フリーランスにはどんなスキルが必要？独立後に成功する人、失敗する人

近年、会社に属さず自分のライフスタイルに合わせて働く「フリーランス」が注目されています。フリーランスは年収が高く自由な働き方ができるというイメージがあり、将来的にフリーランスとして独立するのを目指す方も多いでしょう。

そこで、この記事では、フリーランスとしてどのようなスキルが必要なのか、独立後に成功するのはどのような人かをご紹介します。

この記事を読むことで、フリーランス独立を前に準備すべきことや身につけるべきスキルについての知識を得られ、独立してからもスムーズに仕事を始められるようになるでしょう。

フリーランスとは？

フリーランスとは、会社などの組織に属さず個人で仕事を受注し、自分の持っているスキルや能力を活かしてサービスや成果物の納品をおこなう人のことです。プログラミングをおこなうエンジニアやプログラマーはもちろん、ライターやカメラマン、デザイナーなど、幅広い職業のフリーランスが存在します。

フリーランスと会社員の大きな違いとして挙げられるのは、「収入」と「働き方」です。

フリーランスは、会社員のように会社から固定の給料が支払われるわけではありません。仕事の対価である売り上げが収入に直結するため、自身の頑張りによって上限なく収入をコントロールできるのは大きなメリットといえるでしょう。

また、会社員のように雇用契約に従う義務がないため、働く場所や時間、服装などに制約を受けることもなく、ライフスタイルに応じて自由にコントロールできるのも魅力です。

一方で、会社員の時には当然享受できていた社会的保障や信用、福利厚生などがフリーランスにはありません。仕事が原因で起こったトラブル、事故・病気の際の保険への加入や手続きなども、すべて自分でおこなう必要があります。

良くも悪くもすべてが自己責任であり、自分の裁量によってすべてを決められるし決めなければならないのが、フリーランスという働き方です。

フリーランスの将来性は？

政府では、未来に活躍できる人材育成の一環として、フリーランスや兼業・副業などの多様な働き方を推進しています。2021年には「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が策定されたほか、フリーランス関連の法整備が進み相談窓口が設置されるなど、フリーランスにとって働きやすい環境が整ってきました。

また、近年のIT需要の高まりを受け、とくにIT業界ではフリーランスの需要が高まっています。ITエンジニアに至っては人材不足が深刻な社会問題となっており、経済産業省の推計では「2030年時点で最高約80万人規模でIT人材不足が生じる」可能性も示唆されているほどです。

新型コロナウイルス感染症が拡大する禍中で進んだDX（デジタルトランスフォーメーション）を推進する人材とともに、IT人材は現状なお慢性的に不足しています。このような状況にあって、クライアントにあたる企業側は、即戦力となる実力を有したエンジニアを必要としているのです。

フリーランス需要が年々高まりを見せていることから、フリーランスという働き方の将来性は高いといえるでしょう。

参考：フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン｜厚生労働省
参考：ＩＴ人材育成の状況等について｜経済産業省

フリーランスに必要なスキル

フリーランスとして独立し働くためには、どのようなスキルが必要になるのでしょうか。

ここでは、とくに必要とされる5つのスキルについて詳しくご紹介します。

自己管理能力

まずフリーランスとして必要なスキルが、自己管理能力です。

仕事においては、自身に無理のないスケジュールを立てた上で案件を受注し、プロジェクトが完了するまでのタスク管理や進捗管理をおこないます。

クライアントはプロにお願いしたくフリーランスへ発注しているところが多く、もし自己都合によって納期が遅れるような事態が発生すれば、信頼を大きく損ないかねません。その後のクライアントとの関係性や案件獲得などにも関わってくるため、とくにスケジュール管理はフリーランスにとって死活問題ともいえるのです。

プライベート面でも、自由にできるからといってスケジュールを詰め込みすぎては体調を崩してしまい、納期やその後のスケジュールに支障をきたす可能性があります。そのため、体調面やスケジュール面でのセルフコントロールが不可欠です。

また、フリーランスとして単独作業が続いてしまうと、メンタルヘルスのバランスを崩すことがあります。ストレスを溜めすぎていないか、適度に休憩や休養を取っているかなど、メンタルヘルス不調を起こさないよう適度に自己診断チェックをおこなうことが大切です。

時間や場所に縛られない自由度の高さがフリーランスの魅力ですが、それは「好きなことを好きなようにやっていればいい」という単純な話ではありません。自由を手にするためには、仕事とプライベート、さらにメンタル面のすべてをしっかりマネジメントして、コントロールする必要があるのです。

コミュニケーション能力

フリーランスとして活躍するためには、高いコミュニケーション能力が必須です。エンジニア・非エンジニアに関わらず、どこの業界でも重視されるスキルといえるでしょう。

「フリーランス」と聞くと、1人で黙々と仕事を進める印象があるかもしれません。しかし実際には、クライアントとの日常的なコミュニケーションはもちろん、案件獲得のために営業しなければならなかったり、エージェントを利用する場合も担当者とのコミュニケーションが発生します。

エンジニアの場合、フリーランスといっても1人で開発に関わることはレアケースであり、多くはチームやプロジェクト単位で開発に携わります。そのため、チームとして円滑なコミュニケーションを取れなければ、適切に業務を遂行できないのです。

「フリーランスになりたいが、営業力に自信がない」という方は、Relanceへご相談ください。Relanceはあなたに代わってクライアントとの営業や交渉をおこない、高単価の案件を紹介することが可能です。また、案件の紹介だけでなくフリーランスの働き方もサポートしており、今後のキャリア形成などに関する相談なども受け付けています。

学び続ける姿勢

とくにIT業界の場合、トレンドの変化が激しいことから、最新の情報や技術を学び続ける姿勢を持つことが重要です。

情報が古いままアップデートできないフリーランスは、ライバルのフリーランスに仕事を奪われてしまうことになりかねません。顧客需要の高いスキルを持っていると案件が受注しやすくなり、フリーランスとしての案件単価が高くなる傾向があります。

たとえば話題のChatGPTをはじめとする生成AI関連、メタバース、NFTなどのブロックチェーン技術、X-Tech（クロステック）やローコード開発・ノーコード開発など、注目度の高い技術や情報は、IT関連だけでも時代によってさまざまです。トレンドのスパンも短いので、定期的に情報をアップデートしていかなければなりません。

フリーランスエンジニアは、このように生まれては消える技術を適切にキャッチアップし、取り入れることのできるスキルが必要になるのです。

変化に強い適応力

フリーランスには、変化に強い適応力も必要です。

フリーランスの仕事は、1つの案件が終了すると次の案件を受注し、また新しい環境で業務をスタートすることになります。案件によって働く場所や時間、業務内容、関わる人などが異なることから、変化の激しい働き方ともいえるでしょう。

変化に順応するのが苦手という人には、フリーランスは向かない面があります。

変化の激しい中でも安定して成果を上げられるような高い適応力のある人が、フリーランスとして長く活躍し続けられるのです。

税金や経理の知識

会社員の場合は税務処理などをすべて会社側がおこなってくれますが、フリーランスは自ら確定申告をおこなって納税する必要があるため、税金や経理の知識が必要です。

収入と経費を計算した上で、必要な書類を作成して申請し、納税までをすべて自らがおこなわなければなりません。手続き上にミスがあれば修正を求められたり、場合によってはペナルティを受けることもあります。

このような事務手続きに時間を取られてしまうと、本業に集中できなくなってしまいます。書籍やインターネットなどでの情報から、事前に確定申告や税金に関わる知識を身につけておきましょう。

フリーランスに専門スキルはどの程度必要？

フリーランスとして活動するために、専門スキルはどの程度必要なのでしょうか。

業界・業種によって異なるため一概にはいえませんが、業界や業務について未経験の状態では受けられる仕事の範囲が限定されるかもしれません。

たとえばエンジニアの場合、実務経験が最低でも1年程度、できれば3年程度あれば、幅広い案件を受注できる傾向にあります。実務経験は長ければ長いほど有利に働きます。

一方で、経験だけが長くても意味はなく、自身の持つスキルの中身も大切です。フリーランスエンジニアであれば、使用できるプログラミング言語を増やしたり、上流工程やマネジメント業務などを経験していくと有利に働くでしょう。

スキルや経験などが収入に直結するため、専門スキルはできるだけ高めておきましょう。

フリーランスエンジニアが身につけておきたい専門スキル

フリーランスの中でもエンジニア職の場合には、特に身につけておきたい専門スキルがあります。

ここでは、フリーランスエンジニアとして幅広い案件を受注できるようになるための専門スキルをご紹介しましょう。

プログラミングのスキル

フリーランスエンジニアとして案件を受注するためには、当然ながらプログラミングスキルが必要です。

1つの言語を深いレベルまで扱えればフリーランスとしての仕事に不自由しませんが、複数の言語を扱えたほうが受注できる案件の幅が広がります。需要の高い言語を優先的に学習していくことがおすすめです。

GoogleやYahoo、YoutubeやBauduなどの検索エンジンにおいてプログラミング言語の人気を計測している「TIOBE Programming Community index」の2023年7月の報告によると、上位10つのプログラミング言語は以下のようになっています。

このようなプログラミング言語の傾向をもとに、世の中で需要の高い言語はなにか、これから注目されるものはどんな言語かを判断して学ぶとよいでしょう。

出典：TIOBE Index for July 2023｜TIOBE

フレームワークを知っておく

多くの開発現場ではフレームワークが活用されているため、フレームワークに関する知識を持っていると案件獲得に有利な場合があります。

フレームワークとは、アプリケーション開発において利用頻度の高い機能などをまとめた枠組みのことを指します。

作業工程の多いシステム開発の現場では、プログラムをゼロから作っていては時間がいくらあっても足りません。さらに修正や仕様変更に対応する際にも非効率となってしまいます。そこで、フレームワークを活用して工数を大幅に削減し、開発を効率化しているのです。

代表的なフレームワークを挙げると、「Ruby on Rails」「Next.js」「React」「Spring Framework」「CakePHP」などがあります。

ソフトウェア開発に関わるスキル

エンジニアであれば、プログラミングスキルを磨くだけではなく、ソフトウェア開発に関する幅広いスキルも持っておきたいところです。

ソフトウェア開発に関わるスキルとは、たとえばプロジェクト管理、ソフトウェア設計、コードレビュー、テストとデバッグ、セキュリティの知識、バージョン管理などです。

いわゆる上流工程から下流工程まで、すべての工程をこなせるスキルがあると、開発現場において重宝されます。

上流工程の経験

フリーランスエンジニアとして上流工程の経験がなくても、これまでに培ってきた実務経験や専門知識、専門分野を活かしてプロジェクトへ貢献することは可能です。しかし、上流工程の経験があることで、より総合的なスキルセットを持ち、クライアントに対して一層高い価値を提供できます。

具体的には要件定義、プロジェクト管理、システム設計などがこれに該当します。クライアントやチームメンバーなど、幅広いコミュニケーションの中で内容やタスクを精査してマネジメントをおこない、プロジェクト全体を導くという重要な役割です。

このような上流工程の経験があると、案件の単価も高くなる傾向にあり、フリーランスエンジニアとしてより活躍しやすくなります。

継続的にスキルアップするには？

フリーランスエンジニアとして長く活躍し続けるためには、継続的にスキルアップしていくことが大切です。

ここでは、具体的なスキルアップの方法についてご紹介します。

セミナーや勉強会への参加

より高度で専門的なスキルを高めたいと考えるなら、セミナーや勉強会への参加が有効です。

一口にセミナーといってもさまざまな内容のものが開催されておりますが、著名人や専門スキルの高い人が講師を務めるものが多く、最先端のスキルや考え方を学べる絶好の機会といえます。セミナーや勉強会とセットで交流会や名刺交換の機会が設けられていることもあり、同業者や講師との人脈を作ることができれば思わぬところで仕事につながる可能性もあるでしょう。

セミナーや勉強会の開催情報はWeb検索などによって探すことができますが、エンジニアに特化したセミナーやイベント情報を発信しているサービスとして以下のようなものがあります。

書籍やWebサイトで勉強する

最も手軽なスキルアップの方法として、書籍やWebサイトを利用し独学で勉強することが挙げられます。

IT通信技術が進化する中、スマートフォンでWeb検索などをおこなうことによって、誰でも場所や時間を選ばず簡単に学べるようになりました。Web上の膨大な情報量の中から好きなものを選び、コストをかけることなく好きなだけ学べるのは魅力といえるでしょう。

一方で、Web情報の中には必ずしも正しくないものも含まれており、信頼性の高い教材を選ぶ力が求められます。

独学でスキルアップを進めるのであれば、Webと並行して書籍を活用するのもよいでしょう。書籍にはWebでは手に入りにくいような深い情報が掲載されているほか、出版までに内容を精査されるため、情報の信頼性が高いといった特徴もあります。

プログラミングスクールに入る

プログラミングやソフトウェア開発に関するスキルに自信がない、スキル不足を感じているのであれば、プログラミングスクールに入って学習するのも1つの方法です。

プログラミングスクールでは、教えることに特化した講師から必要なスキルを体系的に学べます。不明点などがあったときにはすぐに質問できるのも、嬉しいポイントです。学習を効率的に進めるためのカリキュラムが用意されており、独学で進めるより短期間で、かつ実践的なスキルが身につきます。

他方、プログラミングスクールへ通うためには多少なりともコストがかかるため、通うのをためらってしまう人もいるかもしれません。ただし、「働きながら学ぶ」ことは現実問題として自力ではなかなか難しいものです。スキルアップのために「時間をお金で買う」という発想を持つことも大切といえるでしょう。

プログラミングスクールに通うことで、受講生同士の横のつながりや講師との人脈が手に入る可能性もあります。

スキルアップにつながる案件を選ぶ

案件を通じてスキルアップする、といった方法もあります。

経験年数や安定的な案件の受注も大切ですが、同じような案件ばかりをこなしていてはフリーランスエンジニアとしてスキルアップできません。自身の成長のために新しい領域や分野に積極的にチャレンジし、得意分野を広げていくことが大切です。

座学だけでは実践的スキルは身につきませんが、実際の案件で自分の手を動かすことによって、新しいスキルが身につきます。さらには、自身に足りないスキルや知識を発見できるかもしれません。

フリーランスになって成功するのはどんな人？

フリーランスになって成功する人とは、どのような特徴を持っているのでしょうか。

これまでにご紹介したフリーランスとして必要なスキルを持っていることはもちろん、一般的には習得が難しいような専門スキルを高いレベルで持っていることが挙げられます。クライアント企業が社内ではできないことを実現できる高いスキルのある人は、フリーランスとして需要の高い人といえるのです。

また、専門スキルや需要の高い技術は時代とともに移り変わっていくものです。トレンドをしっかり追って業務に活かしていくために、情報の継続的インプットとアウトプットができる人は、フリーランスとして活躍しやすいでしょう。逆に、専門スキルを高めることや継続的に学ぶのが苦手な人には、フリーランスという働き方は向かないといえます。

変化の激しい中でも自分の考えと立場をしっかり把握し、スキルアップし続けられる人が、フリーランスとして成長し続けられるのです。

まとめ

フリーランスという働き方や将来性、必要なスキル、スキルアップの方法、どのような人が成功するかなどについて詳しくご紹介しました。

フリーランスは自由度の高い魅力的な働き方ですが、そのぶん責任が伴い、すべてのことを自分の裁量によって適切に進めていくバランス感覚が必要です。また、自らの市場価値を正確に把握し、その価値を高めていく努力が成長の鍵となります。

これからフリーランスとして独立を考えている人は、需要の高いスキルや知識を意欲的に身につけ、自らの市場価値を高めるところから始めましょう。独立後からスムーズに業務を開始し、継続して努力し続けることで、長く活躍できる人材へと成長できます。