フリーランスが契約解除したい時はどうすれば良い?手順や注意点を解説

フリーランスとして活動を続ける中で、案件数の増加に伴い、スケジュールの確保が困難になることもあるでしょう。また、案件数の増加による過密スケジュールによって、体調を崩すケースも少なくありません。

そのようなやむを得ない事態に際し、現状抱えている仕事が続けられないクライアントとの契約を解除したい、といった場合には、どうしたらよいのでしょうか。

本記事は、フリーランス側の都合で契約を解除する場合の注意点について、契約形態別の解除条件や、手順などを解説していきます。フリーランス側の都合で契約を解除することのリスクや、そもそも途中で契約を解除せずに済む方法についても、併せて確認しましょう。契約に関する悩みを抱えているフリーランスの方は、ぜひ参考にしてください。

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フリーランス都合の契約解除は可能だが契約条件に注意

結論から申し上げますと、フリーランス側の都合でクライアントに契約解除を申し出ることは「可能」です。案件数の増加によるスケジュール確保の問題や、過密スケジュールによる体調不良など致し方ない理由の場合は、フリーランス側から契約解除の申し出ができます。

ただし、契約解除の条件は、契約形態やクライアントによって異なることを覚えておきましょう。解除に至るまでの理由や、伝え方などの対応によっては、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。最悪の場合「不当な途中辞退」と見なされ、損害賠償を請求されるリスクもあるでしょう。

たとえば、納期までに成果物を提出しないまま契約解除を申し出た場合や、長期にわたり連絡が取れていなかったにもかかわらず突然契約解除を申し出た場合などは、損害賠償のリスクが高まります。

フリーランス側から契約解除の申し出をする際は、クライアント側が「正当である」と判断できる理由を考えましょう。また月末に近くなったタイミングで「今月いっぱいで解除」の旨を伝えるのでは、不当な申し出と判断されるかもしれません。「こういった理由で契約を解除したいので、解除日を含めてご相談をさせてください」と、あくまでクライアントのスケジュールを優先する形で申し出ることが大切です。

フリーランスの契約形態は3種類

フリーランス側から契約解除を申し出る上では、主な3種類の契約形態について把握しておく必要があります。

フリーランスの契約形態に挙げられる「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の内容について詳しく解説するので、契約を解除したい案件の契約形態を確かめる際の参考にしてください。

請負契約とは|仕事の完成によって報酬を請求できる

請負契約とは、フリーランスが、委託された業務を完遂すると約束する契約形態のことです。納品物の「完成」をもって、契約が締結します。クライアント側は、請負契約において、フリーランス側がおこなった業務の成果に対する報酬を支払わなければなりません。請負契約の案件例としては、比較的短期間で成果が見えるシステム開発やコンテンツ制作などが挙げられます。

請負契約においては、「契約不適合責任」についても把握しておきましょう。契約不適合責任とは、契約内容に準じていない成果に対し、クライアントがフリーランスに対して損害賠償や追加の作業を求められることを指します。また、納品後に修正対応を求めることも可能です。

仕事の完成によって報酬が決まる請負契約においては、クライアントとフリーランスとで「完成」に対する認識を統一しなければなりません。認識の統一が図れていないとトラブルが発生しやすいので、契約を交わす時点でしっかり確認しておきましょう。

委任契約・準委任契約とは|仕事を遂行すれば報酬を請求できる

委任契約とは、クライアントがフリーランスに対し、法律に関連する行為を委託できる契約形態です。対して、法律に関連しない行為における事実行為を委託する契約を、「準委任契約」といいます。法律に関連しない事実行為の仕事に該当するのは、エンジニアなどの仕事です。

委任契約・準委任契約と請負契約の違いは、成果物に対して支払いが発生するのではなく、あくまで労働した分が報酬支払いの対象となることです。委任契約・準委任契約では、仕事における成果が出ていなくても、労働した事実があればその「過程」に対して報酬が発生します。

ただし、委任契約・準委任契約で仕事を受ける上では、フリーランス側に「善管注意義務」があることを留意しておかなければなりません。善管注意義務により、フリーランス側が故意・過失のもとで損害を発生させた場合、損害賠償の責任が課せられます。

委任契約・準委任契約を結ぶ際は、請負契約と同じく契約後のトラブルを発生させないために、事前のすり合わせが非常に重要です。

契約形態によって異なる解除条件|損害賠償リスクに注意

フリーランス側から契約を解除できるかどうかは、契約形態によって異なります。

契約形態別の解除条件をそれぞれ確認しましょう。

解除条件を把握しないまま解除を申し出てしまうと、損害賠償などのリスクを被る可能性があるため、注意が必要です。

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請負契約の場合|基本的にはフリーランス側から契約解除できない

請負契約の場合、原則的にフリーランス側からの契約解除はできません。あくまで、仕事の完遂という成果を出すまでが契約に含まれているためです。

仮に、仕事の途中で契約を解除する場合、損害賠償や違約金の発生、報酬の未払いといったリスクが生じます。

ただし、クライアントとフリーランス双方の合意があった場合は、請負契約であってもフリーランス側からの申し出で契約を解除できます。また、クライアント側が破産手続開始の決定を受けた場合も、フリーランス側から請負契約の解除申し出が可能です。

請負契約においては、基本的にはフリーランス側から契約は解除できないものの、合意のもと、もしくはクライアント側にやむを得ない事情があれば解除可能であることを覚えておきましょう。

委任契約・準委任契約の場合|いつでも契約解除できる

委任契約・準委任契約の場合、請負契約と異なり、フリーランス側からいつでも契約を解除できます。クライアントに確認をとり合意を得る必要はあるものの、請負契約よりスムーズに、フリーランス側の都合で契約を解除できるといえるでしょう。

また、請負契約と同様にクライアント側が破産手続開始の決定を受けた場合も、フリーランス側から請負契約を解除できます。

ただし、契約解除の申し出がクライアントに迷惑をかけるタイミングだった場合などは、損害賠償などのリスクもあるため、注意してください。

フリーランス都合で契約解除する時の手順

ここでは、フリーランス都合で契約解除する際の手順を、3つのステップに分けて解説します。

  1. 業務委託契約書の内容を確認する
  2. クライアントに契約解除の意思を伝えて話し合う
  3. クライアントと合意できたら契約解除合意書を交わす

上記のステップは、あくまでフリーランス側の都合で契約を解除できる場合に限ります。契約内容を十分に確認したうえで、上記のステップを実施するようにしましょう。

業務委託契約書の内容を確認する

フリーランス都合で契約を解除する前に、まずは業務委託契約書の内容を再確認してください。契約形態が請負契約なのか、委任契約・準委任契約かを確認することで、フリーランス側からの契約解除申し出が可能か把握できます。

その上で、契約書に記載されている条件を確認し、クライアント側と相違のない認識のもと契約解除を申し出ましょう。あわせて、解除条項の規定を確認することも忘れてはいけません。

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クライアントに契約解除の意思を伝えて話し合う

業務委託契約書の内容をしっかりと確認したら、クライアントに契約解除の意思を伝えましょう。話し合いでスムーズに契約解除まで進められるよう、正当な理由を準備した上でクライアントに伝えることが大切です。理由だけでなく、失礼のない言い回しにも配慮しなければなりません。

フリーランス側の都合で契約解除を申し出る際は、あくまで合意のもと解除できることを目指すべきです。たとえば「準委任契約だから」と法律を縦にするのではなく、こちらの都合で解除することに対する謝罪の意を込めて、トラブルを発生させないよう意思を伝えるようにしましょう。

クライアントと合意できたら契約解除合意書を交わす

クライアントからの合意を得たタイミングで、契約を解除するのに必要な「合意書」を交わします。契約解除におけるトラブルを防止する上では、書面での証拠を残す目的で契約解除合意書が役立ちます。契約解除合意書に署名押印する際は、クライアントと話し合った合意内容がしっかりまとめられているかを確認しておきましょう。

契約解除合意書に記載されているべき項目に関しては、以下を参考にしてください。

  • 解除する契約
  • 解除日
  • 原状回復義務の有無
  • 清算条項

上記の項目が記載されていない契約解除合意書を掲示された場合は、内容の精査を求めましょう。

フリーランス都合で契約解除するリスクと注意点

フリーランス側の都合で契約を解除することには、いくつかのリスクもあります。

フリーランス都合で契約を解除する際に注意しておきたいのは、以下3つのポイントです。

  • クライアントとの信頼関係のために誠意をもって話し合う
  • メールのやりとりや議事録などの証拠を残しておく
  • 契約解除前までの仕事に対して報酬が支払われない場合もある

1つずつ詳細を見ていきましょう。

クライアントとの信頼関係のために誠意をもって話し合う

フリーランス側の都合で契約解除を申し出る際には、トラブルを避けるためにも、誠意をもって話し合う必要があります。多かれ少なかれクライアントに迷惑をかけることになるので、信頼関係を崩さないためにも誠意を示すことは忘れないようにしましょう。誠意をもって話し合えば、トラブルの発生や長期化を避けられるだけでなく、再度別案件で契約する可能性も考えられます。

メールのやりとりや議事録などの証拠を残しておく

トラブル発生のリスクに備えて、メールのやり取りや議事録などを証拠として残しておきましょう

やりとりを記録しておけば、契約解除の申し出がきっかけでトラブルになり、仮に裁判に発展した場合の証拠としても役立ちます。

もしもトラブルに発展してしまった場合には、やりとりの記録をもって弁護士などの第三者に相談することもおすすめです。

もしくは、フリーランス・トラブル110番法テラスなど、契約解除にまつわるトラブル対処実績のある機関の利用も検討しましょう。

契約解除前までの仕事に対して報酬が支払われない場合もある

フリーランス側の都合で契約解除をすると、契約形態によっては報酬が支払われなくなります。

請負契約の場合、未完成の仕事に対しては報酬が発生しません。プロセスに対しても報酬は発生しないので、注意してください。あくまで成果を挙げていることが、報酬発生の条件です。

ただし、請負契約で明らかに成果を出しているにもかかわらず報酬が支払われない場合は、請求する権利があります。また、クライアント側の都合で契約を解除された場合、業務にかかった費用の請求が可能です。

委任・準委任契約に関しては、成果ではなく契約解除前までに履行した業務が報酬発生の対象となります。万が一クライアント側が契約解除にあたって報酬を支払わないとした場合でも、委任・準委任契約であれば請求可能です。

フリーランス都合の契約解除を防ぐ方法

フリーランス都合の契約解除を防ぐには、案件を慎重に選ぶことも大切です。

自身のスケジュールや経験・スキルを客観視した上で、無理なくこなせる難易度や業務量の案件を取得するようにしましょう。

また、案件をしっかりと遂行できるよう、健康管理を怠らないことも大切です。定期的に健康診断を受けるなどして、仕事に影響が出ないよう体調管理を徹底しましょう。

フリーランス側の都合で契約を解除することは、思わぬトラブルの発生につながる可能性があるため、できれば避けたいところです。そもそもフリーランス都合での契約解除が発生しないよう、案件獲得段階において実施できるいくつかの方法を把握しておく必要があります。

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まとめ

本記事では、フリーランス側の都合で契約を解除する場合に押さえておきたい内容を解説してきました。

フリーランス都合で契約を解除できるかは、クライアントとの契約形態によって異なります。

仮にフリーランス側の都合で契約を解除できたとしても、場合によっては損害賠償を請求されることもあるかもしれません。トラブルを発生させないよう、契約形態の特徴や契約書の解除条項をしっかりと確認した上で、失礼のないよう契約解除を申し出ましょう。

万が一当事者同士での解決が困難な場合は、弁護士に相談することもおすすめです。フリーランス・トラブル110番法テラスなど、フリーランスとクライアント間のトラブルにおけるマニュアルが整った機関にも、契約解除のサポートを依頼できます。

フリーランス側の都合で契約を解除することは、トラブルの発生だけでなく、今後の案件獲得にも影響を与える可能性も否定できません。契約解除におけるトラブルの発生抑止はもちろん、今後の活動にも影響を与えず済むように、ご紹介した内容を参考にしてください。

※参考:フリーランス新法とは?フリーランスを保護するための法改正を詳しく解説|カケコム

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