ネットワークエンジニアの単価相場と高単価案件獲得のポイント

ネットワークエンジニアとして独立を考えていますか？案件を探す際に「この単価は適正なのか」「もっと高単価の案件を獲得できないか」と悩むことは多いものです。特に副業から独立へのステップを考えている方にとって、市場相場を知ることは非常に重要です。

本記事では、ネットワークエンジニア案件の平均単価や稼働日数の実態、高単価案件の特徴について詳しく解説します。さらに、高単価案件を獲得できるエンジニアの特徴や、ネットワーク業界の最新トレンドまで踏み込んでご紹介します。この情報を参考に、あなたのスキルや経験を最大限に活かせる案件を見つけ、キャリアアップや独立への道を切り拓きましょう。

ネットワークエンジニア案件の単価は約63万円

フリーランススタートの公開データによれば、ネットワークエンジニア案件の平均単価は63〜65万円となっています。一般的なネットワークエンジニア案件では60〜70万円が相場となっているのが現状です。同じインフラ系でもクラウドエンジニアの平均単価が70万円前後であることを考えると、やや低めの設定ですが、スキルや経験によっては80万円以上の高単価案件も十分に存在しています。

特に専門性の高い技術領域や、大規模プロジェクトの上流工程を担当できる場合は、平均を大きく上回る単価が期待できます。また、案件の単価は経験年数や保有資格、担当する役割によっても大きく変動します。市場価値を高めるためには、特定の技術領域での専門性を磨きながら、プロジェクトマネジメントやアーキテクチャ設計などの上流工程のスキルも身につけていくことが重要です。

参考：ネットワークエンジニアのフリーランス案件・求人 | フリーランススタート

ネットワークエンジニア案件の平均稼働日数は？

フリーランススタートが、2025年時点で公開している案件数の傾向によると、週の稼働日数別の案件数は以下のとおりです。

• 週5日: 809件 
• 週4日: 81件 
• 週3日: 66件 
• 週2日: 30件

この数字から明らかなように、ネットワークエンジニア案件は週5日のフルタイム稼働を求められることが多く、全体の約82%を占めています。週3〜4日の案件は合わせて約15%程度と少なく、週2日以下の案件はさらに少ない状況です。

この傾向はネットワークインフラの構築・運用が継続的な業務であることを示しており、特にシステムの安定稼働を担保する運用フェーズでは、常駐での対応が求められるケースが多いためです。副業として案件を探す場合は、週末のみや平日夜間の対応可能な案件を見つけるのは難しい可能性があるため、稼働条件を明確にした上で案件を探す必要があります。

参考：ネットワークエンジニアのフリーランス案件・求人 | フリーランススタート

高単価なネットワークエンジニア案件の傾向

ネットワークエンジニアとして高単価の案件を獲得するためには、どのような案件が高単価傾向にあるのかを理解することが重要です。市場では特に以下のような特徴を持つ案件が高単価になる傾向があります。

専門性と技術スキルが求められる案件

高単価なネットワークエンジニア案件は、特定の専門領域における深い知識と実践経験が求められる傾向が強いです。特にSD-WAN、SASE（Secure Access Service Edge）、ゼロトラストネットワークなどの最新技術に関する案件は単価が高くなっています。

また、Cisco、Juniper、Palo Alto Networksなどの主要ベンダーの高度な認定資格（CCIE、JNCIE、PCNSEなど）を保有するエンジニアは、それらの機器を扱う大規模案件で高い単価を期待できます。クラウドネットワーキングの知識と経験を持つエンジニアも、AWS、Azure、Google Cloudなどのマルチクラウド環境の設計・構築案件で高単価を獲得できているケースが多いです。

専門性の高い技術スキルは短期間で習得できるものではないため、そのような知識と経験を持つエンジニアの希少性が高単価につながっています。市場で求められる最新技術を先取りして習得することが、高単価案件を獲得するための重要な戦略と言えるでしょう。

上流ポジションでの参画が求められる案件

PMやPL、アーキテクトとしての参画が求められる上流案件は、単価が80万円を超えるケースが多いです。特にネットワーク全体のアーキテクチャ設計や要件定義などの上流工程を担当できるエンジニアは重宝されます。

また、大規模なネットワーク更改プロジェクトのマネジメントができるエンジニアも高単価を期待できます。さらに、複数ベンダーの技術を組み合わせた最適なソリューションを提案できるコンサルタント的な役割を担えるエンジニアも、高単価案件を獲得しやすい傾向にあります。

上流工程では技術力だけでなく、クライアントの業務理解やコミュニケーション能力、プロジェクト管理スキルなども求められるため、それらの能力を持つエンジニアの価値は高くなります。技術的な専門性に加えて、こうした非技術的なスキルを磨くことも高単価案件獲得の鍵となります。

ネットワークの重要度の高い業界での参画案件

金融機関、製造業、医療機関、官公庁など、ネットワークの可用性や安全性が特に重視される業界の案件は高単価になる傾向があります。

例えば、銀行や証券会社の基幹ネットワークの設計・構築案件は、高い信頼性とセキュリティが求められるため単価も高いです。同様に、医療情報システムのネットワーク構築や、官公庁の機密情報を扱うネットワークの設計案件も高単価である場合が多いです。

また、製造業におけるIoT/OTネットワークの構築案件や、小売業における店舗間ネットワークの最適化案件なども、業務知識とネットワーク技術の両方が求められるため、高単価となっています。

これらの業界では、システム障害やセキュリティインシデントが発生した場合の影響が非常に大きいため、高い技術力と信頼性が要求されます。そのような環境で実績を積み、業界知識も併せ持つエンジニアは、高単価案件を獲得しやすくなります。

大規模サーバーやセキュリティ対策を扱う案件

大規模データセンターのネットワーク設計・構築・運用案件は高単価になりやすいです。特に、数千台規模のサーバーを収容するデータセンターネットワークの設計や、複数データセンター間の接続設計などは、高度な技術と経験が必要とされます。

また、DDoS対策、境界防御、内部セグメント化など高度なセキュリティ対策を実装するネットワークセキュリティ案件も高単価である傾向があります。さらに、大規模なネットワーク監視システムの構築・運用や、セキュリティインシデント対応チームの立ち上げ・運用支援といった案件も、専門性が高く評価され、高単価となっています。

大規模なインフラ環境では、スケーラビリティや可用性、パフォーマンスなど、複雑な要件を満たすための高度な設計能力が求められます。また、セキュリティ対策においては、常に進化する脅威に対応できる最新の知識と経験が重要視されるため、これらの分野での専門性を高めることで、高単価案件の獲得につながります。

高単価案件を獲得できるネットワークエンジニアの特徴

高単価案件を獲得しているネットワークエンジニアには、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴を理解し、自分自身のスキルや経験を高めていくことで、より高単価の案件獲得につながるでしょう。

高度な専門性とスキルセットを持つ

高単価案件を獲得できるネットワークエンジニアは、単に幅広い知識を持つだけでなく、特定分野での高度な専門性を持っています。例えば、SD-WANやSASEなどの最新技術の実装経験、クラウドネットワーキングの深い知見、ネットワークセキュリティの専門知識などが挙げられます。

また、CCIE、JNCIE、AWS Advanced Networking Specialtyなどの上位資格を保有していることも強みとなります。さらに、ネットワークの専門知識だけでなく、サーバー、ストレージ、セキュリティなど関連するインフラ技術についても一定の知識を持ち、総合的な視点でネットワークを設計・構築できる能力も高く評価されます。

専門性を高めるためには、特定の技術領域を選び、深く掘り下げて学習・実践することが重要です。同時に、関連する周辺技術についても基本的な理解を持ち、全体を俯瞰できる視点を養うことで、より価値の高いエンジニアとして評価されるようになります。

大規模プロジェクトや複数業界での経験が豊富

高単価案件を獲得するエンジニアは、大規模なネットワーク構築プロジェクトやミッションクリティカルなシステムでの経験を豊富に持っています。特に、金融、製造、医療、官公庁など異なる業界での経験があると、業種特有の要件や課題に対応できる柔軟性が評価されます。

また、プロジェクトの規模に関しても、数百〜数千拠点の企業ネットワーク設計や、大規模データセンターネットワークの構築経験があると有利です。複数の業界や環境での経験は、どのような案件でも応用できる実践的な知識とトラブルシューティング能力につながり、クライアントからの信頼を得やすくなります。

多様な経験を積むためには、同じような案件を繰り返すのではなく、意識的に異なる業界や規模、技術を使用するプロジェクトにチャレンジすることが大切です。そうした経験の積み重ねが、高単価案件を獲得するための重要な資産となります。

コミュニケーション能力やプロジェクト管理に長けている

技術力だけでなく、高いコミュニケーション能力とプロジェクト管理スキルを持つエンジニアは高単価案件を獲得しやすいです。クライアントの要件を正確に理解し、非技術者にも分かりやすく説明できる能力は、上流工程を担当する際に特に重要です。

また、ベンダーやパートナー企業との調整、チームメンバーへの技術指導など、プロジェクト全体をスムーズに進めるためのマネジメント能力も評価されます。さらに、プロジェクトの進捗管理、リスク管理、コスト管理などのプロジェクト管理スキルがあると、PMやPLとしての高単価案件を獲得できる可能性が高まります。

技術的な専門性とこれらの「ソフトスキル」をバランスよく兼ね備えることで、より高い市場価値を持つエンジニアとして評価されるようになります。特に上流工程の案件では、技術だけでなく、クライアントとの信頼関係構築や円滑なプロジェクト進行のためのコミュニケーション能力が重視されます。

最新技術への適応が早い

常に新しい技術やトレンドをキャッチアップし、実務に適用できるエンジニアは高単価案件を獲得しやすいです。例えば、SD-WAN、SASE、ゼロトラストネットワークなどの最新技術に早くから取り組み、実装経験を積んでいるエンジニアは希少価値が高いです。また、自動化技術を活用したネットワーク構築・運用の経験があると、効率化が求められる現代のプロジェクトで重宝されます。

さらに、コンテナネットワーキングやサーバーレス環境でのネットワーク設計など、クラウドネイティブな環境に対応できる技術力も評価されるポイントとなります。継続的な学習意欲と実践経験が、市場価値の高いエンジニアには不可欠です。

最新技術への適応力を高めるためには、日頃から業界のトレンドや技術動向に関心を持ち、セミナーやカンファレンスへの参加、技術書籍やブログの閲読、ハンズオンラボでの検証など、積極的に学習する姿勢が重要です。新しい技術を学ぶだけでなく、実際のプロジェクトや個人的な検証環境で実践してみることで、真の技術力として身につけることができます。

ネットワークエンジニア案件のトレンド

ネットワークエンジニア市場は常に変化しています。最新のトレンドを理解することで、今後どのようなスキルや知識が求められるかを予測し、自身のキャリアプランや学習計画に活かすことができます。現在のネットワークエンジニア案件市場では、以下のようなトレンドが見られます。

クラウド環境への移行が加速

2025年のネットワークエンジニア案件市場では、クラウド環境への移行が最も顕著なトレンドとなっています。企業のDX推進に伴い、オンプレミス環境からAWS、Azure、Google Cloudなどのパブリッククラウドへの移行が加速しています。

特にハイブリッドクラウド（オンプレミスとクラウドの併用）環境の構築案件が増加しており、ネットワークエンジニアにもクラウドの知識が必須となっています。また、マルチクラウド環境（複数のクラウドサービスの利用）を統合的に管理するネットワーク設計の需要も高まっています。クラウド環境でのネットワーク設計は、従来のオンプレミス環境とは異なる考え方やスキルが必要となるため、この分野の知識を持つエンジニアの市場価値は上昇しています。

クラウドネットワーキングのスキルを高めるには、各クラウドプロバイダーの仮想ネットワーク機能やセキュリティサービス、ハイブリッドクラウド接続オプションなどを学び、実際に環境を構築して検証することが効果的です。AWS、Azure、Google Cloudなどの認定資格を取得することも、クラウドネットワーキングの知識を証明する手段として有効です。

自動化・効率化技術の導入

ネットワーク運用の自動化・効率化に関する案件が急増しています。Infrastructure as Codeの概念が浸透し、Ansible、Terraform、Pythonなどを活用したネットワーク構成管理や自動デプロイメントの案件が増えています。

また、ネットワーク機器ベンダーも自動化ツールやAPIを充実させており、これらを活用したネットワーク運用の効率化が求められています。さらに、AIOpsの考え方も広がり、機械学習を活用したネットワーク分析や障害予測の実装案件も出始めています。このような自動化・効率化の潮流に乗れるエンジニア、特にプログラミングスキルを持つネットワークエンジニアの需要は高く、案件単価も上昇傾向にあります。

自動化スキルを身につけるためには、基本的なプログラミング言語（特にPython）の習得が重要です。また、Ansible、Terraform、GitなどのDevOpsツールに慣れ親しみ、実際にネットワーク構成を自動化するスクリプトやプレイブックを作成してみるとよいでしょう。ネットワーク機器ベンダーが提供するAPIやSDKについても学習し、プログラマブルなネットワーク環境での経験を積むことが重要です。

セキュリティ対策の高度化

サイバー攻撃の高度化に伴い、ネットワークセキュリティに関する案件が増加しています。特にゼロトラストセキュリティモデルの導入案件が増えており、従来の境界防御から、「何も信頼せず、常に検証する」アプローチへの移行が進んでいます。また、SD-WANと統合されたSASEの導入案件も増加しており、ネットワークとセキュリティを一体化させた設計ができるエンジニアの需要が高まっています。さらに、IoTデバイスやOTネットワークのセキュリティ対策案件も増えており、これらの特殊な環境に対応できるセキュリティスキルを持つネットワークエンジニアの市場価値は非常に高くなっています。

ネットワークセキュリティのスキルを高めるには、最新の脅威や攻撃手法について学び、それらに対する防御技術や対策を理解することが重要です。ゼロトラストアーキテクチャやSASEなどの新しいセキュリティモデルについての知識を深め、実際の環境での実装経験を積むことで、セキュリティ対応力の高いネットワークエンジニアとしての価値を高めることができます。

ネットワークエンジニアの需要と案件単価の将来性は高い

ネットワークエンジニアの将来性は依然として非常に高いと言えます。社会のデジタル化が進む中、ネットワークはますます重要なインフラとなっており、その需要は今後も拡大し続けるでしょう。この需要の高まりは案件単価にも反映されており、特に専門性の高い分野では報酬水準が着実に上昇しています。

求められるスキルセットは大きく変化しており、高単価案件を獲得するためには従来のオンプレミス中心の知識だけでなく、クラウドネットワーキング技術の習得が重要です。特にAWSやAzureなどの主要クラウドサービスとの連携技術は、通常のネットワーク案件と比較して明らかに高い単価が期待できます。同様に、セキュリティ領域、特にゼロトラスト設計などの先進的なセキュリティ概念に精通したエンジニアは、より高い報酬を得られる傾向にあります。また、AnsibleやTerraformなどを活用したネットワーク自動化スキルも、単価向上に大きく貢献する要素となっています。

特に注目すべきは、単なるネットワーク専門家ではなく、より広範なインフラ全体を理解し、ビジネス要件に合わせた最適なソリューションを提案できる「統合型インフラエンジニア」としての役割が高い評価を受け、従来型のネットワークエンジニアと比較して大幅に高い単価での案件獲得が可能になっていることです。

5G/6Gの普及、IoTの拡大、エッジコンピューティングなどの新興技術領域では特に高単価案件が増加傾向にあり、これらの技術に早期に習熟したエンジニアには大きなチャンスがあります。将来にわたって高い案件単価を維持・向上させるためには、技術の深さと幅を同時に追求し、変化に柔軟に対応する学習能力と、ビジネス課題を理解して最適解を提案できるコンサルティング能力を磨くことが不可欠です。

まとめ

ネットワークエンジニア案件の平均単価は約63万円ですが、専門性や役割によっては80万円以上の高単価案件も多く存在しています。高単価案件を獲得するためには、最新技術の専門知識や上流工程のスキル、業界特化型の経験が重要です。また、コミュニケーション能力やプロジェクト管理スキルも高く評価されるポイントとなります。

現在のネットワークエンジニア市場では、クラウド環境への移行、ネットワーク自動化の推進、セキュリティ対策の高度化などがトレンドとなっており、これらの分野での知識と経験を持つエンジニアの需要は高まっています。将来的にもネットワークエンジニアの需要は継続すると予測されますが、従来の技術だけでなく、新しい技術領域にも対応できる柔軟性と学習意欲が重要です。

副業や独立を考えているネットワークエンジニアの方は、自分の強みを活かせる専門分野を見つけ、継続的なスキルアップを行いながら、徐々に経験と実績を積み上げていくことで、高単価案件の獲得につなげていくことができるでしょう。市場のトレンドを常に意識しながら、自身のスキルセットをアップデートし続けることが、フリーランスとしての成功への鍵となります。