フリーランスは請求書発行をする必要はある?発行する方法や無料テンプレートも紹介
フリーランスは請求書発行をする必要はある?発行する方法や無料テンプレートも紹介
通常の会社員であればあまり作成する機会のない請求書ですが、フリーランスは請求書を自分で作成しなければならない機会が多くあります。
しかし、請求書に関する知識が浅く、請求書の書き方があまりよくわからないフリーランスも多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、フリーランスの請求書について、請求書を発行するタイミングや盛り込むべき内容、おすすめのテンプレートを紹介します。
目次
フリーランスが請求書発行をする必要があるのか?
フリーランスであっても、基本的に請求書は発行する必要があります。
しかし、請求書の発行は法律で義務付けられているわけではありません。
では、なぜ請求書の発行が必要なのでしょうか。
請求書とは、仕事で発生した報酬を請求するための書類のことになります。企業とフリーランスとの間で取引が行われたことの証明となるため、支払いに関してお互いの食い違いが生じることを未然に防止することが可能です。
さらに、請求書を発行し管理することで項目や取引先、金額など収支に関する情報を整理でき、正確に帳簿管理や税務処理ができるようになるのもメリットと言えるでしょう。
また、請求書には保存義務があります。保存期間は法人が7年間、個人事業主は5年間です。
請求書を受け取ったら、支払いが終わるまでは支払い済みの請求書とは分けて保管しておきましょう。一緒に管理してしまうと、どの請求書が支払い済みのものなのかがわかりづらくなってしまいます。請求書を保存する際は、確認がしやすいように月別、もしくは取引先別に管理することがおすすめです。
フリーランスが請求書発行をするタイミング
フリーランスが請求書発行をするタイミングは以下の2つです。
・月に一度
・都度発行
それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。
月に一度
請求書を月に一度発行するパターンは「掛売方式」と呼ばれています。
1ヶ月単位で請求書発行をするため、締日を決め、毎月同じタイミングで発行するのが基本です。
毎月取引がある場合、もしくは取引先と十分な信頼関係が築けているなら掛売方式がよいでしょう。
納品と同時に報酬が支払われるわけではないため、信頼関係が重要となります。
また、事務処理が月に一度で済むため、事務作業の負担軽減にもつながるでしょう。
都度発行
都度発行は、取引が発生するたびに請求書を発行します。「都度方式」とも呼ばれており、新規の取引先や、突発的な案件で用いられることが多い方式です。
資金繰りがしやすいというメリットがありますが、請求書を取引ごとに毎回発行しなければならないため、掛売方式より時間や手間がかかってしまいます。
フリーランスが請求書に盛り込むべき内容
フリーランスが請求書に盛り込むべき内容は以下のようになっています。
- 宛先(請求先)
- 請求者(差出人)名
- 請求書の通し番号
- 請求日支払(入金)期限
- 品番
- 品目
- 単価
- 数量
- 概要(備考)
- 消費税額
- 源泉徴収税額
- 請求金額
- 振込先
- 備考
それぞれ順番に見ていきましょう。
宛先(請求先)
請求先の会社名や事業部名を記載しましょう。担当者の個人名が分かっている場合はそれも記載します。
また、敬称には注意が必要です。会社や事業部なら「御中」、個人名なら「様」となります。
他にも、会社名は正式名称で記載するのが基本です。たとえば「〇〇株式会社」を「〇〇(株)」などのように省略してはいけません。
請求者(差出人)名
請求者名として、自身の氏名を記載しましょう。氏名だけでなく、住所や連絡先も記載するのが一般的です。
屋号がある場合は屋号を記載するとよいでしょう。請求者名は個人名でも屋号でも問題ありませんが、屋号を取得していることは企業からの信用につながります。
押印は義務ではありませんが、丁寧な印象を相手に与えるため、基本的には押印したほうがよいでしょう。
印鑑の種類にも特に決まりはありません。企業なら角印が一般的ですが、フリーランスで角印を持っている方は少ないため、シャチハタでも問題ありません。
屋号がある場合は専用の印鑑を作成してみてもよいでしょう。
請求書の通し番号
請求書には、通し番号として請求者番号を記載することがおすすめです。
通し番号の記載は義務ではありませんが、番号を付けることで請求書の確認作業が容易となり、請求先との手続きをスムーズにおこなえます。
番号の付け方に決まりはありませんが、毎回ランダムな数字を使うのではなく、後で請求書の検索、確認がしやすいように、自分なりの基準を定めて番号を付けるようにしましょう。
請求日・支払(入金)期限
請求書の支払期限は、月末締め翌月末払いが一般的です。しかし、取引先によっては支払期限が任意となっている場合もあるでしょう。
支払期日に関して、「下請代金支払遅延等防止法」では「下請代金の支払期日について、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から60日以内で、かつ出来る限り短い期間内に定める」とされています。
以上も参考にしながら支払期限を決めましょう。
支払期限を過ぎても支払われない場合は、取引先に支払いがされていないことを伝える必要があります。
多くの場合は支払いを忘れているだけなので、取引先に連絡することで対応してくれるはずです。
また、請求書の有効期限は2年間とされています。支払われていない報酬がある場合、2年を過ぎてしまうと請求は無効となってしまうため注意しましょう。
内容証明をすることで、有効期限をさらに半年間延ばすことはできますが、基本的には有効期限を気にすることがないよう、請求書をしっかり管理することをおすすめします。
なお、支払期限は西暦でも和暦でもどちらでも構いません。
品番
1枚の請求書で複数の品目がある場合は、通し番号として品番を記載しましょう。
品目
品目には、請求する内容を記載することになります。品目の書き方に決まりはないため、双方が理解できるようなものであれば問題ありません。
ただし、基本的には一目でどのような内容なのかわかるように記載するべきでしょう。
たとえば「記事執筆料」や「ホームページ作成費用」などです。
取引先から品目の内容を指定される場合もあるため、その際は取引先の指示に従ってください。
単価
品目の単価を記載しましょう。基本的には成果物ごとに単価を記載すれば問題ありませんが、エンジニアやデザイナーの場合は、工程ごとにわけて単価を記載することもあります。
数量
それぞれの品目の数量を記載しましょう。ライターの場合、単価を文字単価、数量を文字数として記載することもあります。
概要(備考)
品目に補足したい内容がある場合は、概要欄に記入しましょう。
消費税額
まず前提として、フリーランスは取引先に消費税を請求することができます。
そのため、取引先と取り決めた報酬額が税込なのか税抜きなのかは明確にすることが必要です。
たとえば報酬が50,000円だった場合、税込で50,000円と税抜きで50,000円とでは受け取る金額に大きな差が発生してしまいます。
消費税について、双方の認識がずれていると後々トラブルとなってしまう可能性もあるため、必ず明確にしておきましょう。
消費税額は、基本的に報酬額とわけて記載します。報酬の小計額をまず記載し、その下に消費税額を記載するのが一般的です。
源泉徴収税額
源泉徴収税額の記載は、請求書において必須ではありません。しかし、報酬が源泉徴収の対象となる場合は、基本的に記載するようにしましょう。
源泉徴収税額を記載しなかったことにより、本来源泉徴収の対象となるにも関わらず、取引先が源泉徴収するのを忘れてしまうことを防ぐためです。
源泉徴収税額を記載するには、源泉徴収税額の計算方法を知っておく必要があります。
源泉徴収税額の計算方法は以下の通りです。
報酬額が100万円以下の場合:源泉徴収税額=報酬額×10.21%
報酬額が100万円を超える場合:源泉徴収税額=(報酬額-100万円)×20.42%+102,100円
源泉徴収税額は基本的には消費税を含めた金額で計算します。しかし、報酬額と消費税額がわけて記載されている場合は、報酬額のみ対象として源泉徴収税額を計算することが可能です。
参考:源泉徴収税額表|国税庁
請求金額
請求金額は、報酬額・消費税額・源泉徴収税額を踏まえて計算することになります。
具体的な計算方法は以下の通りです。
報酬額が税込の場合:請求金額=報酬額-源泉徴収税額
報酬額が税抜の場合:請求金額=(報酬額+消費税額)-源泉徴収税額
振込先
振込先は、取引先の担当者がわかりやすいよう、正確な情報を記載しましょう。
具体的には「金融機関名」「支店名」「口座種別」「口座番号」「口座名義」などです。
振込手数料は基本的には受け取り側が負担します。
備考
備考欄には、振込の際の補足的な情報を記載しましょう。
振込手数料を取引先に負担してもらいたい場合や、支払い方法を変更したい場合など、取引先に伝えたいことがある際に活用してください。
請求書発行の際のおすすめテンプレート
最後に、請求書発行の際のおすすめテンプレートを2つ紹介します。
なお、請求書に関連する制度として、2023年10月より「インボイス制度」が導入されます。
インボイス制度は、インボイス(適格請求書)を交付することで、仕入れ税額控除が受けられる制度です。
インボイスを発行するには、「適格請求書発行事業者」になる必要があります。課税事業者なら適格請求書発行事業者の申請をするだけで完了しますが、免税事業者はまずは課税事業者になる必要があります。
インボイス制度が始まると、インボイス制度に対応する場合はテンプレートも適格請求書のものとなるため注意しましょう。
従来の請求書と比較して、税率ごとの税額や登録番号といった項目の明記が義務付けられます。
今回紹介するおすすめテンプレートは以下の2つです。
- bizocean「書式の王様」
- みんエク!「みんなのEXCELテンプレート」
bizocean「書式の王様」
bizocean「書式の王様」は、国内最大級の書式テンプレート数を誇るサイトです。
ビジネステンプレート、雛型などを一から作る必要はなく、書式の書き方や文例も非常に充実しています。
請求書のテンプレートは500以上の種類があり、大抵のテンプレートは無料でダウンロードできるため、好みのテンプレートが見つかる可能性は非常に高いでしょう。
インボイス制度に対応したテンプレートも既に存在しているため、インボイス制度に対応する際も安心です。
また、サイトの「お役立ち資料」内にはインボイス制度を解説したコンテンツもあります。ダウンロードには無料の会員登録が必要ですが、インボイス制度導入に向けて、インボイス制度の理解を深めておきたい方におすすめです。
みんエク!「みんなのEXCELテンプレート」
みんエク!「みんなのEXCELテンプレート」は、会員登録不要で、全てのテンプレートを無料でダウンロードすることができます。
効率化を突き詰めた、シンプルながら使いやすいテンプレートが多く、単価や数量を入力することで小計などが自動的に入力されるよう、EXCEL関数が埋め込まれたテンプレートもあるため、非常に使いやすいです。
経理の場面で使う書類のテンプレートが一通り揃っているため、さまざまな場面で活用していくことができるでしょう。
テンプレートリクエストを募集しているため、ユーザーの意見が反映されたテンプレートが今後もさらに追加されていくと予想されます。
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まとめ
今回の記事では、フリーランスの請求書について、請求書を発行するタイミングや盛り込むべき内容、おすすめのテンプレートを紹介しました。
請求書は書き方が決まっているわけではありませんが、盛り込むべき内容自体は多岐に渡ります。
2023年からはインボイス制度が導入されるため、今後はインボイス制度に関する知識も求められるでしょう。
しかし、請求書のテンプレート自体は充実しているため、テンプレートを活用すれば基本的には問題ありません。
今回紹介した内容やテンプレートを、請求書を作成する際にぜひ活用してみてください。
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