生成AI時代を勝ち抜くフリーランスエンジニアの必須スキルセット
2025年5月14日
はじめに
はじめまして。フリーランス IT エンジニアの竹島裕作です。私は、29歳の時にWebエンジニアにキャリアチェンジし、SESとSaaS企業を経て32歳でフリーランスに転身しました。今回はAI時代を勝ち抜くフリーランスエンジニアのスキルセットについてお伝えいたします。

執筆者:フリーランスエンジニア 竹島裕作
29歳の時にWebエンジニアにキャリアチェンジ。
SESとSaaS企業を経て32歳でフリーランスに転身。
2023年以降、ChatGPTをはじめとする生成AIの爆発的な普及により、ソフトウェア開発の現場は大きく変わりつつあります。コードを書く作業が自動化されていく中、「フリーランスエンジニアの存在価値はなくなるのではないか」という不安の声も聞かれるようになりました。
この技術革新の波に乗れるかどうかは、今後のキャリアを大きく左右するでしょう。世界のIT市場では、すでに生成AIを使いこなせるエンジニアとそうでないエンジニアの間で格差が生まれ始めています。あなたはAIを使って仕事をしていますか…??
ただ、この変化はまだ始まったばかりです。今このタイミングで適切なスキルを身につければ、生存競争を生き抜くだけでなく、一歩先を行くことも可能です。本記事では、急速に変化する市場でフリーランスエンジニアが活躍し続けるために必要不可欠なスキルセットについて探ります。
生成AI革命がもたらした3つの現実

AIがコードを書く
生成AIの登場により、コードを書く作業の多くが自動化されつつあります。私自身、コーディングではChatGPT、GitHub Copilot、Devinなどを使っていますが、彼らの仕事ぶりには本当に脱帽します。現時点でコーディングの半分以上はAIに任せていると思いますし、今後も更に活用していくでしょう。
AIが既存コードを解説する
私は以前、既存システムのリプレース案件に参画していました。そこで既存コードを読むことにかなりの工数をかけた記憶があります。皆さんも複雑なレガシーコードを理解するのに多大な時間を費やしてきたことでしょう。しかし今や、生成AIに既存コードの解説や文書化を依頼することができます。AIにより相当な工数の削減ができるでしょう。
AIがコードを提案してくれる
開発者が実装している途中で次に続くコードを自動的に提案する機能が実用化されています。また補完するような機能だけでなく、ユーザーのコメントに対して、その内容に沿ったコードを生成することもできます。すでに自分自身で考えてコードを書く必要はなくなっているのです。
生成AIに仕事を奪われないために
先述した現実を前にして、多くのフリーランスエンジニアは不安を感じています。しかし、AIが私たちの仕事を完全に奪うという見方は、必ずしも正確ではありません。
AIによるコーディングや説明は常に正確とは限りません。ハルシネーションという言葉があることからも、AIが意図せず嘘をついてしまうことは往々にしてあります。AIが生成するコードの品質や保守性、セキュリティーの脆弱性を担保する人間が必要です。
AIツールはあくまで「ツール」であり、それを効果的に活用するエンジニアの存在価値はむしろ高まっているのです。ここでは、生成AI時代に生き残り、さらに活躍するための3つの方法を紹介します。

AIツールへの積極的な投資
AIツールはあくまで「ツール」と述べましたが、AIと共創するソフトウェア開発の時代はいつか必ずやってきます。もはやAIツールの活用は選択肢ではなく、システム開発の現場における標準的なプラクティスになっているのです。この変化に適応できないエンジニアは次第に市場価値を失っていくでしょう。
このような状況下では、今すぐにでも生成AIツールのキャッチアップを始めることが不可欠です。GitHub CopilotやChatGPTなどのAIツールは日々進化しており、これらのツールに関する知識やスキルが古くなるスピードも加速しています。継続的な学習と実践を通じて、最新のAI活用テクニックを常に把握しておくことは非常に重要です。
またAIツールの活用スキルを磨くことで、生成AIを組み込んだアプリケーション開発という新たな市場への参入機会も期待できます。このようなことができるエンジニアは希少価値が高いです。現時点でも月100万円以上の案件をよく見かけます。今から生成AIの知見を深めておくことで、将来的には単なるAIツールのユーザーではなく、AIソリューションの提供者としての道も開けるでしょう。
コードに責任を持つ姿勢を貫く
AIがコードを生成できる時代においても、そのコードに責任を持つのは、しばらくは人間だと思っています。従って、コードの妥当性や安全性を評価する能力は人間にとっての価値としてしばらくは残るでしょう。
AIは膨大なコードサンプルから学習していますが、そのプロダクトの特定のビジネスドメインの微妙なニュアンスやルールを完全に理解しているわけではありません。そのため、生成されたコードが隅々まで正しいビジネスロジックを反映しているかを評価し、必要に応じて修正を加える能力は、フリーランスエンジニアにとって重要な差別化要因となります。
さらに、保守性に優れたコードかどうかを判断する能力も不可欠です。AIが生成するコードは機能的には動作しても、長期的な保守性や拡張性を考慮していない場合があります。ドメイン駆動設計(DDD)やクリーンアーキテクチャといった設計概念を理解し、それらの原則に基づいてコードを評価できる人材は高い価値を持ちます。
フリーランスエンジニアは多くの場合、そのプロダクトに責任をもたないでしょう。だからこそ、「コードに責任を持つ姿勢を貫く」と書きましたが、実際に責任を持つ側の立場になれば、どのようなエンジニアに依頼したいかは自明でしょう。
チームコラボレーションとコミュニケーション能力の強化
AIが多くの技術的タスクを代行できる時代では、人間特有の能力であるコミュニケーションやコラボレーションのスキルがますます重要になります。AIと共創する時代におけるエンジニアは、多くの人と協力しながら開発を進めていくため、自分の考えや状況を他の人が理解しやすいように説明したり、他の人の意見を上手にヒアリングしたりするスキルが求められます。
クライアントのニーズを正確に理解し、技術的な内容を非技術者にもわかりやすく説明できる能力も不可欠です。これは、単なる会話のスキルではなく、複雑な概念を簡潔に伝える能力や、クライアントが明確に表現できていない要件を引き出す能力も含みます。 エンジニアの仕事が「不要」になるというよりは、「より付加価値の高い部分に集中できる」ように変化していると考えられます。手間のかかる初期実装や細かなドキュメンテーションをAIに任せつつ、本質的なロジックや製品価値の検証、ユーザー体験の最適化などに注力することがAI時代の新しいエンジニアの姿だと思います。
開発で使えるおすすめ生成AI
生成AIの進化とともに、エンジニアの強力な味方となるAIツールが次々と登場しています。ここでは、私が日々使用している生成AIツールを紹介します。
ChatGPT:汎用性の高い生成AI
ChatGPTは、開発者にとって最も身近で使いやすい生成AIの代表格です。コード生成、デバッグ、アルゴリズムの説明など幅広いタスクに対応し、プライベートでも気軽に使えるのが大きな魅力です。プログラミング言語を問わず活用でき、APIドキュメントの解説やプロジェクト設計の相談まで、多岐にわたるサポートを提供します。 無料でも十分に活用できますが、Plusプランに加入すれば、より複雑なコーディングタスクや大規模なプログラムの生成も可能になります。初めて生成AIを開発に取り入れるなら、まずはChatGPTから始めるのがおすすめです。
Claude:文章処理と文脈理解に優れたAI
Claudeは、特にテキスト処理能力と長い文脈の理解に優れた生成AIです。コードの説明やドキュメント作成、仕様書の理解といった文章処理が必要なタスクで真価を発揮します。最近追加されたMCP(Model Context Protocol)機能は、ローカルファイルやデータベース、GitHubなどの外部サービスと連携できる革新的な機能です。これにより、単なる会話だけでなく、実際の開発環境と連動した作業が可能になり、コードの管理や修正、データ分析などをAIと直接連携して行えます。将来的には開発ワークフローを大きく変える可能性を秘めています。
GitHub Copilot:コーディング特化の強力な補助ツール
GitHub Copilotは、コーディングに特化した生成AIツールとして、実際のコード作成プロセスを強力に支援します。主要なIDEと連携し、リアルタイムでコードの提案を行ってくれます。特にコメントに基づいた関数や処理の自動生成、繰り返しパターンの検出や補完、テストのコーディングが得意です。
最近では無料プランも導入され、基本的なコード補完機能を試すことができるようになりました。有料プランでは、より高度なAIモデルへのアクセスや、コードレビュー、テストコード生成などの機能が利用可能です。開発現場での実践的なコーディングを支援する最も成熟したツールの一つと言えるでしょう。
Cursor:VS Codeをベースにした高機能AIエディタ
CursorはVS Codeをフォークして開発された、AIを中核に据えたコードエディタです。現時点ではGitHub Copilotとほぼ同じような機能を提供しています。
Devin:全自動コーディングの未来を示すAIエンジニア
Devinは、「自律型AIソフトウェアエンジニア」として注目を集める革新的なツールです。他のAIツールと大きく異なる点は、人間からの指示に基づいて、計画立案からコーディング、テスト、デバッグまでの一連の開発プロセスを自律的に実行できることです。単なる補助ツールではなく、AIが「エンジニアとして働く」という新しいパラダイムを提示しています。
当初は月額500ドルからしか使えませんでしたが、最近では月額20ドルから使用できるようになりました。開発体験を根本から変える可能性を秘めていますので是非一度使ってみてください。
これらのAIツールは、それぞれに特徴と強みがありますし、日々提供する機能が変化しています。目的や予算、開発スタイルに合わせて最適なツールを選択し、積極的に活用していくことが、生成AI時代のエンジニアには求められています。
まとめ AIと共に成長する未来へ
生成AIの進化は、フリーランスエンジニアの仕事を奪うのではなく、むしろ新たな可能性を広げているのです。AIツールを自分のパートナーとして上手に活用し、人間ならではの価値を高めることで、技術革新の波に乗ることができるでしょう。
AIツールの使い方を学び、コードの品質と安全性に責任を持ち、コミュニケーション能力を磨くことで、将来的にも高い市場価値を維持できるエンジニアになることができます。
変化を恐れるのではなく、変化を味方につけて成長していきましょう!!!
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