フリーランスの源泉徴収は?計算方法や注意したいポイントについて紹介

フリーランスの源泉徴収は?計算方法や注意したいポイントについて紹介

会社員の場合、源泉徴収は給料から天引きする形で会社がおこなってくれるため、特に注意する必要はありません。

しかし、フリーランスは確定申告を自分でおこなわなければならず、確定申告の際に源泉徴収に関する知識は非常に重要になります。

源泉徴収についてよく知らないと余分に税金を支払ってしまうこともあるため、きちんと理解しておくべきでしょう。

そこで今回は、源泉徴収の基礎知識と、フリーランスが知っておきたい源泉徴収のポイントについて解説します。

そもそも源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与の一部を税金として差し引き、本人の代わりに納税することを指します。

所得の申告漏れ防止を目的としており、給与所得者目線では所得税の申告や納付といった手続きが不要になる点がメリットです。

源泉徴収で納めた所得税は「仮の納税」という扱いのため、所得を再計算し、正確な額を算出する必要があります。

再計算に必要な手続きが、会社員の場合は年末調整、フリーランスの場合は確定申告です。

再計算した結果、払いすぎていれば返金、逆に少なかった場合は追徴課税となります。

次に、源泉徴収額の算出方法について見ていきましょう。

会社員の場合、源泉徴収額は国税庁が公表している「源泉徴収税額表」を使用して算出します。

その月の社会保険料等控除後の給与等の金額と、扶養親族等の人数を照らし合わせることで算出が可能です。

また、源泉徴収した所得税は、基本的に翌月の10日までに所在地の所轄税務署に納める必要があります。

ただし、給与の支給人員が常時10人未満の場合は「源泉所得税の納期の特例」を受けることができるため、その限りではありません。

本来、毎月納付しなければならない源泉所得税を、年2回にまとめて納付できるという特例で、所得税法第216条、第217条で定められています。

具体的な納付期日は以下の通りです。

・1月から6月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税:7月10日

・7月から12月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税:翌年1月20日

申請する際は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を作成し、所轄税務署へ提出しましょう。

提出時期は特に定められていませんが、原則として提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。

フリーランスの源泉徴収

フリーランスも会社員と同様に源泉徴収が必要になります。

会社員の場合、源泉徴収は毎月の給与から天引きされているため、あまり気をつける必要はありませんが、フリーランスは確定申告する際に源泉徴収を把握しておかなくてはなりません。

たとえば、今年の所得金額が300万円だった場合、税額は300万×0.1=30万から97,500円を控除した202,500円が予定納税額となります。

仮に源泉徴収額が50,000円だった場合、確定申告の際に記載することで予定納税額から源泉徴収額分が差し引かれるため、最終的な予定納税額は152,500円です。

しかし、源泉徴収されているにも関わらず源泉徴収額を記載しなかった場合は予定納税額は202,500円のままとなるため、結果的に税金を余分に支払うことになってしまうのです。

また、フリーランスは源泉徴収を払いすぎている場合が少なくないため、確定申告で源泉徴収額を記載することで、払いすぎていた分が還付されることがあります。

以上の点から、源泉徴収額を記載することにはメリットばかりであるため、確定申告の際は、自身の源泉徴収額を正確に把握したうえで、記載するようにしましょう。

源泉徴収されているかどうかは、支払元から源泉徴収票が発行されている場合はすぐに確認可能です。

ただし、支払元には源泉徴収票の発行義務がないため、源泉徴収されていても源泉徴収票がない場合があります。

源泉徴収されているか不安に感じた場合は、支払元に確認するとよいでしょう。

参考:所得税の税率|国税庁

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源泉徴収はどんなときに必要?

源泉徴収は、特定の所得に対して発生する税金です。給与所得はもちろんのこと、以下のような所得も対象となります。

  • 利子所得

原則として、利子所得の金額の15.315%が源泉徴収額となります。

参考:利息を受け取ったとき(利子所得)|国税庁

  • 配当所得

上場株式等の配当等の場合は配当額の15.315%(他に地方税5%)、上場株式等以外の配当等の場合は配当額の20.42%が源泉徴収額となります。

参考:配当金を受け取ったとき(配当所得)|国税庁 

  • 退職所得

原則として、国税庁が公表している「源泉徴収税額表」を参照します。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、退職金等の支払金額の20.42%が源泉徴収額となり、確定申告が必要です。

参考:退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

これらの源泉徴収額は「源泉徴収票」に記載されます。源泉徴収票は、転職する際や確定申告の際に必要です。

転職する際は、転職先で年末調整をしてもらう必要があるため、源泉徴収票が必要となります。

ただし、転職先への源泉徴収票の提出は義務ではないため、自分で確定申告をする場合は提出する必要はありません。

確定申告の際にも源泉徴収票は必要です。確定申告をするのはフリーランスだけだと思われがちですが、会社員でも以下に該当する人は確定申告をする必要があります。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得が20万円を超える人
  • 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
  • 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
  • 源泉徴収義務のない者から給与等の支払いを受けている人
  • 退職所得について正規の方法で税額を計算した際に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

参考:給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

また、収入の証明をしなければならない場面でも源泉徴収票が必要になることがあります。

源泉徴収票は、給与明細書や所得証明書と同様に収入証明書の一種となるため、不動産を借りるときやローンを組むときなどに必要になる場合があるのです。

業務によっては源泉徴収が発生しない

会社員の場合、会社が「源泉徴収義務者」となるため、どのような業務であっても源泉徴収されますが、フリーランスは業務内容によっては源泉徴収の対象にならない場合があります。

国税庁によると、源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲は以下のようになっています。

  1. 原稿料や講演料など
  2. 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  4. プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  5. 映画、演劇その他芸能、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  6. ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  7. プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  8. 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

フリーランスで上記の範囲に当てはまらない業種としては、エンジニアが挙げられるでしょう。

エンジニアの主な業務はWebサイトの開発やプログラミングなので、源泉徴収が必要な報酬に該当しません。

また、応募作品等の入選者に支払う賞金については、1回に支払う金額が50,000円以下なら源泉徴収の対象外となります。

参考:源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁 

フリーランスの源泉徴収の計算方法について

フリーランスの場合は、クライアントが源泉徴収してくれる場合もありますが、こちらが請求書を作成してクライアントに提出する形をとっている際は、源泉徴収額を計算しなくてはなりません。

フリーランスなど、雇用関係にない相手が源泉徴収の対象となった場合は、以下のように算出します。

  • 支払金額が100万円以下:支払金額×10.21%
  • 支払金額が100万円超:(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円

参考:源泉徴収税額表|国税庁

自分で計算しようとすると、計算を間違えないか不安に感じる人もいるのではないでしょうか。

しかし、源泉徴収には自動計算ツールがあります。消費税額や収入を入力するだけで自動で計算してくれるため、非常に便利です。

次に、請求書を作成する手順も見ていきましょう。

まず、請求書にはフォーマットの指定がありません。そのため、必要事項さえ記載されていればどのような様式でも構わないということになります。

クライアントによっては書式の指定がある場合もあるため、指定がある際はそれに従いましょう。

請求書における必要事項とは、以下の4つです。

  • 請求者

名前だけでなく、住所や電話番号も記載しましょう。

  • 請求先

基本的にクライアントの会社名を記入しますが、担当者が確定している場合は担当者名も含めておくと良いでしょう。

  • 報酬額

請求する内容と単価を記入しましょう。

  • 支払期限

クライアントとの間で取り決めがある場合はそれに従います。指定がない場合は請求者側が決めることになりますが、勝手に決めることは避け、取引先に確認することをおすすめします。

請求書も自力で作成すると思いのほか大変ですが、無料で利用できる請求書作成サービスがあるため、ぜひ活用してみてください。

フリーランスが注意したい源泉徴収3つのポイント

最後に、フリーランスが注意しておきたい源泉徴収の3つのポイントについて見ていきましょう。

  • 復興特別所得税が含まれる
  • 請求書の消費税は別にする必要あり
  • 確定申告は必要

それぞれ詳しく解説します。

復興特別所得税が含まれる

源泉徴収の計算方法を紹介する際、税率は10.21%となっていましたが、実は本来の税率は10%です。

税率が10.21%となっているのは「復興特別所得税」が関係しています。

復興特別所得税は、東日本大震災の復興支援を目的として納付が義務付けられているものです。

通常の税額に2.1%を掛けた金額が復興特別所得税となるため、現在の源泉徴収の税額は10.21%となっています。

復興特別所得税は期間が定められており、2013年から2037年までが復興特別所得税の施行期間です。

また、所得税額が0円の場合は課税対象とはなりません。具体的には、年収が103万円以下の人がこれに該当します。

なお、法人を対象とした「復興特別法人税」も復興特別所得税とともに施行されましたが、こちらは2014年に廃止済みです。

請求書の消費税は別にする必要あり

源泉徴収を自分で計算する際は、消費税に注意する必要があります。

報酬が税込なのか税抜きなのかで源泉徴収の対象となる部分が異なるためです。

具体的には、報酬が税込なら消費税を含めた金額が対象となり、税抜きなら報酬部分のみが対象となります。

消費税を別にすることで、納税額に変化が生じることはありません。多く支払っていた場合、少なく支払っていた場合いずれにおいても確定申告で再計算されるためです。

しかし、手取りを出来るだけ増やしたい場合は別です。報酬と消費税を分けて記載することで、報酬のみが対象となるため、源泉徴収額を抑えることができます。

確定申告は必要

フリーランスが避けて通ることはできない確定申告ですが、確定申告の際に源泉徴収額の申告を必ず忘れないようにしましょう。

確定申告では、収入や控除などさまざまな要素が合わさることで税額が算出されます。

源泉徴収額もさまざまな要素の中に含まれており、源泉徴収額は予定納税額から差し引かれるため、源泉徴収の申告を忘れると、源泉徴収額を二重に払うことになってしまいます。

反対に源泉徴収額を多く支払っていた場合はその分が還付されるため、源泉徴収額の申告にはメリットばかりです。

納税額に直結する重要な要素であるため、源泉徴収に関する知識を持つことはフリーランスにとって必須事項といえるでしょう。

まとめ

今回は、源泉徴収の基礎知識と、フリーランスが知っておきたい源泉徴収のポイントについて解説しました。

フリーランスである限り、確定申告や源泉徴収から目を背けることはできません。

源泉徴収の仕組みを正しく理解し、納税に不備がないようにしましょう。

今回解説した内容が、確定申告する際の参考になれば幸いです。

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