フリーランスエンジニアに年齢の限界はない|生涯働くコツを解説
2022年12月6日
「フリーランスエンジニアは何歳まで働き続けられるの?」「現在50歳だけど、今からフリーランスエンジニアになっても遅くない?」といった悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
20~30代での独立なら、まだ若いために、失敗してもやり直せると踏ん切りがつきやすいかもしれません。しかし、現在の安定した人生を捨ててまで会社を辞めフリーランスエンジニアになる選択肢は、なかなか取りづらいものです。
本記事では、フリーランスエンジニアとして働ける年齢の実態や、年を重ねても案件を獲得するための方法について解説します。40代、50代を超えてもフリーランスエンジニアとして活動していきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
フリーランスエンジニアは何歳まで働けるのか
結論から申し上げますと、フリーランスエンジニアに限った話ではなく、どの分野でもフリーランスとして働く年齢に制限はありません。企業に属する会社員とは異なり、フリーランスには定年がないため、健康とスキルを維持し続けられる間は、生涯現役を貫き通すことも可能です。
とはいえ、フリーランスエンジニアは、年を重ねていることが不利に働いてしまうことがあります。IT業界は急速に進化していく分野であるため、時代に合わせて新しい知識やスキルの取得も必要不可欠です。年齢相応の経験や実績がなければ、クライアント側はやはり仕事を任せることに躊躇してしまいます。
50代、60代と体力が衰えていく中で、仕事と並行して新しい知識を更新し続けることは、長時間活動できる若い世代と比べると不利になってしまうでしょう。
フリーランスエンジニアの年齢の実態
フリーランスの年齢層は20代~60代、上は70代以上に至るまでと広範囲です。
フリーランス協会の実態調査「フリーランス白書2023」によると、フリーランスとして活動している年齢は30代から50代に集中しているという結果が出ています。
また、同調査にて、フリーランスエンジニアの約9割近くを40~60代以上が占めていることもわかりました。この結果から、会社員として経験を積んだあとに独立するケースが多いと予測できます。
エンジニアとして活躍できるスキルや経験があれば、歳を重ねてからでもフリーランスとして独立することは十分に可能でしょう。
【年代別】フリーランスエンジニアと年齢の関係性
結論から言うと、フリーランスエンジニアにとって年齢は関係します。
基本的に、同じスキルレベルであれば、年齢の若いエンジニアのほうが採用されやすくなると考えてよいでしょう。
案件によっては応募条件として年齢制限が設けられていることもあり、年齢に見合ったスキルを身につけていなければ、受注は難しくなってしまいます。
逆にいえば、見合ったスキルを身につけられていれば、年齢を重ねても活躍することは可能です。
ここでは、フリーランスエンジニアとして活躍するためのポイントを年代ごとに解説します。
20代は伸びしろもあり需要が高い
20代は需要の高い年代です。しかし実際のところ、20代のフリーランスエンジニアはあまり多くはありません。
独立を検討している方の中には、まだスキルに不安を感じている方や、フリーランスとしての独立の準備をしている方も珍しくないでしょう。
もちろん焦って独立するべきではありませんが、20代からでもフリーランスエンジニアとして活躍することは不可能ではありません。
スキルレベルの面で多少の不安があるエンジニアだったとしても、伸びしろやポテンシャルを評価され採用してもらえることもあります。20代ならではの意欲や吸収力を評価してくれる企業は少なくありません。
また、20代は体力もあるため、その点を買われることもあるでしょう。
一般的にフリーランスエンジニアは、即戦力としての働きを期待されています。しかし20代のエンジニアに対しては、技術力に関して過度な期待をせず、今後の伸びしろを重要視する企業も多いのです。
20代のフリーランス事情について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
▶20代でフリーランスになれる?メリットや独立のコツについても解説!
30代は経験も豊富かつマネジメントにも期待でき需要が高い
30代はスキルや経験が豊富で、需要が高い年代です。
業界で10年以上経験を積んでいるエンジニアも少なくないため、即戦力として十分なスキルが期待できます。30代のフリーランスエンジニアは、プログラミングスキルなどの専門スキルに加えて、20代にはなかなか期待できない上流工程のマネジメントスキルも身についてきます。
また、30代であればまだまだ体力の衰えも気にせずに案件を受注できるでしょう。そのため、30代はスキルも熟練されており、最も旬な年代であるといえます。
20代のフリーランス事情について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
▶30代でフリーランスになるには?成功のコツは?徹底解説
40代は経験やマネジメント面で需要が高いが年齢の影響も多少受ける
フリーランスエンジニアは40代になると、残念ながら年齢の影響が出始めます。
シニアエンジニア向けの求人サイト「SEES」を運営している株式会社Miraieの調査では、「外部人材を利用する際に年齢制限を設けているか」という質問に対し、19.0%の企業が「40歳以上は採用しない」と回答しています。
40代はエンジニアとして20年以上の経験を積んでいる方もいるため、業界ではベテランとして扱われることも珍しくはありません。技術力だけを武器にするのではなく、豊富な経験とマネジメント面での貢献を期待されることになるでしょう。
多角的に考えて武器を増やしていかなければならない年代といえます。
出典:8割以上の企業が活用を希望!シニアエンジニア、どんな人が求められてるの?年齢制限はあるの?採用担当者に調査!|SEES
50代はマネジメントや実績・専門性があれば需要を保てる
50代のフリーランスエンジニアは、年齢の影響を大きく受けてしまうでしょう。
先ほどの「SEES」の調査では、「50代以上は採用しない」企業は全体の35%以上を占めています。同じスキルを持つ人材が複数人いたら、将来性や伸びしろのある若い世代を優先したいと考えるのは自然なことでしょう。
50代は技術力だけでなく、実績や専門性、マネジメントスキルなどの付加価値が必須です。技術力しかない50代のエンジニアは、どうしても案件受注が難しくなってしまうこともあります。
50代で案件受注を望むなら、ほかの人材にはないような強みを備えておく必要があるでしょう。
独立するなら30~40代がおすすめ
フリーランスエンジニアとして独立を考えているならば、20代からスキルや経験を積み、30代~40代で独立するのがおすすめです。
20代だと仕事への意欲や技術を習得するポテンシャルは買われますが、即戦力と呼べるだけのスキルはないため、一般的に単価が低くなる傾向にあります。ある程度のスキルを身につけてから独立することで、案件の受注もスムーズに進みやすくなるでしょう。
また、30代〜40代はスキルがあって経験もついているので、年齢を重ねるほど高単価な案件を受注しやすくなります。
しかし、50代以降になると、年齢制限や体力の低下などの要因から、豊富な実績やスキルが充実していなければ、案件の受注が難しかったり単価が低くなってしまうのが現実です。こちらに関しては、後ほど詳しく解説します。
フリーランスエンジニアとして独立を考えている場合は、30〜40代での独立を目指しましょう。
50代以降は年収が下がる傾向がある
50代以降のフリーランスエンジニアは、さまざまな要因によって案件の獲得が難しくなり、年収が下がっていく傾向にあります。
その理由は、以下のとおりです。
- スキルや実績が求められる
- 進化の速いIT業界の技術についていけない
- 体力・気力共に衰えてしまう可能性がある
- 案件によって年齢制限が設けられている場合がある
50代以降のフリーランスエンジニアの年収が下がってしまう理由を詳しく解説します。
出典:フリーランスエンジニアで年収1000万は可能?年収アップのコツも解説! | リバティーワークス
理由1スキルや実績が求められる
個人で仕事を獲得するフリーランスエンジニアは、会社員以上に、年齢に相応するスキルや実績を求められます。
とくに50代以降の経験豊富なエンジニアには、プロジェクトのマネジメントやトラブル対応といった上流工程の難易度の高い経験が求められることが多いです。
エンジニアとして培ってきたスキルや実績がしっかりと問われるため、経験を積んでいないと受注自体が難しくなり、年収が下がることにつながります。
理由2.進化の速いIT業界の技術についていけない
年齢を重ねると、経験やスキルに固執するあまり、新しい技術を習得するモチベーションが低下してしまったり、新たな視点を持てなくなったりするでしょう。
IT業界はトレンドの変化が激しいため、常に最新情報をキャッチアップして、自身をアップデートしていくことが求められます。需要の変化に対応できずにいれば、市場価値は下がってしまうのです。
理由3. 体力・気力共に衰えてしまう可能性がある
40代を過ぎると、20~30代より体力の衰えを感じるようになる方が多いでしょう。疲れやすくなる、視力が低下する、肩こりなど体の痛みを感じる…など身に覚えがあるのではないでしょうか。
エンジニアは長時間パソコンに向かい、集中力と体力を要する仕事です。体力が衰えてしまうと、こなせる案件数が減ったり、若手エンジニアをマネジメントするハードな業務に就きづらくなったりしてしまいます。
理由4. 案件によって年齢制限が設けられている場合がある
先ほどのSEESの調査を参考にして説明したように、フリーランスエンジニアの案件の中には、応募条件に年齢制限が設けられている場合があります。
年齢制限が設けられているのは、上記の2つが主な理由です。ほかにも、プロジェクトはチームでおこなうため、20~30代のエンジニアと40~50代のエンジニアとでは馬が合わないと考えられるケースもあります。
そのため、40代以降になると年齢制限のために獲得できる案件の選択肢が限られてしまい、自分の希望どおりに案件が獲得できず、収入が下がってしまうことがあるのです。
年齢を重ねたフリーランスエンジニアに求められること
年齢を重ねたフリーランスエンジニアが生き残っていくためには、技術力はもちろん、豊富な経験に基づくスキルや知識が必要です。企業の中には、年齢を重ねたシニアエンジニアを期待してくれる担当者もいます。
では企業は、フリーランスのシニアエンジニアにどのような働きを期待しているのでしょうか。
ここでは、年齢を重ねたフリーランスエンジニアに求められることを解説します。
プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント力
年齢を重ねたフリーランスエンジニアには、プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント力を求められています。マネジメント業務の経験を積んでいる若いエンジニアは数がかなり少ないので、必然的にシニアエンジニアが担当するケースが多くなるのです。
年齢を重ねたエンジニアの活路は、経験とリーダーシップにあります。チームを束ねる働きを期待して、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなどの上流ポジションでシニアエンジニアを採用するケースは少なくありません。
プロジェクトを円滑に進めていくためには、さまざまな能力が求められます。クライアントのニーズを正確に捉えるヒアリング力や、スケジュール管理・タスクの割り振りを的確におこなう能力、コミュニケーション能力といったスキルが必要です。
若いエンジニアが知らない業界の古い知識
若いエンジニアが知らないような、業界の古い知識を期待されることもあります。近年増加中のDX案件では、古いシステムを新しいシステムへと移行させるために、昔の現場での経験が必要となることも珍しくありません。
DX案件が増えている中で、DX後の理想形を描いて業務に携わるだけでなく、昔の知識や事情を知っている人材は貴重です。古い状態を知っていることで、クライアントのニーズを汲み取れたり、円滑なコミュニケーションをとれたりといったメリットがあります。
業界の古い知識は、年齢を重ねたシニアエンジニアしか身につけられない貴重なスキルです。
年齢を重ねても継続的に案件を獲得する方法
年齢を重ねてからも、フリーランスエンジニアとして継続的に案件を獲得するためにも、以下の取り組みを実践しましょう。
- クライアントとの関係性を築く
- 最新技術をキャッチアップする
- 講師として案件を受注する
- エージェントを活用する
ここでは、フリーランスエンジニアが年齢に関係なく、案件を安定して獲得する方法をご紹介します。長く活動するために、一つひとつしっかりと確認しましょう。
1.クライアントとの関係性を築く
クライアントの求める水準以上の仕事をこなし、信頼関係を築くことで、長期にわたって案件を受注できる可能性が高まります。50代以上になると、年齢制限によって案件の新規獲得が難しくなるため、既存クライアントとの関係性は良好な状態を維持しましょう。
既存クライアントから継続して依頼してもらえれば、その後の営業活動をおこなう必要もなく、安定して収入を得られます。クライアントの信頼を得るためにも、納期の厳守や納品物の質を高く保ちましょう。
2.最新技術をキャッチアップする
エンジニアは、最新技術にアンテナを張り続けて、他者に知識面で劣らないように知識やスキルのアップデートを求められる業種です。クライアントが新しい技術を取り入れる際に、既存の知識だけでは対応できない可能性も大いにあるでしょう。
技術を習得しているエンジニアが少ないような最新の専門技術ほど、クライアントからの評価を得られます。最新の技術や言語は、今後の需要がますます高まっていくことも予想されるため、身につけて損はありません。
ほかのエンジニアとの差別化にもなるため、クライアントから選ばれる可能性を上げる意味でも、常に最新技術をキャッチアップし続け、日々アップデートを心がけましょう。
3.講師として案件を受注する
エンジニアの業務に固執するのではなく、これまでの経験を活かしてスクールの講師といった立場で案件受注をしてみるのもよいでしょう。磨き続けてきた技術や経験は大きな武器となります。豊富な経験や実績もしっかりとアピール可能です。
長年エンジニアとして現場で働いてきた実績は、指導を受ける生徒からの信頼を獲得しやすいでしょう。さらに、現場にいたからこそ得られた知見などもあり、実務に直接役立つ指導を生徒にできるため、適任といえます。
4.エージェントを活用する
フリーランスエージェントを活用すれば、事前に担当者とすり合わせた経験やスキルセットをもとに、年齢制限のない案件や自身の求める条件に合った案件を選定してもらえます。
そもそも、エンジニアのスキルがあっても、営業力がなければ案件の獲得は難しいものです。自分の力だけで案件を獲得するには限界がありますし、案件獲得のために動いている時間は収入が発生しないため、長引くほど生活にも支障が出ます。
体力や時間などの問題から、仕事以外に気をまわせないエンジニアにとって、フリーランスエージェントは営業時間を省略してくれるありがたい存在です。積極的に活用していきましょう。
まとめ
会社員からフリーランスエンジニアとして独立するには、相応の覚悟が求められます。
とくに年齢が50代以降のエンジニアにとっては、1つの選択がその後の人生に大きな影響を与えるため、慎重に検討しなければいけません。体力の低下から稼働時間が減少して収入が減ったり、案件の年齢制限によって仕事をもらえないリスクがあります。
しかし、50代以降もフリーランスとして活動しているエンジニアは数多く存在します。長年蓄積してきた経験やスキルは、クライアントからの信頼を得るための大きな武器です。
フリーランスエンジニアとして、年齢を重ねても案件を受注できるように、最新技術の専門性を高めたり、プロジェクトを円滑に進行させるマネジメント力を高めていきましょう。
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