フリーランスの手取りはいくら?計算方法や早見表についても紹介
「フリーランスの手取りはどのくらいか」「フリーランスが手取りを増やす方法は何か」
フリーランスで上記のように悩む人は多いでしょう。
フリーランスは高収入を得るチャンスがありますが、その分税務処理などを自分で行う必要があります。税金などについて正しい知識がないと手取りを増やせず、会社員時代より稼げなくなる人も少なくありません。
今回の記事では、フリーランスの手取り額の計算方法や支払うべき税金や保険の種類、手取りを増やす方法などについてお伝えしていきます。税金などについて正しい知識を身に付け、フリーランスとして最大限の手取りを得られるようにしましょう。
フリーランスの手取り額の計算方法は?
フリーランスの手取り額は下記の計算式で求められます。
手取り金額=売上ー(経費+税金+社会保険料)
フリーランスの場合、売上金額から事業に関わる経費、所得税や住民税などの税金、国民健康保険などの社会保険料を引いた金額が手取り金額となります。また、フリーランスの場合、口座に振り込まれた金額は売上金額であるため、後々社会保険料などが引かれる点に注意が必要です。
フリーランスはクライアントと直接やり取りができるため、高単価な案件を獲得しやすく売上を伸ばしやすいです。
しかし、社会保険料や経費、税金などについて十分な知識を持っていないと売上から引かれる金額が大きくなってしまうため、手取り額が小さくなってしまいます。
フリーランスが支払うべき税金や保険の種類
フリーランスが支払うべき税金や保険は様々であり、事業内容や売上金額によって異なります。フリーランスが支払うべき代表的な税金や保険の種類は下記6つです。
- 所得税
- 住民税
- 消費税
- 個人事業税
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
税金であれば所得税や住民税など、社会保険料であれば国民健康保険料や国民年金保険料の支払いが必要になります。
所得税
フリーランスは会社員と同様に所得税を支払う必要があります。所得税は1年間で得た課税所得に対してかかる税金であり、基本的に収入を得ているフリーランスであれば納める必要があります。所得税の算出方法は下記の通りです。
所得税額=(売上ー経費ー所得控除)×所得税率ー税額控除
事業にかかる経費や控除が増えれば所得税額を抑えられるため、生活費の一部の費用を経費として計上する場合や、高額な医療費などを控除として申請する人が多いです。
また、所得税は課税所得額によって金額が変わります。所得金額における所得税率の変化は下記の表の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,0000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税は累進課税が採用されているため、一般的には高収入を得ている人ほど課税所得が高くなり、所得税額が大きくなります。
住民税
また、所得税と同じくフリーランスは住民税を支払う必要があります。住民税は地域社会のための税金であり、自分が住んでいる地方自治体に納めます。住民税は各都道府県に納める都道府県民税と、各市町村に収める地区長村税を合わせた税金です。
また、住民税は「均等割」と「所得割」の2種類を納める必要があり、算出方法は下記のようになっています。
住民税額(均等割)=市区町村税+都道府県民税
住民税額(所得割)=(売上ー経費ー所得控除額)×所得割税率(10%)ー税額控除額
均等割は1年間の所得金額に関わらず一定額を納める必要があるのに対し、所得割は1年間の所得金額によって税額が変わります。なお、所得割税率は市区町村住民税の6%と都道府県民税の4%を合計した10%になります。
消費税
フリーランスは商品や製品、サービスなどの取引に課税される消費税を消費者の代わりに納める必要があります。消費税は年間売上が1,000万円以下の事業者は免除されており、取引の際にも買い手側が「課税仕入れ」という仕入額控除を使えるメリットがあります。
しかし、2023年10月1日から導入予定の「インボイス制度」により、仕入額控除を受けるためには「インボイス(適格請求書)」という書類が必要になります。年間の売上が1,000万円以下の免税事業者はインボイスを発行できないため、仕入れ額控除を受けることができず、フリーランスは取引に不利になる可能性が高いです。
今後フリーランスは消費税課税事業者として登録し、消費税を納めることが必要になるでしょう。
個人事業税
フリーランスの職種によっては個人事業税を納める必要があります。個人事業税は地方税法などで定められた特定の事業に対して納めなければならない税金であり、算出方法は下記の通りです。
個人事業税額=(年間売上ー経費ー各種控除)×事業税率(3%~5%)
個人事業税は業種によって税率が異なるため、同じ課税所得者でも個人事業税額が異なるケースが多いです。なお、エンジニアやプログラマーなどは、業務委託契約の場合、請負業などと判断されなければ個人事業税の対象にはなりません。
また、個人事業税がかかる業種であっても、1年間事業を継続していて事業所得290万円以下なら課税はされません。
国民健康保険料
フリーランスの場合、国民健康保険に加入し保険料を納める必要があります。国民健康保険は会社に所属していない場合加入が必須の保険であり、自分が住んでいる市区町村の役所で手続きが可能です。
国民健康保険に入っていれば、医療機関を会社員と同様に3割負担で受診することができます。しかし、会社員であれば会社が国民健康保険料を半分負担してくれる一方で、フリーランスの場合は全額自己負担となり、会社員に比べて支払う金額が高くなる点に注意が必要です。
また、国民健康保険料は所得割額、均等割額、平等割額の合計額を支払う必要があり、年齢や年収、家族構成によって算出方法や金額が異なります。
国民年金保険料
フリーランスは国民健康保険とあわせて国民年金保険料を納める必要があります。国民年金保険は20歳以上〜60歳未満の全ての人が加入しなければならない保険であり、老後年金を受け取るためには支払いが必須です。
会社員であれば、厚生年金を納めるタイミングで会社が給与から差し引いてくれますが、フリーランスの場合は自分で手続きを行わなければなりません。国民年金保険料は年齢や年収、家族構成によって算出方法は異なり、支払った保険料は社会保険料控除として所得税の減額に利用できます。
また、国民年金保険だけでは老後が不安に感じる人も多く、近年はiDeCoなどを活用して老後のための資産運用を並行して行う人も増えています。
フリーランスの年収別手取り額早見表
フリーランスの年収別の手取り額は下記の表の通りです。
年収 | 手取り額 |
300万円 | 233万9420円 |
400万円 | 308万9620円 |
500万円 | 381万4220円 |
600万円 | 445万3520円 |
700万円 | 508万7620円 |
800万円 | 572万1420円 |
参考:個人事業主の税金や手取りをパッと計算シミュレーション | 税金・社会保障教育
なお、上記手取り額早見表は下記条件で作成されています。
- 年齢は20代
- 配偶者や扶養親族はなし
- 控除を受けるために必要な青色申告はしている
- 国民年金や健康保険は払っている
- 東京都に住んでいる
年収が増えるほど税金や保険料額も大きくなるため、年収に対する手取り額の割合が小さくなります。フリーランスが手取り額を増やす場合、経費や控除を有効活用して税金や保険料額を抑える必要があるでしょう。
フリーランスと会社員のどちらが手取り額が大きいのか?
同じ条件で比較した場合、会社員に比べてフリーランスの方が手取り額が大きくなる場合が多いです。会社員の年収別の手取り額は下記の表の通りです。
年収 | 手取り額 |
300万円 | 225万9684円 |
400万円 | 283万1352円 |
500万円 | 342万8304円 |
600万円 | 385万5900円 |
700万円 | 424万1508円 |
800万円 | 468万2856円 |
なお、上記手取り額早見表は下記条件で作成されています。
- 年齢は20代
- 配偶者や扶養親族はなし
- 各種社会保険には会社で入っている
- 東京都に住んでいる
フリーランスは会社員と異なり経費が利用でき、税金や社会保険料を減らせるため、同じ年収の場合、会社員に比べて手取り額が大きくなります。また、会社員の場合支払う社会保険料の金額がフリーランスに比べて大きい傾向にあり、手取り額が小さくなることが多いです。
病気やけがのリスク対策や、老後の年金額を増やすために必要な社会保険ですが、手取り額が小さくなり生活に支障をきたす場合もあるため、会社員の場合注意が必要です。
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フリーランスの手取り額を増やす方法は?
フリーランスが手取り額を増やすためには、下記3つの方法があります。
- 節税をする
- 事業で使った経費を計上する
- 青色申告で確定申告をする
フリーランスは経費や控除などを利用し節税ができるため、正しい知識を身に付ければ税金を減らして手取り額を増やすことができます。
また、青色申告の手続きを行えば最大65万円の控除を受けられるため、税金や社会保険料額を減らし手取り額を増やせるでしょう。
節税をする
フリーランスが手取り額を増やすためには、経費や控除を利用して節税をする必要があります。フリーランスの場合、家賃や光熱費などの生活費の一部を経費にでき、また高額な医療費や生命保険なども控除として活用できるため、住民税や所得税などの納税額を減らすことができます。
経費や控除について正しい知識を身に付けて、課税所得を抑え税金を減らしていきましょう。
事業で使った経費を計上する
フリーランスは事業で使った経費を計上することで、家計の支出を抑えることができます。フリーランスは事業に関わる機器や交通費、接待交際費などを課税所得から差し引くことができます。
また、家賃や光熱費などの生活費の一部も経費にできるため、会社員では課税所得から差し引くことができない部分を課税所得から差し引くことが可能です。事業で使った経費の種類は幅広く、売上に繋がったと考えられる費用については経費として計上することができます。
経費を計算するにあたって、レシートや領収書が重要になるため、経費として活用できると考えられる場合は記録として残すようにしましょう。
青色申告で確定申告をする
フリーランスが手取り額を増やすには、青色申告で確定申告をするという方法があります。青色申告とは個人事業主が控除を受けるために必要な申請であり、手続き次第で最大65万円の控除が受けられるようになります。
フリーランスの場合、控除が増えれば税金や社会保険料を減らすことができるため、実際に多くのフリーランスの人が青色申告をして控除を受けています。
青色申告をするためには複式簿記の知識が必要で難しいと感じるかもしれませんが、会計ソフトなどを使えば問題なく対応できるため、フリーランスになる場合は青色申告を欠かさないようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、フリーランスの手取り額の計算方法や支払うべき税金や保険の種類、手取りを増やす方法などについてお伝えしてきました。フリーランスの手取り額は売上から税金や社会保険料などを差し引いた金額です。
税金や社会保険料は課税所得を元に算出されるため、フリーランスは経費や控除を有効活用するための知識を身に付ける必要があります。節税や経費、青色申告などについて正しく理解し、手取り額を増やせるように学習していきましょう。
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