フリーランスの保険はどうする?社会保険や健康保険などパターン別に紹介 

会社を退職してフリーランスになった際には、さまざまな手続きをする必要があります。

健康保険の手続きもその一つであり、健康保険には必ず加入しなければなりません。

フリーランスは基本的に個人で仕事をしていくため健康には特に気を配る必要があり、さらに会社員とは保険の仕組みが異なるため、フリーランスの健康保険に関する知識を深めておく必要があります。

そこで、今回の記事では、フリーランスの健康保険について、健康保険の加入パターンや健康保険料などの基礎知識を紹介します。

フリーランスの健康保険の加入パターン

フリーランスは、以下の4つの方法で健康保険に加入することができます。

  • 国民健康保険への加入
  • 会社員時代の健康保険を任意継続する
  • 家族の健康保険組合に扶養として入る
  • フリーランスと国民健康保険組合

それぞれ詳しく解説します。

国民健康保険への加入

フリーランスは、基本的に国民健康保険に加入することになります。

退職から14日以内に加入しなくてはならないため、必ず手続きを忘れないようにしましょう。

加入の手続きは、お住まいの地域の市区町村役所で行えます。以下のような持ち物が必要になるため、事前に用意しておきましょう。

必要な持ち物については各市区町村によって多少異なるため、詳細についてはお住いの地域の公式サイト等を確認することをおすすめします。

  • 職場の健康保険をやめた証明書(資格喪失証明書や扶養削除証明書など)
  • 身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど)
  • マイナンバーが確認できるもの(マイナンバーカードやマイナンバー通知カードなど)
  • 保険料口座振替用のキャッシュカードまたは通帳
  • 印鑑

既に世帯主が国民健康保険に加入していた場合は、追加で加入することになるため、世帯主の保険証も必要です。

また、退職と同時にこれまで加入していた会社の健康保険証は使用できなくなります。健康保険証は必ず返却するようにしましょう。

資格喪失証明書は会社が手続きを行い交付されますが、手続きには返却された保険証が必要となります。もし、返却しないまま退職後に保険証を使用した場合、負担しなかった分の医療費をこれまで加入していた健康保険組合や協会けんぽに返還しなくてはならなくなってしまいます。

退職から5日以内に、会社は保険証を年金事務所や健康保険組合に返却しなければならないため、退職後はなるべく早く会社に保険証を返却するようにしましょう。

返却は手渡しがベストですが、直接渡しに行くことが難しい場合は郵送でも問題ありません。

ただし、郵送する場合は会社に郵送でも問題ないか確認するようにしましょう。

郵送する際は簡易書留か一般書留で郵送してください。対面での受け渡しにすることで、保険証紛失や盗難のリスクを軽減することができます。

また、郵送する際の封筒には「保険証在中」と記入しないよう注意しましょう。

保険証は万が一第三者の手に渡ると悪用される危険性があるため、封筒の中身が保険証だと表記してはなりません。

会社員時代の健康保険を任意継続する

国民健康保険ではなく、会社員時代の健康保険を任意継続することもできます。

任意継続とは、退職などによって健康保険の被保険者の資格を喪失した場合に、一定の条件を満たすことで継続して加入できる制度です。

任意継続の期間は最長で2年間となっており、国民健康保険は保険料が前年の所得に応じて増減しますが、任意継続の場合は、保険料は原則として2年間変わることがありません。

任意継続するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

・資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること・資格喪失日(退職日の翌日等)から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること

引用:任意継続の加入条件について|全国健康保険協会

なお、先述したように保険料は原則として2年間変わりませんが、以下のような場合は変更となります。

・任意継続中に40歳になり介護保険第2号被保険者に該当した場合、または任意継続中に65歳になり介護保険第2号被保険者に該当しなくなった場合・都道府県別の健康保険料率や介護保険料率が変更された場合・標準報酬月額の上限が変更された場合・保険料率の異なる都道府県へ転出した場合

引用:保険料|全国健康保険協会

家族の健康保険組合に扶養として入る

家族の健康保険組合に扶養として入ることもできます。健康保険組合にはさまざまな種類があり、保険料も組合によって異なります。

場合によっては国民健康保険に加入するよりも保険料が安くなることもあるでしょう。

たとえば「東京都医師国民健康保険組合」の場合、保険料は収入に関わらず12,500円(2022年時点)となっています。

ただし、被扶養者として認定されるためには一定の条件を満たしている必要があります。

条件は健康保険組合によって異なりますが、「三親等内の親族のみ」や「被保険者の収入によって生活している」などが条件となるでしょう。

フリーランスと国民健康保険組合

フリーランスにはエンジニアやデザイナーなどさまざまな業種がありますが、業種によっては国民健康保険組合が存在し、国民健康保険組合に加入することで保険料が割安となる場合があります。

今回は一例として、クリエイティブな業種のフリーランスに人気の「文芸美術国民健康保険組合」を紹介します。

文芸美術国民健康保険組合は、文芸、美術及び著作活動に従事する者で構成された国民健康保険組合です。

加入するには、組合に加盟している各団体の会員であることが必要です。加盟団体については文芸美術国民健康保険組合の公式サイトで確認できます。

保険料は、収入に関わらず一定となっています。国民健康保険は収入によって保険料が増減するため、収入次第では国民健康保険より保険料は安くなるでしょう。

文芸美術国民健康保険組合の保険料は以下の通りです。(2022年時点)

組合員:1人月額 21,100円家族:1人月額 11,600円介護保険料(満40歳から64歳までの被保険者):1人月額 5,200円

引用:保険料について|文芸美術国民健康保険組合 

フリーランスの健康保険はお得?

会社員は雇用保険に加入するため、失業手当を受け取ることができます。しかしながら、フリーランスは会社に雇用されているわけではないため失業という概念自体が存在せず、失業手当もありません。

そのため、会社員が加入する社会保険とフリーランスの健康保険を比較した場合、補償等は社会保険のほうが優れていると言えるでしょう。

一方で、健康保険に何もメリットがないわけではありません。健康保険への加入は必須ですが、仮に健康保険に加入していなかった場合、本来なら3割負担で済む医療費を全額自己負担しなければならなくなります。

フリーランスの収入は基本的に出来高制であるため、病気やけがなどで仕事ができない期間が増えると収入にも大きく影響します。医療費が全額負担となると、収入が減るだけでなく、さらに高額な医療費を支払わなければならなくなります。

以上のことから、社会保険ほど補償は充実していないものの、フリーランスにとって健康保険の加入はお得であると言えるでしょう。

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フリーランスの国民健康保険料はいくら?計算方法解説

フリーランスの国民健康保険料は、前年度の所得により決定されますが、具体的な計算方法はどのようになっているのでしょうか。

前提として、国民健康保険料は市区町村によって異なる場合があります。正確な国民健康保険料については、お住まいの地域の情報を確認するようにしてください。

今回は一例として、東京都江戸川区の保険料および計算方法を紹介します。

国民健康保険の年間保険料は「医療分」+「支援分」+「介護分」です。医療分は国保財政の基礎財源を指し、最高限度額は65万円となっています。

支援分は後期高齢者医療制度への支援金で最高限度額は20万円、介護分は40~64歳の方の介護保険料で最高限度額は17万円です。

さらに、医療分・支援分・介護分は以下の計算方法で求められます。

  • 医療分=加入者全員の前年の所得金額×7.95%+43,200円×加入者数
  • 支援分=加入者全員の前年の所得金額×2.63%+14,400円×加入者数
  • 介護分=該当者全員の前年の所得金額×2.87%+18,300円×該当者数

参考:国民健康保険料の計算方法|江戸川区

フリーランスの国民健康保険料を安くする方法

国民健康保険料を出来るだけ安くするにはどのような方法があるのでしょうか。

まず考えられるのは健康保険組合への加入です。先述したように組合によっては収入に関わらず保険料が一定となる場合があるため、収入次第では保険料を安くすることができるでしょう。

また、世帯分離をした場合、保険料が安くなる場合があります。世帯分離とは、同居している家族間の世帯を分けることです。

世帯分離によってどちらかの世帯が住民税非課税世帯になった場合は、国民健康保険料が減免されるため、結果的に保険料が安くなることもあるでしょう。

しかし、世帯を分けることで、元々は1世帯分だった保険料を2世帯分払わなくてはならなくなってしまいます。

世帯分離は必ずしもメリットになるとは限らないため、よく検討してからするようにしましょう。

さらに、国民健康保険料は以下の方法でも安くすることができます。

  • 経費を増やす
  • 控除を増やす

収入から経費や控除を差し引いたものが所得となるため、所得によって変動する国民健康保険料も結果的に安くなるのです。

経費を増やす

フリーランスは、業務上で使用する費用であれば、確定申告の際に経費として申請することができます。

所得は年間の収入から経費や控除を差し引いたものであるため、経費を増やせばその分節税効果が得られます。

ただし、節税になるからといって無闇に経費を増やすことは避けるべきです。事業に関係のないものまで経費として申請すると、不正計上とみなされてしまう場合があります。

不正計上は社会的な信用にも大きく影響するため、公正な会計処理を行いましょう。

経費を増やすことは所得の向上に役立つため、経費として認められる範囲の経費計上は積極的におこなっていきましょう。

控除を増やす

確定申告をする際、フリーランスにはさまざまな控除が用意されています。経費と同様に控除を適用することで所得を抑えることが可能です。

控除は主に以下のようなものがあります。

  • 基礎控除

確定申告をする全ての人が対象で、控除額は38万円です。

  • 青色申告特別控除

青色申告で確定申告をする人が対象で、最大65万円の控除を受けられます。

  • 医療費控除

年間10万円以上の医療費となった場合に、10万円を超えた分を控除できます。上限は200万円です。

  • 生命保険料控除

民間の生命保険や個人保険に加入している人が対象で、支払保険料に基づいた控除を受けられます。

他にもさまざまな控除があるため、対象となっている控除は積極的に適用していきましょう。

フリーランスの国民健康保険料(社会保険料)は控除対象

フリーランスの国民健康保険料は控除対象となっています。

数ある控除の中に「社会保険料控除」があり、社会保険料控除の中には国民健康保険の保険料も含まれます。

保険料は全額控除となるため、必ず控除を受けるようにしましょう。

低所得のフリーランスには減免する制度もある

国民健康保険料は減免を受けることもできます。各市区町村により条件は異なりますが、おおむね何らかの理由で前年度より大きく収入が減少した場合が対象となっています。

また、所得基準を下回る世帯を対象にした保険料を減額する制度もあるため、所得の少ないフリーランスはこれらの制度を活用していきましょう。

まとめ

今回の記事では、フリーランスの健康保険について、健康保険の加入パターンや健康保険料などの基礎知識を紹介しました。

会社員とフリーランスでは加入する健康保険が異なり、その内容にもさまざまな違いがあります。

フリーランスは国民健康保険に加入するのが一般的ですが、任意継続や健康保険組合を活用することで保険料を安くすることも可能です。

経費や控除も保険料を安くするには有効なため、今回紹介した内容を参考に、保険料を賢く節約していきましょう。

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