フリーランスの確定申告は?初心者向けにやり方を分かりやすく徹底解説!
2025年11月28日
フリーランスとして活動を始めると、会社員時代には会社が代行してくれていた税金の申告手続きを、すべて自分で行う必要があります。それが「確定申告」です。初めて確定申告に臨む方の中には、「何から手をつければいいのか分からない」「手続きが複雑そうで不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスの方が確定申告をスムーズに進められるように、必要な知識と具体的な手順を分かりやすく解説します。確定申告の対象者から、節税につながる青色申告のメリット、経費の考え方まで、網羅的にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 1 フリーランスは確定申告が必要?対象となる人とは
- 2 所得が95万円を超えるすべてのフリーランス(2024年分までは48万円)
- 3 副業フリーランスで所得が20万円を超える場合
- 4 確定申告の基礎知識
- 5 確定申告とは?1年間の所得と税金を計算する手続き
- 6 青色申告と白色申告の違いを解説
- 7 節税効果が高い青色申告のメリット
- 8 手軽さが魅力の白色申告のメリット
- 9 フリーランスの確定申告!5つの手順
- 10 手順1:必要な書類を準備する
- 11 手順2:日々の取引を帳簿に記録する
- 12 手順3:確定申告書を作成する
- 13 手順4:税務署へ確定申告書を提出する
- 14 手順5:所得税を納付する
- 15 確定申告に必要な書類一覧
- 16 全員が提出する必要がある書類
- 17 青色申告の場合に必要な追加書類
- 18 条件に該当する場合に必要な書類
- 19 フリーランスが知っておきたい所得控除
- 20 全員が対象となる基礎控除
- 21 国民年金や健康保険料が対象の社会保険料控除
- 22 生命保険や個人年金保険の生命保険料控除
- 23 iDeCoの掛金が全額控除される小規模企業共済等掛金控除
- 24 年間の医療費が高額になった場合の医療費控除
- 25 もし確定申告をしなかったらどうなる?
- 26 本来の税金に上乗せされる無申告加算税
- 27 納税が遅れると発生する延滞税
- 28 フリーランスの確定申告に関するよくある質問
- 29 確定申告はいつから準備を始めればいいですか?
- 30 税理士に依頼するメリットは何ですか?
- 31 開業届を提出していない場合でも確定申告は必要ですか?
- 32 まとめ
フリーランスは確定申告が必要?対象となる人とは
すべてのフリーランスが確定申告をしなければならないわけではありません。まずは、ご自身が確定申告の対象となるかどうかを確認しましょう。基本的には、年間の「所得」が一定額を超える場合に申告義務が発生します。所得とは、年間の総収入から事業に必要な経費を差し引いた金額のことです。
所得が95万円を超えるすべてのフリーランス(2024年分までは48万円)
フリーランスとしての活動が本業であり、1年間(1月1日〜12月31日)の所得が95万円を超える場合は、確定申告が必要です(2024年分までは48万円)。[優内1] この金額は、すべての納税者に適用される「基礎控除」の額に由来します。令和7年度税制改正により、2025年分からは合計所得金額132万円以下の場合、基礎控除額が95万円に引き上げられました。所得が基礎控除額以下であれば、課税対象となる所得が0円になるため、所得税は発生せず、申告の義務もありません。
参考:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
副業フリーランスで所得が20万円を超える場合
会社員として給与を受け取りながら、副業でフリーランスとして活動している方もいるでしょう。この場合、副業で得た所得が年間で20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。本業の給与については会社が年末調整を行ってくれますが、副業の所得については自分で申告する必要がある点を覚えておきましょう。なお、副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税については別途、市区町村への申告が必要です。[優内2]
参考:国税庁「No.1900給与所得者で確定申告が必要な人」
【関連記事】フリーランス(個人事業主)の住民税について解説!|いくら支払うか、その計算方法や納付法、節税術も-フリーランスエンジニアの求人、案件サイト-Relance
確定申告の基礎知識
確定申告の対象であることが分かったら、次に基本的な知識を身につけましょう。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、どちらを選ぶかによって、節税効果や手続きの手間が大きく変わります。
確定申告とは?1年間の所得と税金を計算する手続き
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、それに対する所得税の額を算出して国に報告・納税するまでの一連の手続きのことです。日本では、納税者自身が所得と税額を計算して申告する「申告納税制度」が採用されているため、フリーランスのような個人事業主は、原則として自分で確定申告を行う必要があります。
青色申告と白色申告の違いを解説
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出することで青色申告が可能になり、提出しない場合は自動的に白色申告となります。主な違いは、帳簿の付け方と、受けられる税制上の優遇措置です。
| 比較項目 | 青色申告 | 白色申告 |
| 帳簿の付け方 | 複式簿記(原則) | 単式簿記(簡易な方法) |
| 特別控除 | 最大65万円 | なし |
| 赤字の繰越 | 3年間可能 | 不可 |
| 家族への給与 | 経費にできる(要届出) | 経費にできない(専従者控除あり) |
参考:国税庁「No.2075青色事業専従者給与と事業専従者控除」
節税効果が高い青色申告のメリット
青色申告の最大のメリットは、高い節税効果です。正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、期限内に申告し、さらにe-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行うなどの要件を満たすことで、所得金額から最大65万円を差し引ける「青色申告特別控除」が適用されます。これにより、課税対象となる所得を大幅に圧縮でき、所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。また、事業が赤字になった場合に、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺できる「純損失の繰越控除」も大きなメリットです。
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手軽さが魅力の白色申告のメリット
一方、白色申告のメリットは、手続きが簡単な点にあります。事前の申請が不要で、帳簿付けも簡易な方法で認められているため、経理の知識に自信がない方や、事業を始めたばかりで所得が少ない方にとっては、取り組みやすい方法と言えるでしょう。ただし、青色申告のような特別な節税メリットはないため、事業が軌道に乗ってきたら、青色申告への切り替えを検討することをおすすめします。
参考:国税庁「No.2080白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
参考:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
フリーランスの確定申告!5つの手順
確定申告の全体像を理解したところで、具体的な進め方を見ていきましょう。確定申告は、以下の5つのステップで進めていきます。期間内に慌てることがないよう、計画的に準備を進めることが大切です。

手順1:必要な書類を準備する
まずは申告に必要な書類を揃えることから始めます。確定申告書や決算書(または収支内訳書)のほか、各種控除を受けるための証明書(国民年金、生命保険料など)、経費の領収書やレシートなど、多岐にわたります。日頃から整理しておくことが、スムーズな申告への第一歩です。
参考:国税庁「〔令和6年分所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き〕申告書に添付・提示する書類」
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手順2:日々の取引を帳簿に記録する
青色申告、白色申告を問わず、日々の売上や経費などの取引を帳簿に記録することが義務付けられています。特に青色申告で65万円の控除を受けるためには、複式簿記での記帳が必要です。手書きでの記帳も可能ですが、会計ソフトを利用すると、簿記の知識がなくても効率的かつ正確に帳簿を作成できます。
参考:国税庁「No.2080白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
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手順3:確定申告書を作成する
1年分の帳簿付けが完了したら、その内容をもとに「青色申告決算書」(青色申告の場合)または「収支内訳書」(白色申告の場合)を作成します。その後、これらの書類と各種控除証明書の内容を「確定申告書」に転記していきます。国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って入力するだけで、自動で税額が計算され、申告書を完成させることができます。
手順4:税務署へ確定申告書を提出する
作成した確定申告書は、原則として翌年の2月16日から3月15日までの間に、所轄の税務署に提出します。提出方法には、税務署の窓口へ直接持参する方法、郵送する方法、そして国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用してオンラインで提出する方法の3つがあります。e-Taxを利用して申告すると、一定の要件を満たす場合に青色申告特別控除が最大額(65万円)の適用を受けられます。
手順5:所得税を納付する
確定申告書を提出し、納付すべき所得税額が確定したら、期限内(原則3月15日まで)に納税します。納付方法には、金融機関や税務署の窓口での現金納付、指定した口座からの振替納税、クレジットカード納付、コンビニ納付など、様々な方法があります。一方で、源泉徴収などで税金を納め過ぎていた場合は、申告から1か月から1か月半ほどで、指定した口座に還付金が振り込まれます。
参考:国税庁「【税金の還付】」
確定申告に必要な書類一覧
確定申告では、申告方法や個人の状況に応じて様々な書類が必要になります。ここでは、主要な書類を3つのカテゴリに分けてご紹介します。
全員が提出する必要がある書類
申告方法にかかわらず、すべての人が準備・提出する必要がある書類です。
| 書類名 | 概要 |
| 本人確認書類 | マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カードと運転免許証などの身分証明書の組み合わせが必要です。 |
参考:国税庁「番号法令、国税庁告示における主な本人確認書類等」
参考:国税庁「番号制度に係る税務署への申請書等の提出に当たってのお願い」
青色申告の場合に必要な追加書類
青色申告を選択した場合は、白色申告の「収支内訳書」に代わり、より詳細な会計報告書が必要となります。
| 書類名 | 概要 |
| 青色申告決算書(一般用) | 事業所得の申告に使用する標準的な決算書。損益計算書(1~3ページ)と貸借対照表(4ページ)で構成され、月別売上・仕入金額、経費の内訳、減価償却費の計算などを詳細に記載します。65万円または55万円の青色申告特別控除を受ける場合は全4枚の提出が必須です。[優内3] |
| 青色申告決算書(不動産所得用) | アパート経営など不動産の賃貸による所得がある場合に使用。不動産の所在地、賃借人情報、賃貸契約期間などの記載欄があり、不動産所得に適した勘定科目が設定されています。減価償却費の記入欄も一般用より充実しています。 |
| 青色申告決算書(農業所得用) | 農業所得がある場合に使用。農産物の販売金額や棚卸高、種苗費、肥料費など、農業特有の勘定科目に対応した書式となっています。現金主義で記帳する農業所得者もこちらを使用します。 |
| 青色申告決算書(現金主義用) | 現金の出入りがあった時点で記帳する「現金主義」を採用している事業者が使用。収支計算書と減価償却費の計算のみで構成される2ページの書類です。適用には事前に「所得税の青色申告承認申請書現金主義の所得計算による旨の届出書」の提出が必要で、10万円の青色申告特別控除のみ適用可能です。 |
[優内4] 参考:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」
条件に該当する場合に必要な書類
所得控除や税額控除を受けるためには、その内容を証明する書類の添付、または提示が必要です。
| 書類名 | 概要 |
| 医療費控除の明細書 | 医療費控除を受ける場合に、支払った医療費の内訳を記載する書類です。領収書の添付は不要ですが、5年間は自宅で保管する必要があります。 |
参考:国税庁「No.1119医療費控除に関する手続について」
フリーランスが知っておきたい所得控除

所得控除は、納税者一人ひとりの個人的な事情を税金の計算に反映させるための制度です。所得の合計額から各種控除額を差し引くことで、課税対象となる所得(課税所得)を減らすことができます。ここでは、フリーランスが活用できる代表的な所得控除をご紹介します。
全員が対象となる基礎控除
基礎控除は、合計所得金額が2,500万円以下のすべての納税者に適用される基本的な控除です。所得金額に応じて控除額は変動しますが、多くのフリーランスが該当する合計所得2,400万円以下の場合は、48万円が控除されます。
国民年金や健康保険料が対象の社会保険料控除
フリーランスが支払う国民年金保険料や国民健康保険料は、その年に支払った全額が社会保険料控除の対象となります。対象となるのは、自分自身の保険料だけでなく、生計を一つにする配偶者や親族の分を支払った場合も含まれます。
生命保険や個人年金保険の生命保険料控除
生命保険、介護医療保険、個人年金保険のために支払った保険料の一部が所得から控除される制度です。保険の種類ごとに控除額が計算され、合計で最大12万円の控除が受けられます。
iDeCoの掛金が全額控除される小規模企業共済等掛金控除
個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金や、小規模企業共済の掛金などを支払っている場合に受けられる控除です。支払った掛金の全額が所得から控除されるため、非常に高い節税効果が期待できます。
年間の医療費が高額になった場合の医療費控除
自分自身または生計を一つにする配偶者や親族のために支払った医療費が、年間で一定額を超えた場合に受けられる控除です。原則として、支払った医療費の合計から保険金などで補填される金額を差し引き、さらに10万円を引いた額(最高200万円)が控除の対象となります。
参考:国税庁「No.1120医療費を支払ったとき(医療費控除)」
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もし確定申告をしなかったらどうなる?
確定申告の義務があるにもかかわらず、期限内に申告をしなかった場合、ペナルティとして追加の税金が課される可能性があります。意図的でなくても、忘れてしまっただけで余計な税金を支払うことになるため、注意が必要です。
本来の税金に上乗せされる無申告加算税
正当な理由なく期限内に申告しなかった場合に課されるのが「無申告加算税」です。令和6年1月1日以降に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合、納付すべき税額に対して、50万円までの部分は15%、50万円を超え300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30%の税率が上乗せされます。ただし、税務署の調査の事前通知の前に自主的に申告すれば、税率が5%に軽減されます。
納税が遅れると発生する延滞税
定められた納付期限までに税金を納めなかった場合に、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される、利息に相当する税金です。税率は年によって変動しますが、納付が遅れるほど負担は大きくなります。申告が遅れると、無申告加算税と延滞税の両方が課されることもあるため、申告と納税は必ず期限内に行いましょう。
フリーランスの確定申告に関するよくある質問
最後に、フリーランスの方からよく寄せられる確定申告に関する質問にお答えします。
確定申告はいつから準備を始めればいいですか?
確定申告の準備は、実質的にその年の1月1日から始まっています。日々の取引をこまめに帳簿に記録し、領収書を整理しておくことが、直前期に慌てないための最大のポイントです。本格的な申告書の作成準備は、年が明けた1月中旬頃から始めると、余裕を持って進めることができるでしょう。
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税理士に依頼するメリットは何ですか?
税理士に依頼する最大のメリットは、時間と手間を大幅に削減できることです。煩雑な帳簿付けや申告書の作成を専門家に任せることで、本業に集中できます。また、専門的な視点から最適な節税対策をアドバイスしてもらえるため、結果的に自分で申告するよりも納税額を抑えられる可能性もあります。
開業届を提出していない場合でも確定申告は必要ですか?
はい、必要です。「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」の提出の有無にかかわらず、所得が一定額を超えれば確定申告の義務が発生します。ただし、節税メリットの大きい青色申告を行うためには、「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。なお、開業届は事業開始等の日から1か月以内に提出することが所得税法で定められています。事業を継続的に行うのであれば、開業届と青色申告承認申請書を早めに提出することをおすすめします。
参考:国税庁「No.2090新たに事業を始めたときの届出など」
まとめ
フリーランスにとって確定申告は、年に一度の重要な義務です。最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的な知識を身につけ、手順に沿って計画的に準備を進めれば、決して乗り越えられない壁ではありません。
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