フリーランスが法人化をするメリットやおすすめのタイミングを解説!
フリーランスとして働いている人の中には、法人化を視野に入れている人もいることでしょう。
しかし、法人化には費用や手続きが必要となるため、法人化が本当に手間に見合うほどのものなのか気になっている人もいるかもしれません。
今回の記事では、フリーランスの法人化について、法人化するメリット・デメリットや注意点について解説します。
目次
フリーランスが法人化する6つのメリット
フリーランスの法人化には以下の6つのメリットがあります。
- 個人事業主よりも活用できる経費の幅が広がる
- 役員報酬を損金計上することができる
- 消費税が2年間免除される可能性がある
- 社会的な信用を向上させることができる
- 決算日を自由に決めることができる
- 有限責任によりリスクが分散される
それぞれ詳しく解説します。
個人事業主よりも活用できる経費の幅が広がる
法人化すると個人事業主よりも活用できる経費の幅が広がるため、大きな節税効果が期待できます。
水道代や光熱費などは個人事業主でも経費として計上することはできたものの、家事按分となるため、実際に計上できるのは一部のみでした。しかし、法人化すれば事業による支出は全て経費として計上できるようになるのです。
役員報酬を損金計上することができる
個人事業主の場合は、役員に対する給料や退職金を経費として計上することはできませんでしたが、法人化すれば経費とすることができます。
また、個人事業主は自分への給料が課税対象となるため、収入が増えるごとに税金額も高くなってしまいますが、法人化すれば給与所得控除を適用できるようになるため、節税に役立つことでしょう。
消費税が2年間免除される可能性がある
課税売上高が1,000万円を超えた場合、個人事業主、法人問わず消費税を支払う必要があります。
しかし、法人の場合は法人化してから2年間は納税義務が免除される場合があるのです。
納税義務があるかどうかは、2年前の売上高を基準としていますが、個人事業主から法人になると法律上は別人だとみなされるため、法人として2年前の売上高は0円となります。
以上のことから、消費税が2年間免除されるのです。ただし、消費税の免除にはいくつかの条件があるため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
社会的な信用を向上させることができる
個人事業主と法人を比較すると、法人のほうが取引先などからの信頼を得やすくなります。社会的な信用が向上することで、個人事業主では審査に通りにくい融資などでも有利に働くこともあるでしょう。
今後事業を拡大していく予定があるのなら、法人化による信用の向上は大きなメリットとなるはずです。
決算日を自由に決めることができる
個人事業主の場合、決算日は12月です。法律で定められているため、変更することもできません。しかし、法人になると決算日を自由に決めることができるようになります。
ちなみに決算日を決める場合は、忙しい時期を避けるようにしましょう。決算にはどうしても事務作業が必要不可欠なため、忙しい時期を避けることで、余裕をもって事務作業に時間を割くことができるようになります。
有限責任によりリスクが分散される
法人化すると、仕事で発生した負債を有限責任にすることができるようになります。個人事業主の場合は、負債が発生すると返済義務が生じてしまいますが、法人は返済義務がないため、リスクが大幅に低下するのです。
しかし、必ず返済義務がなくなるわけではなく、自らを連帯保証人にして借入をした際は返済義務が発生するため注意しましょう。
フリーランスが法人化する4つのデメリット
フリーランスから法人になると多くのメリットがありますが、法人化はメリットだけでなくデメリットも存在します。
フリーランスが法人化するデメリットは以下の4つです。
- 法人を設立するにはコストがかかる
- 赤字でも税金を支払う必要がある
- 社会保険への加入が必須で負担が大きくなる
- 役員報酬は簡単に変更できない
それぞれ詳しく解説します。
法人を設立するにはコストがかかる
法人を設立するには法務局で申請する必要があります。申請には登記代や印紙代などで約24万円必要となるため、どうしてもコストがかかってしまいます。
また、書類の準備など手続きにも時間を要するため、コストだけでなく手間もかかることを頭に入れておきましょう。司法書士や行政書士に依頼すれば手間を軽減できますが、その場合はさらに費用が掛かります。
赤字でも税金を支払う必要がある
法人は法人税や法人事業税などの税金を支払う必要がありますが、一部の税金は赤字でも支払いが免除されません。
赤字でも支払う必要がある税金は以下の3つです。
- 消費税
- 法人住民税の均等割
- 一部法人の法人事業税
消費税は利益に関係なく支払う必要があり、法人住民税は所得ではなく会社の規模で納税額が決まるため、赤字でも支払わなくてはいけません。
また、一部法人とは資本金が1億円を超える法人を指し、この条件を満たしている法人は「資本割」と「付加価値割」が課せられています。資本割と付加価値割は所得に関係なく発生するため、赤字でも免除不可なのです。
社会保険への加入が必須で負担が大きくなる
法人化すると、全ての従業員の社会保険への加入が必須となります。社会保険への加入が安心感につながるのは間違いありませんが、その分負担が大きくなってしまうのは避けられないでしょう。
また、社会保険は支払い義務があるため、未加入が発覚した際は未払いとなっている分を過去にさかのぼって支払う必要があるため注意してください。
役員報酬は簡単に変更できない
フリーランスの場合は、基本的に完全出来高制のため仕事をこなせばこなすほど収入を増やすことができます。しかし、法人は役員報酬の額をあらかじめ決めておく必要があり、後から簡単に変更することができません。
会社の利益が上がったとしても役員報酬を変更するまでは収入が変わらないということを頭に入れておきましょう。
フリーランスが法人化をするベストなタイミングとは?
フリーランスが法人化をする際は特定のタイミングで行うのがベストです。課税所得や売上高が以下の基準を達成したら法人化を検討してみましょう。
- 課税所得が800万円を超えたとき
- 売上高が1,000万円を超えたとき
課税所得が800万円を超えたとき
個人事業主は累進課税制度が適用されるため、課税所得が高くなるほど税率も高くなっていきます。
具体的には、800万円で23%、900万円以上で33%、1,800万円以上で40%、4,000万円以上で45%です。
しかし、法人に課税される法人税は800万円を超えるかどうかが一つの基準となっており、800万円以下なら15%、800万円を超えると23%となります。
そのため、課税所得が800万円を超えると個人事業主より法人のほうが税率が低くなるのです。課税所得が高くなるほど税率の差は大きく響いてくるため、課税所得800万円を基準として法人化を検討することをおすすめします。
売上高が1,000万円を超えたとき
売上高が1,000万円を超えると、超えた年の2年後から納税義務が発生します。しかし、新しく設立した法人は、一定の条件を満たす場合に限り1年目および2年目の消費税が免除されます。
そのため、売上高が1,000万円を超えた年の2年後に法人化することで、消費税の納税をさらに2年間先送りにすることができるのです。
【注意】フリーランスは安易に法人化をすると後悔してしまう
フリーランスから法人化するのは相応のメリットがありますが、安易に法人化をすると後悔してしまう可能性があります。
法人化をすることで、どのような点を後悔することになるのでしょうか。
設立に時間とお金が予想以上にかかった
個人事業主が事業を開始する際に必要な手続きは開業届の提出ぐらいで、時間も資金もほとんど必要としません。
しかし、法人化には相応の資金力が必要となります。会社形態によって必要な額に差はありますが、基本的に定款に5万円、登記費用に25万円〜30万円ほど必要です。
書類も複数提出しなければならないため、手間もかかってしまうことでしょう。依頼ではなく自分で書類を作成したり、電子定款を取り入れることで必要な資金を多少抑えることはできますが、それでも多くのお金が必要となるのは間違いありません。
手続きがある程度進んでから資金不足で慌てることのないように、法人化する際にどの程度資金が必要となるのかをあらかじめシミュレーションしておくことをおすすめします。
予想以上に経費がかかってしまった
法人化すると、いくつかの税金の支払い義務が発生します。会社の規模が小さくても必ず支払わなくてはならず、規模が大きくなるごとに支払額は大きくなっていくため、予想以上の経費となってしまう可能性は少なくありません。
規模が大きくなると、税金だけでなく光熱費や役員報酬なども必要経費として無視できない額となっていくでしょう。また、法人は個人事業主よりも税務処理に正確さが求められるため、税理士や社労士との契約費も必要となります。
さらにこれだけではなく、社会保険料も負担となるでしょう。全ての従業員が加入しなくてはならないため、会社の経営状況次第では重い負担となる可能性があります。
税金や社会保険料など、法人化には多くの経費が必要となることを把握しておきましょう。
お金が自由に使えなくなる
個人事業主は自身の収入を自由に使うことができますが、法人化すると個人と法人で財産が区別されるようになります。そのため、会社の売り上げを自分のお金として自由に使うことはできません。
会社の売り上げは会社のお金となるため、法人が自分ひとりだけだとしても、勝手にお金を使うことは厳禁です。最悪の場合、横領扱いとなってしまう可能性があります。
ただし、役員報酬を調整したり、事前確定届出給与に関する届出書を提出することで、正当に会社のお金を使用することは可能です。しかし、役員報酬を高くすると法人税も高くなってしまうため、報酬額の調整は慎重に行うようにしましょう。
法人化してから個人事業主に戻ることはできるのか?
法人化したものの、資金繰りなどが上手くいかず経営困難に陥る可能性は十分考えられます。結論から言うと、法人化してから個人事業主に戻ること自体は可能です。しかし、その手順はやや複雑なものとなっています。
個人事業主に戻るためには、まず法人を解散しなくてはいけません。法人を解散する際は、解散日から2週間以内に解散の登記と清算人選出の登記を行いましょう。これらの手続きは法務局で行うことができます。
次に、税務署と市区町村に移動届出書を提出することで、解散の手続き自体は完了です。しかし、解散の決議から清算手続きまでは2ヶ月以上かかる上に、登録税が41,000円、官報の広告費用が3万円〜4万円必要となります。
また、会社に債権や債務がある場合はそのままでは解散することができません。資産売却や債権回収で資金を捻出できるのであればそれが一番ですが、完済が不可能な場合は特別清算や破産申し立てをする必要があります。
さらに、法人を解散すればすぐに個人事業主に戻れるわけではなく「個人成り」と呼ばれる手続きをしなくてはいけません。
業種などにより多少の違いはありますが、個人成りに必要な手続きは以下の通りです。
- 個人事業主の開業届出または廃業届出の手続き
- 所得税の青色申告承認申請の手続き
- 青色事業専従者給与に関する届出の手続き
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する手続き
- 給与支払事務所などの開設・支払・廃止の届出
多くの手続きを経る必要があるため、ミスの可能性をなくすためにも専門家のサポートを受けることをおすすめします。
フリーランスが法人化して損しないためには売上を上げていくべき
今回の記事では、フリーランスの法人化について、法人化するメリット・デメリットや注意点について解説しました。
法人化には多くのメリットがあり、特に企業からの信頼性が高まる点は非常に大きなメリットです。
信頼性がアップすることで、フリーランスの時よりも仕事も獲得しやすくなるでしょう。その際、エージェントを活用することで、高単価の案件をより獲得しやすくなります。
エージェントはさまざまな種類がありますが、高単価の案件を獲得するなら「Relance」がおすすめです。Relanceは高単価やエンド直結の案件が多く、長期契約中心なので非常に安定感があります。法人化して損をしないためにも、エージェントを活用して確実に売上を上げていきましょう。
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