SREエンジニアはどんな仕事？求められるスキルや知識は何？徹底解説

Webサイトやサービスなどを最適に運用し、その信頼性・価値を高める役割を担うSREエンジニアという職種に、興味のある方もいるのではないでしょうか。

SREエンジニアは、システムやクラウドの開発・運用・環境整備をおこなうため、クラウドやWebサイト・アプリなどに関する知識が求められます。

本記事では、SREエンジニアの仕事内容や求められるスキル、年収・将来性などについて解説していきます。SREエンジニアに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

SREエンジニアとは？

そもそもSREとは、Site Reliability Engineering（サイト・リライアビリティ・エンジニアリング）を略した言葉です。Googleが生み出し提唱している、Webサイトやプロダクト、サービスの信頼性・価値を向上するための方法論を指します。

SREエンジニアとは、Webサイトやサービスなどを最適に運用し、その信頼性・価値を高める取り組みを実施するエンジニアです。

システム運用を自動化・効率化し、その信頼性を高めると共に、運用の安定を図ることが主な業務です。

Webサイト・サービスにおける信頼性や価値を向上するSREエンジニアは、現代のIT業界において欠かせない存在といえるでしょう。

Relanceを運営している株式会社スリーシェイクの基幹事業であるSreakeでは、SRE総合支援からセキュリティ対策、人材支援までサービス提供をしています。

下記サイトでも、SREについて解説していますので是非ご覧ください。
参考：SREとはなにか [サイト リライアビリティ エンジニアリング]｜Sreake

インフラエンジニアとの違い

SREエンジニアと混同されがちな職種にインフラエンジニアが挙げられますが、業務内容や範囲、求められるスキルがそれぞれ異なります。

	SREエンジニア	インフラエンジニア
業務内容	システムの自動化やシステムに関わる障害などへの対策など、システム運用の最適化	インフラシステムの設計や運用（要件定義、開発、構築、保守などを含む）
業務範囲	Webサイト・サービスの信頼性や価値向上を目的とした活動すべて	ITインフラ（サーバー、データベース、ネットワーク）のみ
求められるスキル	ITインフラに加え、アプリケーション開発に関する知識やスキル	ITインフラ（サーバー、データベース、ネットワーク）に関するスキル

SREエンジニアはシステムの自動化や障害への対策など、運用の最適化を図り、Webサイト・アプリケーションの信頼性向上を目的として、幅広い業務をおこないます。

一方、インフラエンジニアは要件定義や開発・構築、保守などを含め、インフラシステムにおける設計・運用が仕事内容です。

SREエンジニアの業務範囲は広く、Webサイト・サービスの信頼性や価値を高めるための活動すべてが含まれます。

対してインフラエンジニアの業務範囲は、サーバーやデータベース、ネットワークなどのITインフラのみで、アプリケーションなどは含まれません。

なお、インフラエンジニアに求められるスキルは、ITインフラに関するものだけです。一方、SREエンジニアには、ITインフラに加えアプリケーション開発に関する知識・スキルも必要であり、インフラエンジニアよりも高い技術力が求められます。

SREエンジニアに求められるスキルについては、後ほど詳しく解説します。

SREエンジニアの主な仕事内容

インフラエンジニアと比較して業務範囲が広いSREエンジニアの主な仕事内容は、以下の3つです。

• システムやクラウドの開発・運用・環境整備
• システムの自動化
• トラブル対応

前述したように、SREエンジニアの業務範囲は、Webサイト・アプリケーションなどのシステムにおける信頼性や価値を高めるための活動すべてです。目的達成に向けた開発や自動化、トラブル対応などの仕事が求められます。

ここからは、SREエンジニアの主な仕事内容について詳しく見ていきましょう。

1．システムやクラウドの開発・運用・環境整備

SREエンジニアの仕事内容として、システムやクラウドの開発・運用が挙げられます。SREエンジニアがシステムやクラウド周りの開発・運用を担うことで、開発担当者は安定した開発環境を利用できるでしょう。

開発業務に欠かせないツールや仕組みの構築・提供も、SREエンジニアの仕事です。

サーバー環境の整備やミドルウェアのパフォーマンス向上・開発・構築・整備に伴う、セキュリティの向上なども欠かせません。

インフラ・ミドルウェア環境の安定や高いパフォーマンス発揮により、Webサイトやサービス、アプリケーションの信頼性が高まります。万が一、不具合が発生した際に備えパッチを用意してロールバックできる状態にするなど、障害に対して迅速な対応ができるような仕組み整備も業務の一環です。

2．システムの自動化

システムの自動化も、SREエンジニアが担当する重要な仕事内容の1つです。具体的には、ログの自動解析やスプレッドシートの自動更新ツールなどが挙げられます。

日々発生するルーチンタスクのシステムを自動化すれば、作業効率の向上につながり、開発担当者の負担も軽減可能です。また、ヒューマンエラーを防止し、より安全性の高いシステム開発や運用の実現を期待できます。

ただし、SREエンジニアの業務は、あくまでもシステム運用の最適化です。開発担当者がSREエンジニアに依存する状況は避けなければなりません。開発担当者が自立しつつも、開発効率を向上させる仕組み・ツールの提供をすることこそがSREエンジニアの仕事です。

3．トラブル対応

SREエンジニアにとって、トラブル対応も重要な仕事です。正確には、トラブルを未然に防ぐための対応をおこないます。

システムのリリース前に、バグやエラーの解消をおこない、リリース後に起こり得るトラブルを未然に防げるよう努める必要があります。システムリリースにあたり、開発担当者が最も懸念している点は、何らかの障害によりリリースができなくなることです。

SREエンジニアはリリース前にバグやエラーの対処をおこない、開発担当者の不安材料を取り除くと共に、開発に専念できる環境をつくります。具体例として挙げられるのは、アクセス集中に備えたサーキットブレーカーの導入や修正バッチの作成などです。事前に対応をおこなうことは、システムの安定運用にも効果的といえるでしょう。

SREエンジニアに求められるスキル・知識

SREエンジニアは担当する業務範囲が広い分、以下のさまざまなスキルや知識が求められます。

• クラウドサーバーの構築・運用スキル
• Webサービスの開発・運用スキル
• アプリケーションの開発・運用スキル
• ネットワーク・データベースに関する知識
• セキュリティに関する知識
• コミュニケーションスキル

ここからは、SREエンジニアに求められるスキル・知識について詳しく解説します。

スキル1．クラウドサーバーの構築・運用スキル

SREエンジニアには、クラウドサーバーにおける構築・運用のスキルが欠かせません。

近年、システム開発分野においては、多くの企業が以下のようなクラウドサービスの導入や、オンプレからの移行をおこなっています。

• AWS（Amazon Web Services）
• Google Cloud
• Microsoft Azure

SREエンジニアにもクラウドサーバーに関する幅広い知識・スキルが必要です。企業によっては、2年から3年以上の実務経験を求めるケースもあります。

クラウドサーバーを適切に利用することで、高品質なWebサービスの開発につながり、信頼性の向上にも期待できるでしょう。

スキル2．Webサービスの開発・運用スキル

Webサービス開発・運用スキルも、SREエンジニアには当然必要です。

Web系システムにおける運用の最適化こそが、SREエンジニアの役目ともいえるでしょう。

以下のような主要プログラミング言語はもちろん、データベース操作に必要なSQLの知識、またLinux・WindowsなどのOSに関する知識・スキルが求められます。

• Java
• PHP
• Ruby

とくにWebサービスにおいては、ユーザーが商品・サービスを通じて得られる経験を指す「UX」が重要視されています。UXはユーザーが直接触れて利用する部分でもあるため、質と安定性の向上を担うSREエンジニアには、知識だけでなく実際の開発・運用経験も必要です。UXの質が悪ければ、サービス自体はもちろん、開発した担当者や企業に対してマイナスのイメージを抱く要因となりかねません。

スキル3．アプリケーションの開発・運用スキル

アプリケーションの開発・運用スキルも、SREエンジニアに不可欠なスキルの1つです。

企業としては、ユーザーがアプリケーションを使用して初めて価値を提供できます。価値提供には、アプリケーションにおける質や安定性の維持・向上が欠かせません。

アプリケーションの運用環境やパフォーマンスを改善・向上し、エラー・バグへの対応をおこなえるよう、開発に必要な以下のプログラミング言語は最低限身につける必要があります。

【プログラミング言語の一例】

• Ruby
• PHP
• Java
• Python

実際にWebアプリケーション開発・運用の経験があれば、SREエンジニアとしての価値はより高まるでしょう。

スキル4．ネットワーク・データベースに関する知識

SREエンジニアには、システム基盤に関する知識やスキルも必要です。

システム基盤に関わる業務も多いため、ネットワークやデータベースといった、ITインフラに関する知識が求められます。

SREエンジニアは、ネットワークやデータベースに問題が生じた際の素早い対処も役割の1つであり、システム基盤に関する知識を深めておかなければなりません。具体的には、LAN構成やOSI参照モデル、またミドルウェアに関する知識が必要です。

ネットワークやデータベースに関する知識・スキルを身につけ、ミドルウェアのパフォーマンス向上に貢献できれば、システムへの信頼性も高まります。

スキル5．セキュリティに関する知識

SREエンジニアは、これまで解説してきた開発・運用に関する知識・スキルのほか、セキュリティへの知識も求められます。

保守は、元々SREエンジニアの業務範囲には含まれていませんが、システムの信頼性を高める活動すべてがSREエンジニアの業務領域です。Webサービスを提供する以上はネットワークを使用するため、サイバー攻撃や情報漏洩に関する知識・理解も深めておかなければなりません。

WebサービスやAPIのセキュリティリスクに関する知識を身につけ備えておけば、いざ問題が生じたときに即座に、また適切に対処可能です。

高度なセキュリティの信頼性が求められるシステムを構築するための方法立案が、業務に含まれるケースも存在します。

スキル6．コミュニケーションスキル

SREエンジニアに求められるのは、何も技術力や知識だけではありません。コミュニケーションスキルも、SREエンジニアに欠かせないスキルの1つです。

SREエンジニアは性質上、単独での作業は少なく、SREチームや開発チームと連携・協力して業務を進めていきます。プロジェクトをスムーズに進めるよう、また万が一問題が発生した際にスピーディーに解決できるよう、高いコミュニケーションスキルが欠かせません。

フリーランスともなれば、案件獲得や条件交渉も自身でおこなう必要があるため、よりコミュニケーションスキルが求められます。フリーランスの案件獲得は決して簡単ではありません。自身のスキルや能力、経験を適切にアピールし、クライアントと信頼関係を構築する必要があります。

SREエンジニアの年収

SREエンジニアという職種自体、古くからあるものではなく、ここ数年で登場した比較的新しい職種で、公的な年収データはありません。ただ、前述のとおり、専門的な知識で安定した開発・運用をリードするSREエンジニアは、システム開発のリーダー的存在です。そのため、ITエンジニアの中でも比較的高収入と考えられます。

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によれば、ITインフラを設計・開発するシステムエンジニア（基盤システム）の平均年収は660.4万円です。

システムエンジニア（基盤システム）はインフラエンジニアなどを指し、さらに踏み込んだ業務をおこなうSREエンジニアの平均年収は、この平均年収と同程度かより高くなると予想されます。

実際に、フリーランス求人を扱う「フリーランススタート」によれば、SREエンジニアのフリーランス求人・案件における平均月額単価は86.3万円、最高単価は150万円です。

フリーランススタートのSREエンジニアにおける平均月額単価を年収に単純換算すれば、1,035万円を超えます。これは、同フリーランススタートのインフラエンジニア案件における平均月額単価71.3万円、年収換算855.6万円と比較しても高い水準です。

また国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査結果について」によると、日本の給与取得者における平均年収は458万円（男性563万円、女性314万円）です。フリーランスのデータのみではあるものの、SREエンジニアの年収はその約2倍以上にものぼります。

カカクコムが運営する求人検索エンジンの「求人ボックス」におけるSREに関するエンジニアの給与からも、非常に高額であることがうかがえます。以上の結果から、SREエンジニアの年収は非常に高額であるといえるでしょう。

なお、データはすべて2024年4月8日時点のものです。

参考：システムエンジニア（基盤システム）｜職業情報提供サイト jobtag
参考：SREのフリーランス求人・案件一覧｜フリーランススタート
参考：インフラエンジニアのフリーランス求人・案件一覧｜フリーランススタート
参考：令和4年分民間給与実態統計調査結果について｜国税庁
参考：SREエンジニアの求人情報｜求人ボックス

SREエンジニアにおすすめの資格3選

資格を取得すれば、必ずしもSREエンジニアとして活躍できるわけではありません。一方で、資格を取得すれば自身のスキルや知識を客観的に証明でき、案件獲得や転職などに役立ちます。

SREエンジニアにおすすめの資格は、以下の3つです。

• Cisco Certified DevNet Associate認定
• EXIN DevOps Professional 資格
• Professional Cloud Architect

上記について、詳しく解説していきます。

資格1．Cisco Certified DevNet Associate認定

Cisco Certified DevNet Associate認定は、Cisco社が提供している、ソフトウェア開発者やDevOpsエンジニア対象の資格です。アプリケーション開発や運用スキルを証明できます。

試験では、シスコプラットフォーム向けの幅広い知識・スキルが問われます。具体的には、以下のようなスキルです。

• ソフトウェア開発
• デザインの基礎能力
• セキュリティ
• API
• 自動化

難易度は易しい方から順に「Associate」「Specialist」「Professional」「Expert」と4つあります。Cisco Certified DevNet Associate認定は「Associate」に区分されます。120分のCBT方式で、合格率は非公開です。

必須ではないものの、受験する際には、Pythonプログラミングを含むソフトウェアの開発経験が1年以上あるとよいとされています。認定は3年間有効です。

参考：Cisco Certified DevNet Associate 認定とトレーニングプログラム｜Cisco

資格2．EXIN DevOps Professional 資格

EXIN DevOps Professional 資格は、EXIN社が提供するDevOpsの専門知識を証明できます。

DevOpsとは、開発チームと運用チームとの相互な協力・連携により、効率的な開発をおこなう手法のことです。近年の急速に変化する市場ニーズに対応可能なスキルの取得に有効な資格といえるでしょう。

EXIN DevOps Professional 資格試験では、以下の幅広い知識が問われます。

• DevOpsの基礎概念
• 遠隔計測
• 自動通信
• A/Bテスト
• 仮設駆動開発
• 情報セキュリティ

90分40問の選択問題式で試験が実施され、65％の正答率で合格とされています。元々はアメリカやフランス・カナダ・中国などの国々のみで実施されていましたが、2018年より日本語にも対応し、受験しやすくなりました。

参考：EXIN DevOps Professional｜EXIN

資格3．Professional Cloud Architect 

Professional Cloud Architectは、Google社提供の、Google Cloudに関する知識を証明できる資格です。Google Cloudは世界中で幅広く使用されているクラウドサービスであり、SREエンジニアにも非常に有益な資格といえます。

Professional Cloud Architectは、その名のとおりGoogle Cloud認定資格の中でも「Professional」レベルに位置するものです。

試験では、以下のような知識が問われます。

• クラウドソリューションアーキテクチャ設計・実装・管理
• クラウドセキュリティとコンプライアンス
• クラウドソリューションインフラストラクチャ管理・プロビジョニング

120分50～60問の多肢選択式の問題が出題され、合格率は非公開です。受験にあたっては、Google Cloudを使用したソリューション設計・管理の経験1年以上を含む業界経験3年以上が、推奨経験とされています。資格は2年間有効です。

参考：Professional Cloud Architect｜Google Cloud

SREエンジニアの将来性

SREエンジニアは、Webサイトやサービスにおける信頼性の向上に寄与するため、将来性も高いといえるでしょう。

前述のとおり、SREエンジニアは比較的新しい職種であり、求人数もまだ多くはありません。一方で、Webサービスの信頼性を向上させるための専門職ともいえ、将来性に期待できます。

AI人気が高まる昨今、多くの企業が自動化に注目しています。それに伴い、システムの拡張・変更やバグ対応における自動化の需要は、今後ますます高まっていくでしょう。

多くの企業におけるDX（デジタルトランスフォメーション）化に伴い、SREエンジニアのニーズ増加も予想されます。ただでさえ人手不足が叫ばれるIT業界において、Webサービスやアプリケーションにおけるパフォーマンスと信頼性の向上は、どの企業にも欠かせない要素です。

SREエンジニアの需要と将来性は、共に高いといえます。

まとめ

本記事では、SREエンジニアの仕事内容や求められるスキル、年収・将来性などについて解説しました。

SREエンジニアとは、Webサイトやサービスなどの最適な運用・自動化・効率化により、その信頼性・価値を高めるための取り組みを実施するエンジニアです。業務範囲は広く、システム・クラウドの開発・運用・環境整備や自動化、トラブル対応をおこないます。以下の知識・スキルは、SREエンジニアとして必須といえるでしょう。

• クラウドサーバーやWebサービス、アプリケーションの構築・開発・運用スキル
• ネットワーク・データベースに関する知識
• セキュリティに関する知識
• コミュニケーションスキル

このように、求められる業務やスキルが多岐にわたるため、年収はITエンジニアの中でも比較的高いとされています。SREエンジニアの需要と将来性は、共に高いといえるでしょう。

SREエンジニアを目指す方、SREエンジニアとしての地位を確立したい方は、ぜひ本記事を参考としてください。