フリーランスは事務所を借りたほうが良い?事務所を契約するメリット・デメリットや活用方法まで徹底解説!
組織や働く場所に縛られないフリーランスは、さまざまな場所を拠点にして働いています。
たとえば、事務所を借りて仕事をする人もいれば、自宅で仕事をするフリーランスもいます。フリーランスになるか検討している人の中には、仕事をする場所をどこにするか悩んでいる人もいるでしょう。
今回は、フリーランスの仕事場について悩んでいる、気になっている人に向けて、以下のことを解説していきます。
- フリーランスの仕事先は事務所か自宅
- 事務所にした際のメリット・デメリット
- フリーランスは賃貸契約ができないのか
- 賃貸審査に通らなくても事務所を活用できる方法
事務所選びに悩んでいるフリーランスは、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
フリーランスは事務所と自宅どちらで仕事をしているのか?
結論からいうと、フリーランスは自宅で仕事をしている人の方が多いです。
2018年に日本政策金融公庫が発表した「フリーランスの実態に関する調査」によると、60.1%が自宅の居室を活用しています。また、自宅に事務所や作業場等を併設しているフリーランスが17.1%であるため、8割近くのフリーランスは自宅で仕事をしていることが明らかとなっています。
自宅から独立した事務所または作業場で仕事をしているフリーランスは全体の5%と、かなり少ないことがわかります。補足すると、顧客から指示された場所で働いているフリーランスは24%ということでした。
ここ数年でシェアオフィスやレンタルオフィスなどの需要が伸びていますが、図書館やカフェなどの公共の場所を利用するフリーランスも少なくないようです。
ではなぜ、自宅を事務所にしないフリーランスがいるのでしょうか。
賃貸契約上自宅を事務所とできない可能性がある
賃貸契約上、事務所として利用できない場合があるために、自宅を事務所にできないケースがあります。
自宅を事務所として利用できない場所があるのには、2つの理由があります。
1つ目は、貸し手側の問題です。
事業用の物件となると、通常に貸し出すよりも家賃は高くできますが、固定資産税の減額が適用されないために、オーナーが了承しない場合があります。
2つ目は、近隣住民への問題です。
自宅は本来、事業用ではなく住むための部屋として想定されています。
そのため、住民以外の事業関係者の出入りが多いと他の住民へ迷惑がかかってしまう恐れがあります。また、機械を扱っている場合は、それらの音が響いてしまい、騒音となってしまうこともあるでしょう。
主に上記の理由によって、自宅で作業できるフリーランスでも、事務所を自宅に設定できないケースがあるのです。
フリーランスが事務所を契約する5つのメリット
フリーランスが事務所を契約すると、仕事専用スペースを確保しやすかったり、専用機材や道具を好きに置けるなどのメリットがありますが、他にもさまざまな良い点があります。
フリーランスが事務所を契約するメリットを以下の5つ、紹介します。
- 個人情報の流出を防ぐことができる
- オンとオフの切り替えをしやすくなる
- 仕事の関係者を呼びやすくなる
- 経費計上する際に迷わない
- クライアントから信頼を得やすい
それぞれを詳しく解説します。
個人情報の流出を防ぐことができる
フリーランスは会社と違い、自分の身は自分で守らなければなりません。
自宅を事務所にしてしまうと、名刺やサイトに掲載する住所が個人情報となってしまい、クレーマーが家に突撃してきたり、ストーカー被害に遭ったりなどのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
また、どうしても書類のやり取りを紙でおこわなければならない際、クライアントに住所を教えてしまう不安を抱えることになります。
しかしながら、事務所を契約してしまえば、個人情報の心配は解消されるので、安心して作業に集中することができます。
オンとオフの切り替えをしやすくなる
フリーランスが事務所を契約すると、仕事とプライベートの区切りをつけられるので、オン・オフを切り替えやすく、メリハリのある生活を送れます。
自宅が事務所兼作業場となってしまうと、働き過ぎてしまう、あるいは始業・終業の境が曖昧になりダラダラと過ごしてしまうという悩みも多くあります。
事務所を別で契約してしまえば、場所も時間も明確に決められ、作業効率が上がったり、生活リズムを整えやすくなったりして、うまくオンとオフを切り替えられるようになるでしょう。
仕事の関係者を呼びやすくなる
事務所を用意すると、仕事の関係者を気軽に招きやすくなり、一緒に作業をしたり、クライアントと会議を開くことも容易になります。
自宅で仕事をしていると、住民ではない人を頻繁に呼ぶのに気が引けたり、自宅のプライベートな空間をじっくり見られるのに抵抗感を抱いたりする人もいるでしょう。
家族がいる場合は、関係者との作業が捗らないことも考えられます。
また、自宅だと抵抗があるために、わざわざカフェや、ドロップインできるコワーキングスペースを利用すると、余計な経費がかさんでしまいます。
その点、事務所を契約すると、仕事の関係者を呼びやすくなり、自宅に招く際のデメリットをほぼ全て解消できるので、良い点ばかりです。
経費計上する際に迷わない
フリーランスが事務所を契約すると、経費計上する際に迷うことがなくなります。
事務所を経費計上する際の計算が簡単になるので、会計業務が楽になるのです。
自宅を事務所とした場合、経費計上はできますが、全額経費にすることはできません。
家賃のうち、事業にかかった分を割り出す「家事按分(かじあんぶん)」というものをおこなう必要があります。
部屋をどの程度仕事に使用しているのか、仕事をしている時間は月にどの程度なのかを換算し、家賃の何%を事業に使用しているのかを算出しなければなりません。
その点、事務所を別で契約すると、かかった賃貸料金が全額経費になるので、経費計上の面倒な事務処理を軽減できます。
クライアントから信頼を得やすい
クライアントがフリーランスを信頼するための重要なポイントは、事務所の有無です。
事務所を保有しておくと、クライアントは自分に対して安心して取引できる人であると認識し、ビジネスに熱意を持って取り組んでいるという好印象を持ちやすくなります。
フリーランスは、どのような業種でも、会社員や法人よりも社会的信用を得られにくいです。
そのため、自宅住所だと金融機関の審査に通りにくかったり、クライアントが住所検索をした際に自宅だったというだけで取引対象から外されてしまったりなどのデメリットがあります。
事務所を契約していると、来客にもそつなく対応できるので、クライアントだけでなくお客様、金融機関に対してもメリットが生じるのです。
あなただけのフリーランス専門エージェント『Relance』
フリーランスが事務所を契約する3つのデメリット
フリーランスが事務所を契約したら得られるメリットを理解したら、デメリットも把握しておきましょう。
どちらも把握しておくと、事務所を借りるか自宅で仕事するかを決める際の判断材料として有効です。
デメリットは以下の3点を解説します。
- コストがかかる
- 家庭との両立を図りにくくなる
- 事務所にいく手間がかかる
それぞれを詳しく解説します。
コストがかかる
当然ですが、事務所を借りるとコストがかかります。
主な費用としては、初期費用・ランニングコスト、場合によっては備品などを揃える必要があります。
初期費用には「敷金・礼金・仲介手数料・内装工事・電気工事・ネット回線・引越し費用」などが必要です。
ランニングコストには「賃貸料・光熱費・管理費」がかかり、その事務所に通うための通勤コストもかかります。
来客用の空間を作ったり備品を用意したり、事務所用にパソコンやプリンターが必要になればまた別で費用がかさんでいきます。
このように、自宅とは別に事務所を契約すると、多額のコストが発生しまいます。
フリーランスとして独立したばかりの人や、安定した収入がない人などは、契約するまでのハードルがかなり高くなってしまうでしょう。
家庭との両立を図りにくくなる
一概に全てのフリーランスに当てはまるとは言えませんが、家庭との両立が難しくなってしまうケースもあります。
家庭を持っている場合は、子どものお世話などで、事務所に出勤できない時もあるでしょう。
また、介護を担っている場合も同様で、何かトラブルがあった際にはすぐに駆けつける必要があります。
しかし、自宅を事務所にすると、子どもの近くで仕事ができたり、家事の合間に仕事をしたりできます。
そして保育園の費用などもかからないので経済的です。
できるだけ家庭との両立を図りたい場合は、自宅を事務所にすると良いでしょう。
事務所にいく手間がかかる
当然、自宅と事務所を別にするので、事務所にいくまでの時間・費用がかかります。
案件の納期が近いのに作業が終わっていないなどの場合に、事務所まで行かないと作業ができないのは大きなデメリットでしょう。
また、車や公共機関を使用しなければ行けないようなところの事務所を借りてしまうと、交通費がかかり満員電車などのストレスも生じます。
さらに、天気が悪くても休みにしない限り事務所にいく必要があります。
自宅であれば交通費や天候、事務所にいくまでのタイムロスや労力を気にしなくてすむので、自宅でもオンとオフの切り替えができたり、住所を公開する不安がない場合は、自宅を事務所にすると良いでしょう。
フリーランスは事務所を賃貸契約する際に審査に通らない可能性がある
事務所を契約しようと思っても、フリーランスは事務所を賃貸契約する際に、審査に通らない可能性があるので注意が必要です。
審査に通らない可能性がある理由として、次の2点があげられます。
- 社会的信用が低い
- 収入が不安定になる
フリーランスは、どうしても社会的地位や収入が安定していないために、審査に影響してしまう可能性があるのです。
それぞれの理由を詳しく解説します。
社会的信用が低い
副業解禁や働き方改革などの影響でフリーランスの数も増え、認知度も上がってきましたが、いまだにフリーランスの社会的信用は低いです。
特にフリーランスになりたての場合、案件や実績が少ないと収入が低くなり、家賃を滞納してしまうこともあるでしょう。支払い能力という観点で、安定した収入がある会社員と比較すると、信頼性に欠けると見なされてしまいます。
収入が不安定になる
フリーランスは、自分で案件を獲得しなければならないので、収入が会社員と比べると不安定になります。
場合によっては全く収入が得られない月もあるでしょう。仮にビジネスが軌道に乗っていても、予期せぬ事態で収入が大きく落ち込んでしまうこともあります。
そのため、オーナーからすると、いつ家賃を滞納されるか分からない不安もあるので、審査を通過できないことがあるのです。
ただし、2年目以降のフリーランスに該当しますが、収入証明書を持っている場合はあらかじめ用意しておくと、審査通過に役立つでしょう。収入証明書は、前年度の収入の証明になり、家賃を支払えるかどうかの明確な判断材料です。
オーナーを説得して入居するためにも、収入を証明できるものを必ず用意しておきましょう。
賃貸審査が通らないフリーランスが事務所を活用する方法
収入証明書の提出をしても、説得しても審査に通過できなかった場合、どこで仕事をするか途方に暮れるフリーランスもいるでしょう。
そのような場合でも、事務所を活用する方法が次の3つですので、ぜひ参考にしてください。
- レンタルオフィス
- バーチャルオフィス
- コワーキングスペース
住所と仕事場どちらも確保するならレンタルオフィス
ビジネス用住所・仕事場の、どちらも確保したいのであれば、レンタルオフィスを活用しましょう。
レンタルオフィスは、最初からビジネスに必要な設備が揃っていることが多く、場所によっては事務作業を代行してくれるサービスを提供しているところもあります。
ただし、実際にオフィスを構えるよりも、かかるコストは少ないですが、それなりの金額がかかることを念頭に置いておきましょう。
また、自分が用意した事務所ではなく、その事務所を運営する会社が別にあるために、利用できる時間が限られているケースがあります。
朝早くや、夜遅い時間まで作業したくても、利用できない可能性があるので注意しましょう。
住所だけを確保したいならバーチャルオフィス
仕事場は家で十分だが、住所だけはビジネス用を確保したいという人には、バーチャルオフィスをおすすめします。
バーチャルオフィスは、実際にオフィスを持つ必要はないが、個人情報や初期費用を抑えて住所をレンタルできるというサービスです。
郵便物の受け渡しをしてくれたり、自宅まで転送してくれたりするところもあります。
また、別料金を支払うと、電話秘書を雇えるところもあるので、顧客やクライアントからの電話が多い人にもおすすめです。
仕事場だけを確保するならコワーキングスペース
住所は自宅で良いが、集中して仕事したいから仕事場を確保したいという人にはコワーキングスペースがおすすめです。
低コストで数時間だけ利用でき、内装も清潔感があるので、集中して仕事ができます。
また、複数の人と同じ空間をシェアしながら作業するので、他人の目にさらされて作業がはかどるでしょう。
気分転換で自宅以外で作業したい人、出先でも作業したい人におすすめです。
なお、フリーランスエージェントなら、コワーキングスペースの利用を割引してくれたりするサービスがあるので、気になる方はぜひ調べてみてください。
関連記事