フルスタックエンジニアになるため・なったあとのロードマップ|必要なスキルや活躍できる場所も解説
2024年6月5日
「フルスタックエンジニアを目指すためのキャリアパスがイメージできない」「フルスタックエンジニアになるために、どのようなスキルを身につけていけばよいのかわからない」といった悩みを抱えるエンジニアも少なくないでしょう。
フルスタックエンジニアとは、その名のとおり、開発業務を広く担うエンジニアです。そのため、身につける知識やスキルは広範にわたります。
事前にフルスタックエンジニアへのロードマップを理解し、求められるスキルや姿勢を知ることで、理想通りのキャリアを築きやすくなるでしょう。
本記事では、未経験者から上級者までのロードマップや、フルスタックエンジニアとして活躍するために必要な知識・スキル、将来のキャリアパスについても詳しく解説します。フルスタックエンジニアを目指す方や、フルスタックエンジニアとしてキャリアアップしていきたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
フルスタックエンジニアになるためのロードマップ【未経験者~初心者】
未経験者・初心者のエンジニアがフルスタックエンジニアを目指すには、以下の順序で歩んでいきましょう。
- フロントエンドかバックエンドになるのかを決める
- 職種に合ったプログラミング言語・フレームワークを学習する
まずは上記のポイントをこなすことで、フルスタックエンジニアとしての土台を築けます。
フロントエンドかバックエンドになるのかを決める
未経験者・初心者の段階では、まずフロントエンドとバックエンドのどちらのエンジニアを目指すのかを明確にすることが重要といえます。
なぜならWeb制作側のフロントエンドエンジニアと、Web開発側のバックエンドエンジニアとでは、必要とされる言語やフレームワークが大きく異なるためです。
フロントエンドエンジニアは、主にユーザーが直接触れる部分を設計・開発します。HTMLやCSS、JavaScriptを用いて、Webサイトの見た目や動きをつくり出すことが主な役割です。
一方のバックエンドエンジニアは、サーバーサイドやデータベースの設計・開発を担当し、PHPやRubyなどの言語を使って、システム構築などをおこないます。つまり、フロントエンドは「ユーザーから見える部分」、バックエンドは「見えない部分」を開発するという違いがあるのです。
自分の適性や興味関心に合わせて方向性を定め、それぞれのエンジニアとしてのキャリアを築くために必要な知識や経験を見極めましょう。そうすることで、効率的にスキルアップを図れます。
職種に合ったプログラミング言語・フレームワークを学習する
フロントエンドかバックエンドかといった目指すエンジニアの方向性が決まったら、それぞれの職種に必要とされる言語やフレームワークの学習を進めていきます。フロントエンドエンジニアであれば、JavaScript、CSS、HTML、Typescriptといった言語や、JQuery、Vue.js、React.jsなどのフレームワークの学習が必要です。
一方、バックエンドエンジニアの場合は、PHP、Ruby、Python、C言語などの言語や、Django、Ruby on Railsといったフレームワークの知識が求められます。
これらを体系的に学習し、実践的なスキルを身につけていきましょう。
エンジニアタイプ | 主な使用言語 | 主なフレームワーク |
フロントエンド | JavaScript、CSS、HTML、TypeScript | jQuery、Vue.js、React.js |
バックエンド | PHP、Ruby、Python、C言語 | Django、Ruby on Rails |
学習するうえで、上記の言語やフレームワークに関わる基礎的な資格を取っておくこともおすすめです。
フルスタックエンジニアになるためのロードマップ【初級者】
初級者のエンジニアがフルスタックエンジニアを目指すには、以下の順序で歩んでいきましょう。
- 下流工程で経験を積む
- プログラミング以外の知識も学習する
- ゼロからWeb開発をする経験を積む
各ステップの詳細を解説します。
下流工程で経験を積む
初級者の段階では、まずは与えられた仕様書に従ってプログラミングをおこなう下流工程から、地道に経験を積んでいくことが大切です。
テストや開発の実践を通して、プログラミングの品質を高めるための知識を学びつつ、フレームワークなどを活用した開発手法も身につけていきましょう。そうした経験を通してエンジニアとしての専門性を磨いていくことで、徐々に上流工程へとステップアップしていけます。
プログラミング以外の知識も学習する
フルスタックエンジニアとして活躍するためには、プログラミングの技術だけでなく、データベースやクラウド、サーバーの設計・設定といった知識も求められます。加えて、チームでの開発プロセスを円滑に進めるためのマネジメント力や、コミュニケーション能力なども重要な要素です。
さまざまな知識や経験を、実際の開発現場で積極的に学んでいくことが、フルスタックエンジニアとして独り立ちするための近道といえるでしょう。
ゼロからWeb開発をする経験を積む
初心者がフルスタックエンジニアを目指すうえでは、ゼロからWeb開発をおこなう経験も非常に重要です。
規模の大小にかかわらず、要件定義から運用までを一貫しておこなうことで、開発の全体像を把握できるようになります。また、各工程でどのようなスキルが必要とされているのかを実感を持って理解できるでしょう。それによって、自身がどのような方向性で学習をして、経験を積んでいけばよいのかが明確化されます。
ゼロからWeb開発をする経験は、今後より複雑な開発プロジェクトに携わる際に大いに役立ちます。
フルスタックエンジニアになるためのロードマップ【中級~上級者】
中級者から上級者のエンジニアが、フルスタックエンジニアとしてのロードマップを歩む際には、以下の順序で歩んでいくのがおすすめです。
- 上流工程の経験やスキルを磨く
- 特定の分野で専門性を磨く
- 必要な知識を絶えず学習をし続ける
この段階では、上流工程への参画が肝です。要件定義や設計といった、プロジェクトの方向性を決定づける上流工程に関与することで、クライアントのニーズを的確に捉え、最適な提案をする力を養えます。それぞれどのようなスキルが必要で、どういったメリットが得られるのかを見ていきましょう。
上流工程の経験やスキルを磨く
中級者から上級者のフルスタックエンジニアを目指す際には、下流工程で培った知識や経験を活かしつつ、より上流工程に携わり、経験やスキルを磨くことが求められます。
要件定義や設計に携わることで、クライアントのニーズを深く理解し、それを実現するために最適な提案をおこなえる力を身につけられます。
下流工程で蓄えた知識や経験を活かしつつ、開発チームをリードする立場として、プロジェクト全体を俯瞰する視点を持つことが重要です。こうした経験を積むことで、フルスタックエンジニアとしての価値をさらに高めていけるでしょう。
特定の分野で専門性を磨く
オールラウンダーなフルスタックエンジニアとして活躍するためには、幅広い知識と経験を持つことが重要ですが、その一方で、特定の分野における専門性を磨くことも重要です。いわゆる「フルスタックエンジニアは器用貧乏」などと評される状況を避けるためには、需要の高い分野における深い知識と技術を身につけていきましょう。
とくに、以下の分野に秀でたフルスタックエンジニアは、高い需要があります。
- AIやIoTといった先端技術
- AWSに代表されるクラウド技術
- Dockerなどの仮想化技術
これらの分野は、現在のIT業界で注目を集めており、高い専門性を持つエンジニアが求められています。また、専門性を証明する方法として、システムアーキテクトやデータベーススペシャリストといった上級資格の取得も有効です。
必要な知識を絶えず学習し続ける
フルスタックエンジニアとして活動していくうえでは、常に新しい知識を吸収し、不足しているスキルや経験を補っていく姿勢も欠かせません。
Web開発に精通しているのであれば、インフラ関連の知識も身につける必要があります。また、プログラミングにのみ専念しているのであれば、マネジメントなどの分野にも挑戦していくことが求められるでしょう。
いずれにせよ、自分に何が足りないのかを俯瞰的に捉え、足りない点を伸ばしていくことが大切です。継続的な学習を通じてスキルアップを図っていくことで、フルスタックエンジニアとして着実に成長していけます。
フルスタックエンジニアとして活躍するために必要なスキル
フルスタックエンジニアとして活躍するためには幅広いスキルが求められますが、その中でもとくに以下のスキルが重要となるでしょう。
- インフラに関する知識
- マネジメントスキル
- 高い開発スキル
クラウドやサーバーに関する知識、マネジメント能力などのスキルも身につけることで、フルスタックエンジニアとしての需要が高まります。それぞれの詳細について、詳しく見ていきましょう。
インフラに関する知識
フルスタックエンジニアには、クラウドやサーバーに対する深い理解も求められます。
とくに近年では、AWSをはじめとするクラウドサービスの普及が著しく、これらの知識を持つエンジニアは非常に需要の高い存在となっています。
また、巧妙化するサイバーセキュリティへの懸念が高まる中、セキュリティに関する知識も欠かせません。開発したサービスを便利かつ安全に運用できるよう、インフラのセキュリティ面に関しても一貫して対応できる能力が求められます。
マネジメントスキル
フルスタックエンジニアは、高い技術力を持つだけでなく、上位のエンジニアとしてプロジェクト管理を任されるケースも少なくありません。リーダーとしてプロジェクトを円滑に推進し、開発を進めていくためには、マネジメントの知見も重要です。
技術的な側面だけでなく、チームメンバーとのコミュニケーションやスケジュール管理・タスク管理、リソース配分といった部分についても、スキルアップを図ることが大切です。
高い開発スキル
フルスタックエンジニアには、要件定義からテストまでを一貫して担うスキルも当然必要です。単にコーディングができるだけでなく、文書作成やテストツールの利用など、開発プロセス全体に関わるスキルも身につけなければ、フルスタックエンジニアとはいえません。
また、IT業界は、日進月歩で変化スピードが非常に速い業界といえます。新しい技術やフレームワークに対して常にアンテナを張り、自らのスキル・知識をアップデートし続ける姿勢も重要です。継続的な学習・経験を通じて高い開発スキルを習得し、フルスタックエンジニアになるために必要な知見を身につけていきましょう。
フルスタックエンジニアが活躍しやすい場所
フルスタックエンジニアは、幅広い技術を持ち、開発プロセス全体を一貫して担えるため、さまざまな場面で活躍が期待されます。とくに以下の場所では、なくてはならない存在として活躍していけるはずです。
- ベンチャー企業
- IT化を推進したい企業
- Web系企業
人的リソースが限られるベンチャー企業や、IT化を推進したい中小企業、アジャイル開発をおこなうWeb系企業などでは、フルスタックエンジニアの需要が高まっています。
それぞれの詳細について見ていきましょう。
ベンチャー企業
スタートアップ企業では、限られた人材で効率的に開発を進める必要があるため、オールラウンダーとして活躍できるフルスタックエンジニアの需要が高まっています。
創業して間もないベンチャー企業で貢献できれば、企業の成長に伴ってマネージャークラスのポジションに就くチャンスにも期待できるでしょう。また、多様な業務に携われることで、自身のスキルアップにも大いに役立ちます。
IT化を推進したい企業
業務効率の向上を目指し、社内のIT化を進めたいと考える企業は多数存在します。
大手企業であれば、専門部署を立ち上げ、各領域のエンジニアを多数採用することも可能ですが、中小企業ではそのための手間やコストをかけられないケースが少なくありません。
こうした企業にとって、1人で一通りの開発を進められるフルスタックエンジニアは、非常に頼もしい存在です。業務システムの構築から、顧客対応のシステム化、自社サイトの機能追加・改善まで、幅広い領域での活躍が期待されます。
Web系企業
Web系企業では、アジャイル開発を採用している企業が多く、制作から開発に至るまで、幅広い領域を担えるエンジニアが必要とされています。また、常に変化する要件に柔軟に対応し、迅速な開発を進めていくためには、フロントエンドからバックエンドまでを一貫して担当できる人材が欠かせません。
広い領域を1人で担えるフルスタックエンジニアは、そのようなニーズに応えられるため、Web系企業において自身の能力を存分に発揮できるでしょう。
フルスタックエンジニアを目指すうえで重要なポイント
フルスタックエンジニアを目指すにあたっては、以下のポイントを押さえることも大切です。
- エンジニアとしての強みを持つ
- 学習し続けていくものだと理解する
- 長期的なキャリア視点を持つ
特定の分野における専門性を高めたり、技術の進歩やトレンドの変化に合わせて、常に学習を続けていく姿勢を持ったりすることで、フルスタックエンジニアとしてのキャリアは築きやすくなります。各ポイントの詳細について、見ていきましょう。
エンジニアとしての強みを持つ
先述のとおり、フルスタックエンジニアを目指す際に、特定の分野に精通することなく広く浅い知識や経験を積んでしまうと、「器用貧乏」などと評価されてしまう可能性があります。
そのため、まずは、エンジニアとして特定の分野に専門性を持ち、そのうえで徐々に知見を広げていくのがおすすめです。自身の強みとなる分野を見極め、その領域における専門性を高めることこそが、フルスタックエンジニアとして活躍していくうえでは重要です。
学習し続けていくものだと理解する
フルスタックエンジニアとして活躍するためには、常に学習を続けていく姿勢も不可欠です。技術の進歩やトレンドの変化に合わせて、市場において需要の高いスキルを身につけていく必要があります。
一度フルスタックエンジニアとして職に就いたからといって、学習をおろそかにしてしまえば、市場価値は下がり、活躍の場も狭まってしまうでしょう。常に市場の動向に敏感になり、新しい技術やフレームワークに積極的にチャレンジしていくことが、フルスタックエンジニアとしての成長につながります。
長期的なキャリア視点を持つ
フルスタックエンジニアとしてのキャリアを築くうえでは、長期的な視点を持つことも重要です。
勤務する業態によって、フルスタックエンジニアに求められる役割は異なります。たとえば、Web制作系の企業であればフロントエンドに強みを持つ必要がある一方、Web系の会社ではバックエンドとフロントエンド双方の専門性が求められるでしょう。
なお、SIerなどの開発会社で勤務する際には注意が必要です。分業体制が取られていたり、実装までを担ったりすることも少なくないため、そのような会社ではフルスタックエンジニアとして価値を発揮する場面が限られてしまうかもしれません。
業種によっても求められる役割は異なります。自分がどのようなキャリアを築いていきたいのかを定めたうえで、どの業種で働き、どのような能力を伸ばしていくのかを戦略的に決める必要があります。
フルスタックエンジニアとなったあとに歩めるキャリアパス
フルスタックエンジニアとしてのスキルを磨き、経験を積んだあとには、以下のとおりさまざまなキャリアパスを歩んでいけます。
- ITアーキテクト
- CTO
- エンジニアリングマネージャー
- フリーランス
フルスタックエンジニアとしての経験を活かし、自身の目指す方向性に合わせてキャリアを築いていきましょう。
ITアーキテクト
「ITアーキテクト」は、経営層と密接に連携しながら、経営戦略に沿った情報システム全体の設計をおこなう職種です。要件に基づき、最適なシステムインフラの設計をおこなうため、要件定義やプログラミングに関する知識など、フルスタックエンジニアとして培ってきたスキルを存分に発揮できます。
フルスタックエンジニアとしての経験を土台として上流工程に携わることで、システム設計のプロとして活躍していけるでしょう。
ITアーキテクトについて、より詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
参考:ITアーキテクトとは?仕事内容やキャリアの築き方を徹底解説|Relance
CTO
「CTO=最高技術責任者」は、経営に携わりながら、技術的側面における意思決定をおこなう役割も担うポジションです。小規模な組織であれば、現場にちかい立場で開発に関与しマネジメントをおこなうこともありますが、中規模以上の組織では、役員クラスとして技術方針の策定や投資判断に携わることになるでしょう。
システム構築・マネジメント双方に関与するポジションであり、エンジニアとしての技術や知見を活かしつつ、マネージャーとしても能力を発揮し、会社を率いていく存在です。フルスタックエンジニアと上流工程に参画してきた経験は、CTOとしてのキャリアを歩むうえで大きな強みとなるでしょう。
エンジニアリングマネージャー
「エンジニアリングマネージャー」は、開発チームのマネジメントをおこなう役職です。主に生産性の向上や人材マネジメントに注力することが多く、コミュニケーション能力などのポータブルスキルが一層求められます。
また、自身の知識やスキルをもとに開発や運用業務の最適化を推進していく必要もあるため、技術力と人間力の双方が必要です。そのため、フルスタックエンジニア時代に、多くのプロジェクトでチームをリードする経験を積むことがおすすめです。エンジニアリングマネージャーとして活躍しやすくなるでしょう。
エンジニアリングマネージャーについて、より詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
参考:エンジニアリングマネージャーとは?仕事内容やなるために必要なスキルを解説!|Relance
フリーランス
フルスタックエンジニアとしての経験を積んだあと、「フリーランス」として独立する選択肢もあります。フロントエンドとバックエンドの両方の領域に十分に対応できるフルスタックエンジニアとなっていれば、獲得できる案件は多くあるでしょう。
開発の受託だけでなくコンサルティングもおこなえれば、自身の知見を活かしながら、さまざまな企業の問題解決に貢献でき、待遇もよくなるはずです。
一方でフリーランスとして活躍するためには、高い技術力に加え営業力やネットワーキングスキルなど総合的な能力が必要です。会社員時代にしっかりと下積みを積み、その間あらゆるスキルを身につけておくことで、フリーランスフルスタックエンジニアとしての需要は高まるでしょう。
まとめ
フルスタックエンジニアを目指すためには、自身のエンジニアとしてのレベルに沿ったロードマップを歩んでいくことが重要です。その中で、インフラやマネジメント、開発といった多岐にわたる知識・スキルを身につけることや、特定の分野での専門性を高めることは必須といえます。
またベンチャー企業やWeb系企業など、フルスタックエンジニアが活躍しやすい場所は多岐にわたりますが、勤務先の企業によって重宝されるスキルは異なります。求められる人物像に合わせたスキルを身につけたり、アピールしたりする必要があるでしょう。
フルスタックエンジニアとしての経験を積んだあとは、ITアーキテクトやCTO、フリーランスなど、さまざまなキャリアパスがあります。自分はどういう方向性で活躍していきたいのかを早い段階で定め、自身の目指す方向性に合わせて、必要なスキルを磨いていきましょう。
フリーランスエンジニア専門のエージェント
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