがあります。

会計ソフトを活用すれば専門的な知識があまりなくとも青色申告書の作成は十分可能なため、今回紹介した内容を参考にしつつ、青色申告に挑戦してみてください。

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