フリーランスの請求書の作成方法!記載項目やインボイス対応についても解説

個人事業主やフリーランスの場合、報酬が発生したら請求書を取引先に送付する必要があります。しかし、一般企業が発行する請求書と異なる部分も多く、さまざまな点に注意しながら発行しなければなりません。

とはいえ、これまで自分で請求書を発行したことがなく、どのような方法で作成すればよいかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、フリーランスとして独立したばかりの方向けに、請求書の作成方法について解説します。2023年9月に始まったインボイス制度に対応した請求書の作成方法も併せて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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フリーランスに請求書の発行義務はないが保存義務はある

フリーランスには、請求書の発行義務はありませんが、請求書の「保存義務」があります。取引先であるクライアントに対して請求書を送付したらそれで終わりではなく、自分自身も請求書を保存しなければなりません。

請求書の保存期間は原則として「5年間」です。ただしこの期間は、請求書を発行してから5年間ではなく、事業年度が終わり確定申告を出してからの5年間であることに注意しましょう。

請求書の保存義務に加え、確定申告時に帳簿を保存する必要もあります。帳簿の保存期間は「7年間」で、請求書と同様なくなさないように保存してください。

課税事業者のフリーランスはインボイス対応の請求書が必要

2023年10月より、インボイス制度が開始されました。インボイス制度は、正式には「適格請求書等保存方式」といい、請求書に関する新しい法制度を指します。非課税事業者は従来の請求書をそのまま使用できますが、課税事業者に登録したフリーランスはインボイス対応の請求書が必要です。

インボイス制度に対応した請求書とは、「適格請求書」と呼ばれる、国が定めた統一の請求書のことで、さまざまなルールに基づいて作成します。フリーランスは、「課税事業者」と「非課税事業者」に分かれますが、前者の場合は適格請求書を使い請求書を発行・保管しなければなりません。

インボイス制度に対応した適格請求書を作成する際には、必要な項目が増えます。詳細は後述するので、併せて確認しましょう。

フリーランスが請求書発行をするタイミングは2パターン

フリーランスが請求書発行をするタイミングは以下の2つです。

  • 月に一度
  • 都度発行

それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

月に一度

請求書を月に一度発行するパターンは「掛売方式」と呼ばれています。

1ヶ月単位で請求書発行をするため、締日を決め、毎月同じタイミングで発行するのが基本です。毎月取引がある場合、もしくは取引先と十分な信頼関係が築けているなら掛売方式がよいでしょう。

納品と同時に報酬が支払われるわけではないため、信頼関係が重要となります。また、事務処理が月に一度で済むため、事務作業の負担軽減にもつながるでしょう。

都度発行

都度発行は、取引が発生するたびに請求書を発行します。「都度方式」とも呼ばれており、新規の取引先や、突発的な案件で用いられることが多い方式です。

資金繰りがしやすいというメリットがありますが、請求書を取引ごとに毎回発行しなければならないため、掛売方式より時間や手間がかかってしまいます。

フリーランスが請求書に記載する項目

フリーランスが請求書を発行する際には、複数の項目について記載が求められます。通常の請求書であれば、法的に決まったフォーマットはとくにありません。しかし、あとで振り返ったときに、どのような請求内容であるかわかるようにしておきましょう。

また、インボイス制度に対応した適格請求書を使う場合は、別途追加で記載する項目があるので注意が必要です。一般的な項目に加えて、適格請求書で必須の記載項目についても把握しておきましょう。

一般的な項目

請求書における一般的な項目としては、請求先や請求者の氏名、請求日、品目、価格、数量、消費税額などが挙げられます。請求書を作成する際に記入する必要があるため、1つ1つ丁寧に確認しましょう。

宛先(請求先)

請求先の会社名や事業部名を記載しましょう。担当者の個人名が分かっている場合はそれも記載します。

また、敬称には注意が必要です。会社や事業部なら「御中」、個人名なら「様」となります。

他にも、会社名は正式名称で記載するのが基本です。たとえば「〇〇株式会社」を「〇〇(株)」などのように省略してはいけません。

請求者(差出人)名

請求者名として、自身の氏名を記載しましょう。氏名だけでなく、住所や連絡先も記載するのが一般的です。

屋号がある場合は屋号を記載するとよいでしょう。請求者名は個人名でも屋号でも問題ありませんが、屋号を取得していることは企業からの信用につながります。

押印は義務ではありませんが、丁寧な印象を相手に与えるため、基本的には押印したほうがよいでしょう。

印鑑の種類にも特に決まりはありません。企業なら角印が一般的ですが、フリーランスで角印を持っている方は少ないため、シャチハタでも問題ありません。

屋号がある場合は専用の印鑑を作成してみてもよいでしょう。

請求書の通し番号

請求書には、通し番号として請求者番号を記載することがおすすめです。

通し番号の記載は義務ではありませんが、番号を付けることで請求書の確認作業が容易となり、請求先との手続きをスムーズにおこなえます。

番号の付け方に決まりはありませんが、毎回ランダムな数字を使うのではなく、後で請求書の検索、確認がしやすいように、自分なりの基準を定めて番号を付けるようにしましょう。

請求日・支払(入金)期限

請求書の支払期限は、月末締め翌月末払いが一般的です。しかし、取引先によっては支払期限が任意となっている場合もあるでしょう。

支払期日に関して、「下請代金支払遅延等防止法」では「下請代金の支払期日について、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から60日以内で、かつ出来る限り短い期間内に定める」とされています。

以上も参考にしながら支払期限を決めましょう。支払期限を過ぎても支払われない場合は、取引先に支払いがされていないことを伝える必要があります。

多くの場合は支払いを忘れているだけなので、取引先に連絡することで対応してくれるはずです。

また、請求書の有効期限は2年間とされています。支払われていない報酬がある場合、2年を過ぎてしまうと請求は無効となってしまうため注意しましょう。

内容証明をすることで、有効期限をさらに半年間延ばすことはできますが、基本的には有効期限を気にすることがないよう、請求書をしっかり管理することをおすすめします。

なお、支払期限は西暦でも和暦でもどちらでも構いません。

品番

1枚の請求書で複数の品目がある場合は、通し番号として品番を記載しましょう。

品目

品目には、請求する内容を記載することになります。品目の書き方に決まりはないため、双方が理解できるようなものであれば問題ありません。

ただし、基本的には一目でどのような内容なのかわかるように記載するべきでしょう。たとえば「記事執筆料」や「ホームページ作成費用」などです。

取引先から品目の内容を指定される場合もあるため、その際は取引先の指示に従ってください。

単価

品目の単価を記載しましょう。基本的には成果物ごとに単価を記載すれば問題ありませんが、エンジニアやデザイナーの場合は、工程ごとにわけて単価を記載することもあります。

数量

それぞれの品目の数量を記載しましょう。ライターの場合、単価を文字単価、数量を文字数として記載することもあります。

概要(備考)

品目に補足したい内容がある場合は、概要欄に記入しましょう。

消費税額

まず前提として、フリーランスは取引先に消費税を請求することができます。そのため、取引先と取り決めた報酬額が税込なのか税抜きなのかは明確にすることが必要です。

たとえば報酬が50,000円だった場合、税込で50,000円と税抜きで50,000円とでは受け取る金額に大きな差が発生してしまいます。

消費税について、双方の認識がずれていると後々トラブルとなってしまう可能性もあるため、必ず明確にしておきましょう。

消費税額は、基本的に報酬額とわけて記載します。報酬の小計額をまず記載し、その下に消費税額を記載するのが一般的です。

源泉徴収税額

源泉徴収税額の記載は、請求書において必須ではありません。しかし、報酬が源泉徴収の対象となる場合は、基本的に記載するようにしましょう。

源泉徴収税額を記載しなかったことにより、本来源泉徴収の対象となるにも関わらず、取引先が源泉徴収するのを忘れてしまうことを防ぐためです。源泉徴収税額を記載するには、源泉徴収税額の計算方法を知っておく必要があります。

源泉徴収税額の計算方法は以下の通りです。

  • 報酬額が100万円以下の場合:源泉徴収税額=報酬額×10.21%
  • 報酬額が100万円を超える場合:源泉徴収税額=(報酬額-100万円)×20.42%+102,100円

源泉徴収税額は基本的には消費税を含めた金額で計算します。しかし、報酬額と消費税額がわけて記載されている場合は、報酬額のみ対象として源泉徴収税額を計算することが可能です。

参考:源泉徴収税額表|国税庁

請求金額

請求金額は、報酬額・消費税額・源泉徴収税額を踏まえて計算することになります。

具体的な計算方法は以下の通りです。

  • 報酬額が税込の場合:請求金額=報酬額-源泉徴収税額
  • 報酬額が税抜の場合:請求金額=(報酬額+消費税額)-源泉徴収税額

振込先

振込先は、取引先の担当者がわかりやすいよう、正確な情報を記載しましょう。具体的には「金融機関名」「支店名」「口座種別」「口座番号」「口座名義」などです。振込手数料は基本的には受け取り側が負担します。

備考

備考欄には、振込の際の補足的な情報を記載しましょう。

振込手数料を取引先に負担してもらいたい場合や、支払い方法を変更したい場合など、取引先に伝えたいことがある際に活用してください。

インボイス対応の請求書に追加で記載する項目

インボイス制度に対応した適格請求書を使用する場合、一般的な請求書とは別に、追加で記載が必要な項目があります。

ここでは、以下3つの項目について解説します。

  • 登録番号
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額など

どのように記載するか、確認してみてください。

登録番号

インボイス制度対応の適格請求書には、事業者に発行された登録番号を記載します。登録番号は「T + 13桁の番号」であり、フリーランスである個人事業主には、法人番号と重複しない数字が登録者ごとに定められています。

登録をしたはずなのにわからない…という場合は、税務署に確認してください。e-Taxであれば、「通知書等一覧」に格納されています。

登録番号は、発行事業者名または商号の下に記載するのが一般的です。適格請求書を発行するたびに登録番号を記載する必要があるので、忘れないようにしましょう。

参考:適格請求書等保存方式の概要|国税庁

税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率

税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率も記載しなければなりません。現在、税率としては「標準税率10%」「軽減税率8%」の2パターンがありますが、各税率を区分した上で、合計の取引額・適用税率を記載します。

なお、取引金額については、税抜価格・税込価格のどちらでも可能であるとされています。

参考:適格請求書等保存方式の概要|国税庁

税率ごとに区分した消費税額など

3つ目は、税率ごとに区分した消費税額です。上記と同様、「標準税率10%」と「軽減税率8%」を区分けし、各税率における合計の消費税額を記載します。

たとえば、標準税率10%の税込金額が22,000円の場合、標準税率分の消費税額は2,000円となります。また、軽減税率8%の税込金額が40,000円の場合、軽減税率文の消費税額は3,200円です。

【税率ごとに区分した消費税額の記載例】

  • 標準税率10%(税込金額が20,000円の場合):消費税額2,000円
  • 軽減税率8%(税込金額が40,000円の場合):消費税額3,200円

このように、各税率に分けて、それぞれの合計消費税額を記載してください。

参考:適格請求書等保存方式の概要|国税庁

フリーランスが請求書を作成する方法

フリーランスが請求書を作成する場合、基本的には、有料サービスと無料テンプレートの2種類から選択することとなります。

  • クラウドサービスや会計ソフト
  • WordやExcelのテンプレート

それぞれの方法に関する特徴や、作成時の注意点を見ていきましょう。

クラウドサービスや会計ソフトを活用して作成する

フリーランスが請求書を発行する方法として、クラウドサービスや会計ソフトが挙げられます。クラウドサービスや会計ソフトは、あらかじめ用意されているフォームに請求先や、金額、品名などを入力するだけで、請求書を作成可能です。

メールでそのまま送れる機能やリマインド機能といった便利な機能を搭載したサービスも多く、利便性を重視する方におすすめです。

ただし、サービスや機能ごとに費用が発生するため、予算に応じて活用しましょう。

下記に、おすすめのクラウド請求書サービスをご紹介します。

マネーフォワードが提供する「クラウド請求書」は、クラウド会計ソフトの「マネーフォワードクラウド」と連携して使える、請求書作成サービスです。ワンクリックで請求書をメールに添付したり、入金状況をステータス化してチェックしたり、といった便利な機能があります。

「Misoca」は、確定申告サービスでおなじみの「弥生」が提供する、請求書作成ソフトです。弥生シリーズとの連携が可能なほか、請求書作成や郵送業務もワンクリックでおこなえます。テンプレートも複数用意されており、シチュエーションに応じてさまざまな請求書を選べるのがポイントです。

「freee請求書」は、クラウド会計ソフトシリーズ「freee」の請求書専用サービスです。スマホアプリをダウンロードすることで、ちょっとした隙間時間を活用し簡単に請求書を作成できます。同シリーズには、会計ソフトや、確定申告、電子契約サービスなどがあるので、各サービス間で連携したい場合にもおすすめです。

テンプレートを使用してWordやExcelで作成する

WordやExcelのテンプレートを使用することでも、請求書を作成できます。WordやExcelは基本的に無料で使用可能なため、なるべくコストをかけずに請求書を作成したい方におすすめです。入力項目はテンプレートとしてあらかじめ記載されているので、手間をかけずに請求書を作成できます。

一方で、請求書の管理が煩雑になる可能性があります。請求書ソフトではクラウド上ですべての請求書の管理や入金ステータスを確認できますが、テンプレートを使用する場合は自身で管理しなければなりません。

フリーランスにおすすめの請求書テンプレート(無料)

固定費をなるべく削減したい方は、無料の請求書テンプレートを活用してみてください。入力項目がすでに記載されているので、そのまま該当部分を入力するだけで請求書として利用できます。

無料で利用可能な3つの請求書テンプレートをご紹介します。

  • bizocean「書式の王様」
  • みんエク!「みんなのEXCELテンプレート」
  • マネーフォワード クラウド請求書「請求書テンプレート」

bizocean「書式の王様」

bizocean「書式の王様」は、国内最大級の書式テンプレート数を誇るサイトです。

ビジネステンプレート、雛型などを一から作る必要はなく、書式の書き方や文例も非常に充実しています。

請求書のテンプレートは500以上の種類があり、大抵のテンプレートは無料でダウンロードできるため、好みのテンプレートが見つかる可能性は非常に高いでしょう。

インボイス制度に対応したテンプレートも既に存在しているため、インボイス制度に対応する際も安心です。

また、サイトの「お役立ち資料」内にはインボイス制度を解説したコンテンツもあります。ダウンロードには無料の会員登録が必要ですが、インボイス制度導入に向けて、インボイス制度の理解を深めておきたい方におすすめです。

参考:bizocean「書式の王様」公式

みんエク!「みんなのEXCELテンプレート」

みんエク!「みんなのEXCELテンプレート」は、会員登録不要で、全てのテンプレートを無料でダウンロードすることができます。

効率化を突き詰めた、シンプルながら使いやすいテンプレートが多く、単価や数量を入力することで小計などが自動的に入力されるよう、EXCEL関数が埋め込まれたテンプレートもあるため、非常に使いやすいです。

経理の場面で使う書類のテンプレートが一通り揃っているため、さまざまな場面で活用していくことができるでしょう。

テンプレートリクエストを募集しているため、ユーザーの意見が反映されたテンプレートが今後もさらに追加されていくと予想されます。

参考:みんエク!「みんなのEXCELテンプレート」公式

まとめ

今回の記事では、フリーランスの請求書について、請求書を発行するタイミングや盛り込むべき内容、おすすめのテンプレートを紹介しました。

請求書は書き方が決まっているわけではありませんが、盛り込むべき内容自体は多岐に渡ります。

2023年からはインボイス制度が導入されるため、今後はインボイス制度に関する知識も求められるでしょう。

しかし、請求書のテンプレート自体は充実しているため、テンプレートを活用すれば基本的には問題ありません。

今回紹介した内容やテンプレートを、請求書を作成する際にぜひ活用してみてください。

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