SREエンジニアが考えるキャリアの築き方


Intoroduction

エンジニア目線で案件を分析し、フリーランスエンジニアに適正な価格で「いい案件」を紹介する Relance(リランス)です。
今回もRelanceとパートナーシップを結ぶエンジニア、鈴木さん(30 代男性)と、弊社Relance事業部長「斎藤」の対談をインタビュー形式で掲載します。

オンプレミスからクラウドを経験され、現在はAWSを軸に様々なスキルや運用ノウハウに強みをもつ鈴木さん。

今回は……
・フリーランスSREエンジニアになった経緯、やりがい
・エンジニアとしてのキャリアの築き方

を中心にお話ししていただきました。
SREエンジニアへのインタビューは今回が2回目です。ぜひ併せて御覧ください。
(前回はこちら:前編後編

鈴木さん
フリーランス歴 8年
【経歴】
大学の理工学部を卒業後、新卒ではメーカーのSI企業に就職。アプリケーションの運用(ソフトウェア)を主に行い、2社目のSES企業にて初めてクラウド(AWS)に出会う。現在はフリーランスとして8年目になるが、アプリケーションの運用に携わってきたため、運用効率化を見据えたスクリプトや資料の作成、提案を始め、AWSを使ったインフラの設計・構築・運用、さらにはそれを使って何が出来るか?などの提案力にも強みを持ちながら日々フリーランスとしてご活躍中。

スキルを伸ばしたい!
~AWSとの出会いからフリーランスへ~

Relanceには2021年の9月にご登録いただき、現在までSREエンジニアとして2年近く案件に参画いただいております。まずは現在までの経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。

鈴木さん:大学では理工学部に進学しましたが、ソフトウェア系ではなく、電子工学科で半導体の研究をメインに行っていました。幼いころから、他の人よりも早くパソコンを使う機会があったことから、漠然とIT系に就職したいという気持ちがあったので、新卒でメーカー系SI企業に入社しました。

斎藤:工学系の学科出身だったんですね。1社目の会社ではソフトウェアエンジニアになられたのですか?

鈴木さん:実はソフトウェアというより、アプリケーションの保守・運用がメインの業務でした。ユーザー系システム子会社という形で、親会社がグループ会社向けに使用するアプリ運用がメイン業務でした。
しかしソフトウェアエンジニアとして技術を身に着けたいと思う気持ちが強く、2社目はSESの会社に入社しました。その時出会ったのがAWSですね。案件で偶然出会ったのですが、AWSに触れたのは衝撃的な出会いでした。

斎藤:鈴木さんの生業の軸となるAWS、クラウドとの出会いがあったんですね。どんなところに魅力を感じましたか?

鈴木さん:サーバーを扱うのにも関わらず、現地に行かずに画面上で完結するという効率の良さに驚きました。AWSが流行り始める前、2013年だったと思うのですが、それまでオンプレの環境で、データセンターに行ったりしていた時代で、サーバー周りを扱うならこのような業務に携わっていかなければならないと思っていましたが、それがクラウド上で完結出来る…革命だったと思います。
サーバー運用のやり方が変わることや、合わせて転職後、最初に携わったAWSのPJのエンドが某大手企業であったこともあり普及を確信しました。

斎藤:運命的な出会いだったんですね。確かにそのあとのご経歴はほとんどAWSの案件ですね。ちなみに他SESの会社だと会社の状況などにより案件が変わることもあると思うので、どうしても狙った経験を積むことが大変なのではと思いますが、いかがですか?

鈴木さん:まさに、案件をフレキシブルに選べないというジレンマがありました。
感銘を受けた技術に触れたいのですが、私の所属していた会社では私が思い描いたようにスキルセットを広げていけるような案件がそんなにあるわけではなく、また希望とは関係なしに会社側の都合が案件選択に影響することもあり、自分のスキルを広げていけないという悩みがありました。
当時、様々な可能性を探っていたので、独自でアプリケーション開発案件への平行稼働にも挑戦してみたのですが、そもそも並行稼働することに挫折してしまいました。

斎藤:並行稼働は大変だとフリーランスの方でおっしゃる方は本当に多いですね。案件数が3件あったら単純に0.3、0.3、0.3全部足して0.9ではなく、結果、1人月以上の工数がかかると言いますね。環境の違いのキャッチアップだったり、脳の切り替えにも時間がかかるので単純にはいかないと思います。

鈴木さん:はい、工数以上の負荷がかかりました。仕事を切り替える時に前の案件のことが頭に残ってしまったり、当時の自分にとっては難しかったです。その時の失敗から学んだこともあり、いろんな案件をがむしゃらにこなすのではなく、案件選びに軸を置こうと思い、一番感銘を受けたAWSを使ったインフラの案件を中心に携わっていくことに決めました。

斎藤:なるほど。その会社の直後に、フリーランスとして独立されたと思うのですが、きっかけや迷いなどはありましたか?

鈴木さん:実はフリーランスになったのは、偶然正社員と業務委託の求人をどちらも扱っているエージェントに紹介していただいた案件が業務委託だったので、2016年にそのまま独立したのがきっかけです。振り返ってみると、2014年頃に参画した案件で、独立して業務委託で参画している人を何人も見たので、そういった働き方があるということは何となく頭の中にはありました。もちろん、最初はフリーランスとして独立して案件が取れるのかという不安もあったのですが、探してみると意外に見つかったので、不安などは特に無かったですね。案件ベースで仕事をするという点においては、根本的にSESの会社でやっていることとあまり変わらないとも思いましたし・・・それよりも自分自身のスキルを向上させていくことができる状態を作ることを最優先に考えていたと思います。

斎藤:確かにフリーランスという働き方は世間的にはメジャーでは無かったですが、2014年頃は、ITバブルで大手企業が一斉に業務委託を好条件で大量採用した時代でしたね。身近にそういった雇用形態で働いてる方が大勢いらっしゃるというのは大きいですね。

いつの間にかSREエンジニアに
~言葉が先?自分が先?シンクロした出会い~

AWSとの出会いやフリーランスになったきっかけはお伺いできましたが、SREエンジニアになられたのはいつ頃ですか?

鈴木さん:・・・というと、いつの間にかSRE業務をやっていたというのが答えです(笑)

斎藤:クラウドを触っている方に多いですね(笑)。インフラの業務を担当していたら実はその目的一つ一つがSREに繋がっていたなんてことはよく聞く話です。

鈴木さん:はい、確かSREという概念の提唱が世間でも徐々に普及してきたのが2017年頃の話だと思うのですが、それくらいの時期に、フリーランスでたまたま参画した案件で、チームごとに職責を分けて業務をするというやり方をされている企業さんがいらっしゃったのですが、障害がとにかく多かったんです。その際に、インフラは特にベースとなる職責以外の周辺のことに手を出さないと、課題の根本的解決ができないということが多いことに気付きました。自分のコアとなるスキルは伸ばしてくのは当たり前なのですが、その周辺のスキル、Webアプリケーション周りや、ソフトウェアの知識もある程度積み上げていって、もちろん全部自分がカバーするというのは難しいのですが、できることを増やしてチームの課題解決をしていきたいと思いました。
そこに、ちょうどSREという言葉が出てきて、まさに自分がやりたいことはこれだ!と思いました。

斎藤:出会うべくして出会ったみたいなお話しですね。そこからはSREエンジニアとしての案件に多く携わっているんですか?

鈴木さん:はい、とはいってもすぐにSREのポジションの業務がいきなり市場に溢れていた訳ではなく、市場の需要に応じて徐々に案件も増えていったという形なので、AWSとインフラを中心に扱う案件で経験を積み重ねながら出来ることを増やしていきました。明確にSREエンジニアというポジションで働き出したのは、2年後の2019年くらいからですね。
SRE自体がカバー範囲の広い業務なので、案件にもよるのですが、ある程度チームでロールは分かれているけれども、他の部分も見に行けるような、フレキシブルな環境の案件で業務ができたことでSREの経験を積むことができたと思っています。

斎藤:確かに鈴木さんがその頃に携わっている業務内容を拝見すると、結果的にSREと呼ばれる業務になりますね。改めてお伺いしますと、SREエンジニアのやりがいって何ですか??

鈴木さん:改善が形になることが楽しみですね。自分はモノ作りにはあまり興味がなくて、むしろ開発環境を整備したり、開発環境に貢献出来ることにやりがいを感じる方ですね。今まで、世の中で面白い事業やモノ作りをしているなという会社とはたくさん出会っているのですが、仮に自分がそういった事業の会社に入社しても自分が熱意を持って携われるのは2、3年くらいになると思うんです。自分の志向がモノ作りをするよりも、モノを作る人の夢を叶えたり、その環境の課題を見つけて価値貢献できることに喜びを感じますね。

斎藤:そのご志向そのものに、SRE業務の適正を感じますね。

継続こそキャリア形成の礎
~鈴木さん流キャリアを築く案件選び~

SREエンジニアとしての軌跡までをお伺いいたしましたが、今後のキャリアについてはどのようにお考えですか?

鈴木さん:キャリアについては軸を持つことが大事だと思っていて、自分の場合はこれからもAWSを軸にインフラの案件で周辺知識を身に付けていきたいなと思います。よく転職の面接で、5年後、10年後、どのようなことをしたいか聞かれるかと思うのですが、自分はそれはあまり考える意味がないと思っていて、5年も10年先は、想像しようにも想像し得ないと思います。なのである程度の方向性は決めて、細かくゴール設計をするというより、コアなスキルを持ちながら、周辺スキルを身に着けて行くやり方でやっていきたいです。といっても行き当たりばったりなんてこともありますが(笑)

斎藤:確かに5年たてば世界は変わっていますよね。職種関係無く、キャリア論としてそれは一理あると思います。ちなみに今後の人生で叶えたいこととかあるんですか?例えば早期リタイアしたいなど。

鈴木さん:頻度を減らすことはあるかもしれないですけど、新しいことを追っかけていくのが好きなので早期リタイアはないですね。今までと変わらない軸でやりたいことを増やしたいですね。

斎藤:なるほど。今新しいことをという言葉もありましたが、この目まぐるしい業界で新しいものを日々追いかけていくのって大変じゃないですか??

鈴木さん:もちろん大変です!でも大変なことってみんなが出来る訳ではないですよね。仮に最新情報が完璧に追えてないとしても対外的に強みとして認識されている領域を持っておけば、それが他人との差であり提供できる価値になると思います。

斎藤:それこそ鈴木さんの考えるフリーランスエンジニアの生存戦略かもしれませんね。

鈴木さん::はい、自分にとってのゆるぎない強みを持っていた方が、他人から見て自分の強みが分かりやすいし、その方が案件が取りやすいので、立ち回りやすいというのもあります。

斎藤:それは大事ですね。「あの分野だったら鈴木さん」という風にクライアントに覚えていただけますよね。フリーランスのエンジニアが継続的に案件を繋いで生計を立てるには、営業要素として他者比較をしストロングポイントのアピールは欠かせないですね。

鈴木さん:はい、コアスキルだけで無く、何でもできるというのはもちろん理想ではあるのですが、人間には限界があります。一度に全てのことを出来るようにするのはとても難しく、あれこれ手を出すといわゆる器用貧乏になりやすいと思うんです。時折本当に全てのレベルが高い人を見ることがありますが、それは本当に限られた人だけですね…。なので軸を作ってから出来ることを増やしてく、案件をやりながらできることを増やしていくでも、全く遅くは無いと思います。

斎藤:なるほど、では軸を作るにはどんなことを心がけたら良いでしょうか?

鈴木さん:継続ですね。続けているだけでなんとなく分かっていくこともありますし、2、3年も続けていけば、最初は分からなかったことも簡単にできるようになってたりしますよね。それって全く何もやっていない人から見たら既に人と”差”を付けていると思うんです。
大学受験に例えると、ある一教科の偏差値70ってだいぶ大変ですけど、少し真面目に努力すれば偏差値60には到達すると思うんです。偏差値60って平均よりは上だと思う方が一般的かと思いますが、大分凄いものをイメージする方が多いかと思いますが、エンジニアの話で考えると、2、3年真面目にやっていればある領域で偏差値60になるのはそんなに難しい事ではないと思っています。何もやってない人よりちょっと頑張って、あるスキルの経験を積めば、少なくともそのスキルに関しては平均よりもちょっと上のスキルということで優位性が見出せるのではないかと思います。

斎藤:積み重ねられることを見つけるということも難しいですよね。

鈴木さん:そうですね、すぐ身につくようなものは他の人もすぐ身に付けられるのでそれほど優位にならず、時間や労力をかけて積み重ねたものは他の人が簡単に真似するのは難しいです。何を持って自分のスキルを価値提供できるかを考えた時に、平均より上回った価値を自分が提供できれば良いだけの話なので、継続は大事ですね。

斎藤:キャリアの話になると、やはりフリーランスの方にとってはエージェント選びや案件選びも重要になるのかなと思うのですが、鈴木さんはどのように案件を選んでいらっしゃいますか??

鈴木さん:先ほどの軸を持つ話と重複しますが、自分の専門分野を軸に案件選びは8割が実力のアウトプット+2割はチャレンジできる案件が理想だと思っています。エージェントに関しては、自分の場合は正直エージェントに多くは求めていないですね。ただ、お互いに信頼関係があってお互いWinWinに動けたらよいなと思っています。
フリーランスになりたての際は、今後はフリーランスで一人でやっていこうと思っていたので、正直自分のことしか考えておらず、、とにかくいろんな案件を高い単価で持って来て欲しい、としか考えていなかったのですが、今は協力できる部分は協力し合って助け合いたいと思うようになりました。

斎藤:その考えの変化はどう生まれたんでしょうか??

鈴木さん:そうですね、フリーランスをそこそこ長くやっている中で、自分一人でできることに限界があると感じるようになったんです。
というのも、複数の案件をこなしている中で、世の中に同じ課題を抱えている人や会社って多いなと気付きました。自分が関われば課題を解決できそうな案件なのに、自分の体が空いてなくて、見えている課題に対処できなくてもどかしい思いをすることが多々ありました。そういうご縁にも、以前、失敗した教訓を生かしてエージェントさんにも協力してもらいながらどうにかできるだけ多くのアプローチをしたいなと思います。いま現在、複数案件を行っているのもそのトライアルの一つで、協力できることがあれば協力したいという気持ちがあってチャレンジしています。もちろん大変ですけど(笑)

斎藤:キャリアを継続して積み上げていく中で、チームで動くことや誰かと仕事をすることの大事さを体感されたのですね。たしかに1人でできることって限界がありますよね。

斎藤:最後に、フリーランスになって良かったですか?

鈴木さん:良かったですね。もちろん時々、自分がうまく立ち回れているのか不安になることはあるのですが、私自身ある一つのプロジェクトをずっと続けるということはあまり性に合っておらず、できることが増えたりフェーズが変わってやることも変わったら別のプロジェクトを経験してスキルの幅を広げたいという思いが強かったものの、会社員だとそういった場合、往々にしてその会社自体を辞めなくてはならないのでフリーランスの立場で動き回りやすくなったのは良かったと思っています。
また、キャリアの悩みに関しては、正社員だったとしても自分のキャリアをどのような方向性にしていくか、というのを考えて動かなければいけないため、フリーランスでも正社員でもぶつかる壁はあまり変わらないのではないかと思います。

斎藤:ありがとうございます。できることを広げたいと試行錯誤しながら、8年間のフリーランス生活を経て、積み上げてきた今までの時間の重みを感じますね。
本日はインタビューにお答えいただきありがとうございました。

編集後記

今回は2回目のSREエンジニアインタビューということで鈴木さんにお話をお伺いしました。
改めて鈴木様と当初面談した際のメモを振り返ってみると、第一回の面談から、案件選びの軸が”自分の持っている能力のアウトプットをしっかり出せる案件”とおっしゃっており、振り返るとAWS+インフラ回りという専門分野だけでなく1社目から自分のスキルを広げたい、というご自身の志向にも一貫した軸があるこことに気付きました。キャリア形成の上での”継続”というキーワードもエンジニアだけでなくどの職種にも共通していることだと改めて感じました。
またこのインタビューの後、弊社にご登録頂いているエンジニアの懇談会があったのですが(懇談会の記事はこちら

「お酒とご飯をごちそうになってしまって、われわれだけ得してないですか?御社にとってメリットはありましたか」と終始お気遣い頂いており、フリーランスだから一人で何とか生きていく、というスタンスではなく、お互い協力し合って良いシナジーを生み出したいという鈴木さんの素敵なお人柄にも触れることができました。
フリーランスというと、一匹狼を貫いているというイメージをお持ちの企業の方もたくさんいらっしゃいますが、決してそんなことはなく、一人一人と話すと”協力・尊重”を体現されている方がたくさんいらっしゃいます。
フリーランスという職種全体のイメージについても啓蒙が必要だと思うインタビューでした。

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